メリハリつける音楽を走りのお供に
「リスラン」はときに単調になりがちな走りにメリハリをつけてくれる |
そもそも音をアウトドアに持ち出した火付け役は、ソニーのカセットテープ「ウォークマン」。ただ、カセットテープレコーダーは着地時のショックにともなってワウフラッター(回転ムラによる音の不安定)が生じ、ランニングのお供には不向きでした。続くCDプレーヤーは重いのと音飛びがあってこれもダメ。MDプレーヤーに至ってやっとこれならまずまずと思ったのも束の間、メモリータイププレーヤーが取って代わったというわけです。
そして、いまや単に音楽を聴くだけでなく、個々のランニングをサポートしてくれるソフトを組み込むシステムまで登場しました。デジタルとネットテクノロジーがランニングの面白さをさらに広げてくれそうです。
今回は、さまざまなデジタルポータブルオーディオを目的別に選択する際のアドバイス編をお送りします。あなたの音ジョグの選択ガイドに。
リスニングランのメリット・デメリット
安全のため、周囲の音が聞こえるオープンエア型のヘッドホンで走ろう |
■リスランのメリット 飽きずに走れる
・レースの前、音楽によって気持ちを集中させたり高揚させる作用があります。交感神経を刺激するようです。シドニー五輪で高橋尚子選手がヘッドホンを聞きながらリズムをとっていたシーンを覚えている方も多いと思います。ちなみに高橋選手の愛聴歌手はhitomiとのことでした。増田明美さんは石川さゆりの『赤城越え』で、瀬古利彦さんは村田英雄の『王将』だったとか。
・ランニング中に聴いていると疲労の感じ方が減ります。これはどういうことかいうと、聞いている音のために自分の呼吸音が聞こえなくなるのです。苦しくなってくるとある段階から急に呼吸が荒くなり、その呼吸音で自分が苦しい状況になっていると思ってしまうのですが、その荒い呼吸音が聞こえないと苦しさを感じるポイントが上がるようです。聴いている音楽のリズムによってスムーズにピッチが刻めるという効用もありそうです。
・長時間の単独練習での「飽き」を解消してくれます。30~40kmにも及ぶランニング、しかも毎度同じコースを走るとなると、やはり単調で飽きもきます。そんな練習は音楽やラジオを聴きながらですと、飽きずに長時間走り続けられます。
■リスランのデメリット 周囲に注意を
・聴いている音に惹きつけられるほど、周囲への警戒を怠りがちになります。交通の危険、段差など路面状況に対する注意の欠如、ルートミスなどが生じがちです。そこで、リスランはこのような危険がない環境で行ってほしいと思います。公園の中の周回路、歩行者・サイクリング専用路、田園地の農作業路などが最適です。一般道路や歩道を走る間は、安全のために音を消してください。