直前3ヶ月、食事3大ポイント
講義をする金子ひろみさん |
(1)タンパク質食品は最重要課題!
(2)ビタミン、ミネラル補給大作戦!
(3)水分の選び方、とり方!
の3つ。この中でもまだランナーによく理解されていないのが、タンパク質食品についてでしょう。
タンパク質をまんべんなく十分に
タンパク質には体内で合成されず、外部の食品から摂取しなければならない「必須アミノ酸」がありますが、それにも種類があり、肉を食べているだけでは不足するアミノ酸、植物性のアミノ酸含有食品(豆類など)だけでは不足するアミノ酸があります。どれかのアミノ酸が不足すると、他のアミノ酸が多くても働きが悪くなる「アミノ酸バランス」を考慮し、動物性タンパク質(肉に限らず、卵や乳製品も)も植物性タンパク質もまんべんなく食べる必要があります。また、タンパク質は筋肉を作るだけではありません。酵素やホルモン、血液、免疫抗体の材料にもなります。血液というと鉄分の摂取が強調されるきらいがありますが、鉄分だけでなくタンパク質の摂取も欠かせません。タンパク質摂取が不足すると脳にまわるタンパク質が不足し、精神的に疲労を感じやすくなります。
タンパク質摂取はタイミングも大事
タンパク質の摂取のタイミングも大事。体の中では、筋肉疲労の後で成長ホルモンがよく分泌するタイミングがあります。このタイミングに合わせて摂取すれば、必要箇所によく働くことになります。そのタイミングとは、運動が終わった10分後と睡眠に入った3時間後。従って、トレーニングを終えたらその5分後、睡眠に入った後で食べるのは無理なので、寝る直前がタンパク質を摂取するべきタイミングということになります。食事で摂りにくい方はサプリメントを利用しましょう。
ビタミン、ミネラルの摂取法
貧血の改善には数ヶ月かかるので、レースの2ヶ月半前になっていたら早く血液検査で赤血球量を調べて予防しておきます。貧血の症状としては、朝の心拍数が高くなることがあります。日頃から起床直後に心拍数を計る習慣をつけておくことは、貧血の予防に活用できます。普段からレバーを食べるような食生活も必要。ビタミン、ミネラルを不足なく摂る方法は、毎日両手を合わせた手のひらに乗るくらいの量の野菜が目安です。偏食しないように、最近食べていないなと思った物を積極的に食べるのがコツ。
どんな水をいつ摂る?
夏はミネラル類の含有量をチェック。含有成分にはけっこう差がある |
トレーニング前体重の2~4%の水分を失うと、熱中症の危険が生じます。例えば、ガイドの場合トレーニング前は65kgぐらいですから、1300~2600mlの水分を失うと熱中症のおそれがあるということになります。ガイドは先日30度を超えた暑い日に15kmほど走ったのですが、2kg体重が減っていました。15kmで2kgなので、フルマラソンを走るとなれば、4000mlぐらいの水分を補給しなければ倒れてしまうでしょう。
その水分の補給の仕方ですが、走る30分前に400ml、途中でもこまめに給水、水温は吸収がよい5度くらいで、糖質4~5%、ミネラルも含有、が理想ということです。一口にミネラルウォーターといっても、銘柄によって各成分の含有量がずいぶんことなるということも教えてもらいました。のどに乾きを覚える前に飲むというのもポイントです。
ウエイトコントロールの優先順位
最後に、これもフルマラソンを目指すランナーにとって重要な、ウエイトコントロールについて。ウエイトコントロールの優先順位は、(1)嗜好品をセーブ
(2)寝る前に食べない
(3)タンパク質、野菜は摂る。アルコール、主食をセーブする
の3つです。とても実践的でポイントを絞った栄養のアドバイス。ぜひ皆さんも実行してみてください(※講義のスライド資料 PDF形式を見ることができます。記事と一緒にご覧ください)。
続いて次ページは、中野ジェームズ修一先生による「障害予防」です。