ジョギング・マラソン/東京マラソン徹底解説&レポート

東京マラソンへの道2「着実なる減量」

来年の東京マラソン完走を目指してトレーニングを開始したN氏。1ヶ月が経過して、周囲から「痩せたんじゃない」と言われ、思わずほころぶ口元。その調子で言ってほしいけど、食事に心配が……。

谷中 博史

執筆者:谷中 博史

ジョギング・マラソンガイド

来年の東京マラソンでマラソン初完走を決意したチキンN氏(詳細は第1回目「東京マラソンへの道1 肥満を解消すべし」をご覧ください)。3月末で、トレーニング(週末2日に計10km走るだけでトレーニングと呼べるのかはさておき)を始めてからちょうど1ヶ月になりました。この間、チキンN氏の人生には大きな変化がありました。なんと、結婚したのであります(おめでとう)。あわただしく沖縄まで挙式にも行ったN氏。

自分の経験からいうと、結婚するとまじめに家で食事をするようになり、一気に肥満した体験があります。旅行先でも走るつもり、と言っていたチキンN氏の脂身は果たしていかに……。

あまりにも個性的な偏食の日々

バナナ
アスリートのお友だち、バナナ。しかし、通常の食事がこれ1本ではいくらなんでも……
ガイド:(痩せてないと思うけど)どうです、少しは痩せました?

N氏:(喜色満面、正々堂々)体重減りましたよ。走り始めてから1ヶ月で、体重87.7kg→86.1kg、体脂肪率22.6%→20.8%に改善しました。みんなから「痩せたね」っていわれます。顔が小顔(もともと大きいが)になったみたいです。

ガイド:それは素晴らしい。やっぱりうれしいでしょ。体重はそんなに減っていなくても体脂肪が落ちているので、外見は余計に締まって見えるようになるんです。どんな食事をしてるんですか?

N氏:トレーングを開始した頃の1週間のメニューがこれです。結構気を遣ってカロリー控えめにしてたんですよ。間食はしてないです。

ガイド:それは感心、感心。では拝見しましょうか……(目がテン)。

N氏の2月25日から1週間の食事
■月曜日
朝8時 バナナ 
昼13時 お弁当(シュウマイ弁当) 
夜24時 カレー(ご飯1膳分)+野菜スープ

■火曜日
朝8時 バナナ
昼13時 お弁当(焼き魚弁当) 
夜24時 カレー(ご飯1膳分)+野菜スープ

■水曜日
朝8時 バナナ
昼13時 お弁当(焼き魚弁当) 
夜24時 カレー(ご飯1膳分)+野菜スープ

■木曜日
朝8時 バナナ
昼13時 お刺身定食
夜24時 しょうが焼き+ご飯1膳+白菜の水煮+納豆

■金曜日
朝8時 バナナ
昼13時 ハンバーグ定食
夜24時 八宝菜+ご飯1膳+白菜の水煮+納豆

■土曜日
朝8時 バナナ
昼13時 お好み焼き
夜7時 水炊き+ご飯1膳+納豆+ビール×2本(500ミリ)+泡盛コップ1杯

■日曜日
朝8時 バナナ
昼13時 お好み焼き
夜7時 焼き魚+ご飯1膳+白菜の水煮+納豆+ビール×1本(500ミリ)+泡盛コップ1杯

ガイド::これは、ペットにしてるインド生まれのおサルさんの食事ですか?

N氏:何を言ってるんですか(怒)。おサルさんが納豆を食べるんですか? 食べる光景を目の前で見せてください(細かい……)。

ガイド:そう言われればそうではありますが。要するに毎日食べないとバナナは傷むし、料理の手間を省こうと大量に作ったカレーを毎日食べてるわけね。カレーくさいって会社で言われませんか?

N氏:いやー、カレー好物だから毎日カレーでもいいですよ。何の不満もないです。カレー業界には、かなり貢献してるんじゃないですか? このサイトにも、カレーの広告入らないですかね……。「ジョグの前にはカレーがおすすめ」みたいな。って、そんなことテーマと関係ないでしょ。

ガイド:失礼しました。

アスリートに理想的なエネルギー摂取とは?

N氏の名誉のために。バランスのとれた食生活もしているようです
ひどい偏りがある中にも、野菜や魚を多くし、揚げものは極力減らすという努力の跡は見られるけど、ダイエット中のアスリートとして考えるといくつも問題が。それは……。

N氏の食事は、朝食、昼食、夕食のエネルギー比率が、1:4:5ぐらいの割合になっています。バナナのエネルギー量は150kcal前後です。しかし、ダイエットのためには、エネルギー消費量が多い昼間に備えて朝食と昼食の比率を高め、エネルギー消費が不活発になる夜の比率を減らして、イーブンに近い3:4:3くらいが理想です。

食事の内容からいうと、エネルギー消費の時間を控える朝食は、炭水化物を多めに(アミノ酸スコアのバランスを良くするために卵料理を加えるとGood)、夕食はエネルギー消費に備える栄養よりも睡眠中に行われる体作りに備えて、タンパク質を多くします。ビタミン・ミネラル類は、どの食事でもまんべんなく摂るように。料理で摂れなければ野菜ジュースなどで。それもできなければサプリメントも活用します。

夕食の時間からすると、食事後速やかにご就寝と思われますが、食事後に体を使わないと、摂取した炭水化物や脂肪は使われる機会を失って脂身化してしまいます。食事後2時間ぐらいは起きているようにしましょう。すぐに寝ざるをえないなら、その分炭水化物、脂肪分によるエネルギー摂取量を減らすようにします。

N氏の場合、夜が遅く、朝はギリギリまで寝ているようで、それがバナナ朝食の原因になっています。ライフスタイルを変えない限りこの食事メニューは変わらなそうですが、こんな工夫も考えてみるとよいのでは……。

N氏は、間食をしないと言っていますが、間食をする、してほしいのです。8時にはバナナ1本でも、10時頃に重めの間食(例えばおにぎりとか、パンとか)をします。その分夕食のご飯を減らします。すると、13時の昼食時はまだお腹が減らないと思います。そこで可能なら昼食時間を遅らせます。無理なら量を減らしてその分、夕刻に間食をします。食事を小刻み化することで、就寝前のエネルギー摂取量を減らそうという作戦です。もちろん1日の総エネルギー量は増やさないようにしてです。

栄養の内容を全体として見ると、タンパク質、ビタミン、カルシウムが不足です。かんきつ類などの果物、菜類、根菜類、キノコ類、豆腐、レバー、小魚などもっとバラエティに富んだ食材を食べるようにしたいものです。走行距離が少ないですから今のところ問題ないようですが、この食事ではいずれ疲れが溜まり体調も崩すでしょう。このような栄養素がなぜ不足しているかと言えば、メニューが重複する例が多いことが原因です。

食事には気を遣っているというN氏でもこのありさま。みなさんも自分の食事を書き出してみると何が多くて、何が不足しているのか、わかりやすいでしょう。

ガイド:というわけです、Nさん。確かにエネルギー量は少ないので体重は減るかもしれないですが、ちょっと心配です。おわかりいただけたでしょうか?

N氏:ガッテン×3。

ガイド:(本当に理解してるのか……)。ところで、肝心のランニングのほうはどうですか?次ページで教えてください。
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