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マラソンペース配分と100m走との共通性(3ページ目)

100m走でもマラソンでも、ポイントは距離にして70%の地点にあり。これを頭に入れておくと記録も出しやすくなります。世界陸上大阪の女子マラソンを取り上げて検証してみました。

谷中 博史

執筆者:谷中 博史

ジョギング・マラソンガイド

ルイスもイーブンペース

70%で余裕を
どんな距離でも、レースの70%に至って余裕があるペースが好記録につながる
16年前に日本で開催された第3回世界選手権東京大会の男子100mは、カール・ルイスが9秒86で2位リロイ・バレル9秒88を制してのゴールでした。ルイスのレース展開はゲイのように、中盤で追いつきそれから他の選手を抜くというもので後半型だと言われましたが、さにあらず。ルイスが後半に加速しているわけではなく、他の選手が遅れていったのでした。

一般に短距離走は無酸素運動といわれていますが、無酸素運動といえども力の配分が必要なわけです。10秒に満たない時間、マラソンに比べるとわずかに422分の1という距離の中でペース配分を必要としているのです。

他のレース距離にも当てはまる70m=30km

この「70mの壁=30kmの壁」という考え方は、他の距離のレースにも当てはまるように思います。70%のポイントは、5kmなら3.5km地点、10kmなら7km地点、ハーフなら約15km地点にあたります。どのレースでも、この70%地点までは力を余しておくことが、良い記録につながります。70%の地点までに全力を出して走ってしまっては、そこからはズルズルと遅れてしまうでしょう。トレーニングとしてはありえますが、レースにおける賢明なペース配分とはいえません。

日頃の練習では、さまざまな距離を走ると思います。ひとくちに余力を残した走りといってもその時に走る距離によりスピードは異なりますが、要するに70%地点に到達してからもペースダウンせずに走りきれるスピードです。

上は世界陸上レベルから、下は市民レース、運動会といえども、そしてたとえそれが100m走といえどもペース配分が必要なのです。その上ライバルに勝ちたいと思うなら、さらに残り6%で負けない力を蓄えることといってよいかもしれません。



<関連リンク>
マラソン42.195kmについての雑学
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