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女王アニカ・ソレンスタム、引退の衝撃(5ページ目)

ゴルフ史に残る不世出のスーパースター、アニカ・ソレンスタムが37歳の若さで突然の引退を表明。改めて女子プロゴルフ界最強の女王の偉大な足跡を紹介します。

児山 和弘

執筆者:児山 和弘

ゴルフガイド

限界を作らない54ビジョン

スウェーデンナショナルチームのコーチ、ピア・ニールソンによる『ゴルフ 54ビジョン』。アニカのプレーを知る目には必携の一冊
3つ目は、アメリカ人でないスーパースターであるという点。アメリカのLPGAツアーには世界中から優れたプレーヤーが集まりますが、キャシー・ウィットワースやミッキー・ライトなど優秀な成績を収めたゴルファーはアメリカ人が中心。なんと1987年に岡本綾子プロが、LPGA賞金女王になるまでアメリカ人以外の賞金女王は存在しなかったのです(つまり岡本綾子は、歴史上初めてアメリカ人以外で、LPGAの賞金女王を獲得したプレーヤー。我々日本人はもっと誇りにしてもいいかと)。

その後、ローラ・デービース(英)らの強豪プレーヤーが登場しましたが、スウェーデン出身のアニカが絶対的な女王として君臨したことはLPGAのグローバル化に大きく貢献し、同時代のカーリー・ウェブ(オーストラリア)はもちろん、朴セリや金美賢らの韓国勢やロレーナ・オチョア(メキシコ)などのインターナショナルプレーヤーの台頭を後押ししました。それはLPGAツアーのヨーロッパ開催やアジア開催へとつながっていきます。

4つ目は、54ビジョンの提唱です。54ビジョンとは、スウェーデンナショナルチームのヘッドコーチ、ピア・ニールソンのコンセプトで、1ラウンド18ホール全てでバーディーを奪い、スコア54を達成するという考え方です。

プロでも64をマークすれば、生涯のベストスコアになるかもしれないほどのビッグスコアですから、54というスコアが現実的にいかに困難かわかります。しかし「54ビジョン」を掲げることで、これまで抱いていた限界を超えるという意味を持っているのです。男子ツアーに挑戦したのもまさに不可能への挑戦といえますし、実際にスコア59という前人未到の達成も果たしました。

アニカ・ソレンスタムのこうした姿勢は、他のゴルファーに大きな影響を与えています。日本でも宮里藍選手が、自らのサインとともに54の数字を入れているのは有名です。競技の成績にとどまらず、ゴルファーの精神的なよりどころになるような大きな存在、それがアニカ・ソレンスタム。

この偉大なプロゴルファーの競技生活も今年いっぱい。恐らく過去2年間女王に君臨しているロレーナ・オチョアに対して、並々ならぬライバル心を燃やしているのではないかと思います。オチョアは既に今季6勝(5月20日現在)。全盛期のアニカを上回るペースで勝利数を重ねています。

中盤に差し掛かったLPGAツアーの動向がますます楽しみなところです。



<関連リンク>
アニカ・ソレンスタム公式サイト(英語サイト)
annikablog.com(英語サイト:本人によるブログ)
アニカ・ソレンスタム プロフィール(英語サイト:LPGA公式サイト)
『アニカ・ソレンスタム 54プレゼンツ』(Amazon.co.jp)
ピア・ニールソン『ゴルフ 54ビジョン』(Amazon.co.jp)
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