生命力をコントロールする「腎」を補う生薬

ロバの皮を原料とする『阿膠』
ロバの皮を原料とする『阿膠』
馬軍団のテレビや本に登場する漢方素材には、前掲のスッポン、冬虫夏草の他に、朝鮮人参、阿膠(アキョウ)、麦門冬(バクモンドウ)、五味子(ゴミシ)、大棗(ダイソウ)などの名が見えます。これらはどういうものか、早速路京華先生に聞いてみましょう。

「スッポン、冬虫夏草には補腎の働きがあります。腎の働きを補うということです。中医学でいう腎とは、ヒトの生命活動や成長、生殖、泌尿、免疫などに大きく関与している働きを指します。これらはホルモン剤ではありませんが、ホルモンに似たような作用があります」


補腎で先天的な生命力の損失をフォロー

「腎の働きが弱ければ元気が出ません。ヒトの元気を生む源には遺伝的に受け継がれ持って生まれた先天的な生命力と、後天的に得る生命力がありますが、これらの食品や生薬によって後天的な生命力を強めると、持って生まれた生命力を充実させるわけです。

激しい運動は体力やホルモン系を消耗してしまいますから、こうした補腎薬でしっかり補っておかないと、疲労がたまったり故障を起こしてしまいます。スッポンは薬膳料理の食材にもよく使われるほど精のつく食材です。医食同源と言うことでいえば、薬と食品の間に仕切りはないわけですが」

筋肉や骨も「腎」がコントロール

補腎作用は、若さを保つ作用といってもいいわけですから、アンチエイジングの面からも注目されています。中医学では長く研究されているジャンルなので、体質別、症状ごとにさまざまな補腎の処方が開発されています。鹿茸(ロクジョウ)、海馬(カイマ=タツノオトシゴ)なども有名な補腎の生薬です。

子どもの先天的な成長・発育の遅れ、中年以降ホルモンが減少して筋肉や骨が弱くなるといった種々の老化現象の進行に対する処方としてよく使います。補腎薬には、参茸補血丸、海馬補腎丸、杞菊地黄丸などなど数多くあります。