新緑の森を駆け抜けるトレイルラン入門
トレイルランの醍醐味。山頂に立つ |
暑さとは無縁の緑陰を走る |
俳人芭蕉が日光を参拝したのは新緑の季節、青葉若葉と射し漏れる日の光に、得も言われぬ生命観の偉大さと厳かさを感じ取り、詠んだ一句です。芭蕉ならずとも、大自然の息吹に浸って己の身体を躍動させることは自然の生命力に触れ、自然と融合し、自然のパワーを体内に取り込めるような気がします。気がするだけではなく、実際に森が発するフィトンチッドを浴びる森林浴の健康効果も報告されています。
私はもともと山歩きが好きだったので、走力がついてくると自ずと山を走るようになりました。そのきっかけの一つは、海外登山中に遭難死された下島渓さんが書かれた『ランニング登山』(山と渓谷社)です。この本を読み、それまでは、2泊3日ぐらいかけるのが常識と考えられていた登山コースを1日でこなせると知り、時間がなかった自分もやってみようと思ったわけです。
自分なりにコースを組み立て、「山岳」と呼ばれるようなところを走ることを「山岳走」や「山駆け」、車は入れないけれどもトレールや道標が整備され高度も少ない、いわばハイキングコースと呼ばれるルートや里山歩きのルートなどを走ることをトレイルランと呼び、自分で改良を加えたザックを背負ってトレイルランや山岳走を楽しんでいました。
それから20年近くが経ちましたが、ごく一部の変人扱いされたトレイルランナーが、いまやランニング界に一定の数となり、工夫されたトレイルランニングギアが各種販売され、山岳走の大会はうなぎ登りに参加者の数を増やし、隔世の感といいたいほどの盛況です。
走力を劇的にアップさせるトレイルラン
登りには腰腸筋も腕の振りも総動員で使う |
トレイルランは、走って気持ちが良いだけではなく、マラソンの完走力を高めます。私はフルマラソン3時間10分ぐらいで前後していた時期の後、一気に2時間56分の記録でサブスリーを達成。この走力の飛躍には明らかにトレイルランの実践が効いていました。走力が停滞している人には、トレーニングとしておすすめしたい方法でもあります。
いま山は新緑、しかも晴れれば山の上でもTシャツ・ランパンで走れ、多少道草をくっても日は長く、雪の残るような高所でなければ一年で一番トレイルランに適した季節です。ぜひあなたもこの記事を参考にしてトレイルランの世界を味わってください。トレイルランの入門・基礎講座です。