未就学児から大人まで共通のポイント
前傾姿勢で低くスタート。これでスタートからリードだ |
■スタートダッシュで出遅れるな
小中校の運動会ではほとんどがスタンディングスタートです。位置についてで利き足をスタートラインに合わせます。利き足を前にし、足の開きは肩幅程度。両足とも膝をやや屈曲させています。特に後ろ足を伸ばしきらないこと。
「ヨーイ」で体重を前足に多くかけます。腕の位置は両手とも体の横で結構です。リラックスして構えましょう。腕を前後させて構える必要はありません。
上手なスターターなら、一呼吸置いたくらいでスタートの合図をします。園の運動会ではホイッスルが合図だと思いますが、小学校ではピストルを使うかも知れません。小さい子は驚いてしまうでしょうね。音と共にピクッと体が反応すればいいんですが、こわばってしまうと困ります。息をつめないように、「ヨーイ」で大きく息を吸うようにしましょう。
短い距離でスタートに遅れをとるとコータロー(古い……)でなくても一大事です。すぐに5mくらいの差がついてしまいます。小さいお子さんの場合、スターターがいつ合図を発するのか気になり、スターターの方をちらちらと見ている子がいますが、脇を見ているときに合図されると必ずスタートに遅れます。スタートに遅れないようにするには、脇見をしないこと。必ず走る方向を見つめ、耳に神経を集中するようにします。このようなことは、慣れの要素が大きいので、ホイッスルを用意して繰り返しスタートの練習をしましょう。反応速度も練習で速くなります。
■体重を前に移動させる感覚をつかむ
スタート時はすでに前傾姿勢しているわけです。そのまま突っ走るわけですが、姿勢は徐々に起きあがってきます(10mも行かない間です)。そこからはおへそから胸にかけてのトルソ(胴体部分)を引っ張られる感じです。実際にシャツをつまんで引っ張ってあげ、引っ張られる感覚をつかませます。そして常に常に体重を前に移動させる(すなわちやや前傾姿勢で、体の重心より前には足を着地しない)感覚をつかませます。
足を速く動かすには腕を速く振ること
腕は肘を鋭角に曲げた方が速く振れる。肩を支点に肘が弧を描くように前後に振る |
一概に小さい子ほど足の力に比べて腕力が劣るようです。腕がしっかり振れません。しかし、速く腕が振れないことには足が速く動かないのですから、腕振りの練習をしましょう。走らずともその場に立った状態でできます。
■腕は鋭角に折って振る
腕を速く振るためには、本編でも書きましたが、腕の重心を上(肩に近いほう)にもってくる必要があります。そのために、腕を極力折り曲げた状態で振ります。一般的には、肘の角度は90度と解説されています。中長距離走ではピッチが遅くなるのでそれでいいのですが、短距離走では、極力ピッチを早めるために肘の折り曲げ角度は鋭角のほうが有利です。また横振りではなく前後に振らなければなりません。そして肩を支点に腕だけ振って肩を前後に揺らさないこと。これは大人のランニングとまったく同じです。
まず両肘を鋭角にして構えます。その両手を揃えて前後に振ります。前に振り切ったときに、拳と拳の間に最低拳ひとつ入る分くらいの空きがあること。その振りの角度で左右交互に振ります。肩が揺れるようだったら、肩を押さえて腕を振らせ、腕を振る感覚をつかませてやってください。
■レースを想定した時間を振り続ける
さて、この腕振り、速く振らなければ意味がありません。できるだけ速く振り続けます。その時間は、レースに要する時間です。距離にもよりますが、おそらく15~40秒程度です。時計の秒針を見ながら30秒ぐらいいっぱいいっぱいに速く振ってみてください。これを休みを入れて毎日3セットぐらいは練習しましょう。疲れるにつれて肘が伸びがちになるので、鋭角に保つことに注意します(腕を後に引いたときには反動で肘の開きがどうしても90度ぐらいになると思いますがそれは構いません)。
■足は付け根から使う
走りに慣れていない子に多いのが、膝から下だけを前後させるようなちょこちょこ走りです。これではいくらピッチが速くなっても距離がかせげません。
足を開かなければなりませんが、力をこめて無理に開くような走り方はその子にとってオーバーストライドであり、ピッチが極端に落ちてしまいます。
実際に走るときには足を開くことを意識しなくても、自然に歩幅が広くなってくるようにトレーニングを取り入れましょう。
■腿を引き上げるジャンプ運動を
立ち幅跳びで筋トレと、腕振りの働きや体を前に運ぶ感覚をつかませる |