トレイルランで走るルート
道幅が50cmもないような崖っぷちを走ることもある。気は抜けない |
車が走る舗装路を走っていたのではトレイルランになりません。トレイルとは踏み分け道としましょう。車が通らない未舗装の細道です。もちろん、聖地されているとは限りません。根や岩が出たり草むらだったり、土、湿地、砂礫などさまざまです。道幅も地図でいえば一点破線で、広くてもせいぜい1.5mというところでしょう。急な山の斜面に付けられているトレイルでは、すれ違うのがやっとという狭い場所もあります。
ハイキングで坂道の下り方を体験する
×膝が伸び、体重が後ろに引けて、小石などに靴底の中央から後ろで乗ってしまうというのは最悪 |
○膝はやや曲げ、斜面に対して垂直に靴底全体でかける。小石もこのように押さえ込むように乗れば滑らず、ストッパーの役目を果たす |
下りの基本は、足裏全体均等加重です。足裏全体を斜面にぴたりと吸い付かせるつもりで、力は斜面に対して垂直にかけるつもりです。急な斜面では、つま先だけ出っ張り(岩、根、石)にかけ、スピードを殺します。
膝は常にやや曲げています。スキーの時の要領です。膝が伸びきると安定感を失いスリップ、転倒につながります。コース脇の木立や灌木をつかんでスピードを殺そうとする人もいますが、肩や手を痛めたりしますので、よほどのことがない限り木立には頼りません。もし木立を利用するなら、徐行速度で下るつもりで徹底して利用します。
トレイルランで時間を稼げる人と遅い人の一番の差は、この下降技術。下降が早い人は、滑りやすい斜面なら足裏をぴたりと斜面につけて、なめらかに下り、岩や根っこが出ている急斜面なら足を置くポイントを瞬時に判断しこまめにすばやく足運びをしています。この慣れのためにまずハイキングを経験することをおすすめします。ただし、シューズだけは実際にトレイルランに使用するシューズを履いて体験しましょう。
トレイルランのプランニング
トレイルランコースとして設定されているルートはありません。ルートは自分で計画します。山の中を走りますから、行き当たりばったりでルートを選ぶと迷子になります。街中での迷子と違い、山の中の迷子はやっかい。遭難騒ぎにつながるかもしれません。土地勘のあるところを走るのが安全なのですが、最初はそういうわけにもいかないでしょう。そこで、最初は一般的なハイキングコースを走ってみましょう。隣接する日帰りのハイキングコースを、2つつないだぐらいがオススメ。地図はハイキングコース用の地図を用意しましょう。そこに紹介されているハイキングプランを利用します。地図にハイキングコースとして紹介されているルートは、ほとんどがしっかりと踏み跡がついて、路面も踏み固められ整備されており、道標なども整備されています。さらに、一般的なハイキングルートは土日なら利用するハイカーがいる可能性が高く、もし万が一、ケガをするようなことがあってもハイカーに救援を依頼することができます。
どのくらいのタイムを設定するか?
ハイキングのコースタイムに対して何パーセントになるかはすぐに掴める |
これは走る人のスピード次第です。レースでのタイムの差でわかるように、走力は千差万別です。一概にいうことはできません。しかし、荷物を持たず、軽身のランナーはたとえ歩いたとしてもハイカーより早いことは間違いありません。私の場合、1日6時間程度行動する場合、登りはハイキングコースタイムの1/3、下りは同じく1/2程度です。
しかし、特異的に登りに強いランナー、下りに強いランナーもいます。走力もさまざまですから何ともいえません。一度あまり長くないプランでタイムを取り、ハイキングコースタイムに対して自分が何パーセントぐらいに設定したらよいのか計測するとよいでしょう。もちろん必要なものは背負い、ポイントポイントでタイムを記録しておきます。
私の場合、平均すれば1/2.5ということになります。短いコースの場合は荷物も減り早くなりますから1/3に近づき、8~10時間行動するようなプランの場合、1/2に近づきます。1日に8時間行動しスピードがハイキングコースタイムの1/2とすれば、ハイキングマップ上の16時間分のコースをプランできることになります。これは一般的なハイキングプランの3日分以上にも相当する長さです。
鉄道やバス路線に平行する尾根コースを選ぶ
バス路線や鉄道に平行する尾根コースが安全 |
逆に、鉄道やバス路線に対して垂直方向のルートは、いざというとき山を下り里に出るまでの距離が長いのが普通です。このようなルートはかなり山慣れてからにしてください。
天気の判断は重要。山の天気は変わりやすい
山の天気は変わりやすいといいますが、確かにその通りです。広い高気圧で覆われてでもいない限り、1日のうちに天気は大いに変わるものと思ってください。風も里より強く吹きます。山風、谷風という山ならではの風が発生します。この風の発生に伴って雲の発生、雷雨の発生があります。低山でも、里で降雨確率30%なら山では50%ぐらいと思ってよいでしょう。各地の天気予報情報から山での天気を予報するには、山の経験を蓄積する必要があると思いますが、まずは、天気予報や天気図について興味を持つことから始めましょう。次第次第に経験則ができ上がっていきます。パーティーはどう組む?
トレイルランは、何人で行くのがいいのか? タイムが少なくて済むのはもちろん1人。複数だとどうしても同一行動がとれなく(トイレとか給水が一斉でないとタイムロスが生じる)、人数が多いほど時間がかかります。1人が一番だとは思いますが、事故が心配なら2・3人ということになります(たまには人と会話をしたいとも思うでしょうし)。参加全員の走力が同じでかつ全員がコースを熟知しているなら5・6人になってもいいでしょう。パーティーに遅い人が含まれる場合は、その人に合わせた行動になります。待っている間に身体が冷えるので、グループの中で早い人は防寒着を余分に持っている必要があります。