2008トレイルラン、注目グッズ・シューズ特集
お話を伺ったさかいやスポーツシューズ館の斎藤勇一さん。どのスタッフも研究熱心でユーザーのニーズに合ったモデルを的確に推薦。どんな走りに使うのかを伝えよう。レディスモデルも充実。大幅値引きの型落ち品もサイズが合えばお買い得だ |
今回の選択基準は、厳しく要求される条件をクリアして、初心者からベテランランナーにも指名を受けている「定番」モデルと、最新のテックニックを用い、トレイルラングッズ売り場の方から注目されている注目商品としました。
それぞれ、定番となっている理由、注目されるポイントなどを常に消費者の声を聞いているトレイルラングッズ売り場の方に伺ってみました。シューズ編で取材したのは、トレイルラン専用グッズの品揃えが充実している「さかいやスポーツ」のシューズ館です。
下り坂が怖くなくなる超定番トレイルランシューズ「モントレイル コンチネンタルディバイド」
モントレイル コンチネンタルデバイド ¥14,490 |
安心して履けると定評のあるアウトソール |
ヒール部のパターンは下りでカカト着地時に路面に食いこむ |
トップ部のパターンは登りで爪先に体重がかかったときの滑りを防ぐ |
鋸状のパターンが横滑りを防ぐ |
トレイルの路面状況はさまざま。赤土がつるつるの坂道、砂利や岩屑の道、草付き、岩場。急な上りもあれば急な下り坂もあります。丸木の橋や杣道もあります。そんな中を転ばずに走り続けなければなりません(山では転ぶということは往々にして大事故につながります)。不安定な路面でも滑りにくいという原始的な要求に応えることを第一義に考えた結論、それがモントレイルのコンチネンタルディバイドです。トレイルランシューズの中でも超定番とされるモデルです。
ソール面を見てください。登りで体重をかけるのは爪先、下りではカカト。それぞれに鋭角の刻みが入っています。本来、登りで爪先、下りでヒール部に加重な加重をかけるというのは好ましくないのですが(ソールにフラットに力をかけるのがいい)、これならうっかりと足幅を広げてどちらかの足だけに加重した場合でも、大いにフリクション(摩擦)を効かせてくれるでしょう。
要は安定した着地ができるということ、着地が安定するとうまく力を血面に伝えられます。滑るのではないかとビクビクしながら足を踏み出さなくても良いのでストライドも広がり、ピッチも速く走れるということにつながります。
コンチネンタルディバイドのアドバンテージは、特に横滑りに強いという点です。横滑りに対するあからさまなソールパターンが特徴です。時に日本のように赤土に覆われたトレイルが多いと、雨上がりなどの坂道は足下が不安定です。泥濘状になってしまえば大きめのブロックパターンが効きますが、表面がつるつるというようなコンディションではこのノコギリ状のパターンがスリップを止めてくれます。
またアウトソールのセンターに赤いラインがありますが、これはソールに適度な剛性をもたらしてくれるシャンク。デコボコの路面でも足首への負担を軽くしてくれます。
実は、コンチネンタルディバイドの重量は、380g(26cm片足)です。軽いランニングシューズを履き慣れている方にはその重さが気になるかもしれませんが、それは上りでだけのこと。下りでは引力があるので重さはそれほど気になりません。その重さは、実際にも心理的にも不安なく下れるというメリットが帳消しにしています。
あえて欠点を上げるとすれば、このアウトソールが比較的柔らかい素材であること。柔らかいが故に路面に密着して滑りにくくしているので二律背反の機能なのですが、富士山のようなザラザラの斜面を下ってはこのパターンがあっという間にすり減ってしまいます。
赤土のツルツル斜面が多く、長距離を走らなければならない(次第に疲れがたまって着地が不安定になってしまう)日本山岳耐久レースのようなトレイルランにこそコンチネンタルディバイドの真価が発揮されます。山の下り坂に不安を持っている方にもおすすめの一足です。