ゴルフのロフト角・ライ角の調整

ゴルフのロフト角・ライ角の調整

アイアンでは、ロフト・ライ角が適正なピッチを刻んでいる事が重要。測定は専用器具のあるゴルフショップに依頼

初心者ゴルファーのためのアイアン選び」で、ほとんどのアイアンセットのロフト角・ライ角には、カタログ上の設定数値と少なからず誤差があることを紹介しました。

主にロフト角は距離、ライ角は方向性に影響します。ロフト角は、番手毎に10-15ヤード刻みで距離が打てるように設定されていますが、2度以上の誤差があれば、確実にある番手は飛びすぎ、ある番手は距離が出ないという問題が起こります。

ライ角は、1度違えば打ち出し角が5度変わる可能性があります。また体格によって適正なライ角を使用することが良いスイングでショットするための条件であるとも言われています。

しかし、多くの工程を手作業で行う工業製品であるゴルフクラブには、現状どうしても設定値から誤差が出てしまう現状があります。ほとんど誤差なく製造しているメーカーも中にはあるのですが、それはむしろ例外。大多数のメーカーは、プラスマイナス1度(つまり最大で2度)程度の誤差は許容範囲と考えられています。

一般的には、ロフト角は番手間で4度。長い番手で3度刻みとなっています。ライ角は0.5度刻みです。これらの数値は、ゴルフの歴史の中で適正値となるよう長い年月の中で経験的に採用されたもので、現在もアイアンを語る上できわめて重要な決まりごとです。

ロフト角とライ角は、ターゲットを狙うというアイアンクラブの役割から考えると正確にピッチを刻んでいる必要があります。しかし、非常にショックな事ですが、実際にはほとんどのアイアンで何らかの誤差が出ているというのが現実。アイアンである番手だけ飛距離が合わなかったり、左右どちらかに飛び出しやすかったりする場合は、ロフト・ライ角の誤差を疑ってみてください。
 

ストロングロフトとは?

現在のアイアンはストロングロフト化が進んでいる。以前比べ一番手以上ロフト角が立っているケースも多い。※写真はテーラーメイド「r7 アイアン」
やや話はずれますが、正確なロフト角・ライ角のピッチを推奨するガイドとしては、ストロングロフトを紹介しておく必要があるかと考えています。現在のアイアンクラブは、ロフト角においてはストロングロフト化、ライ角においてはアップライト化が進む傾向にあります。

ストロングロフトとは、同じ番手でもロフト角を立てることです。飛距離は伸びる可能性がありますが、弾道は低くなります。30年前のアイアンのPW(ピッチングウェッジ)のロフト角は50度。現在の人気クラブ、ダンロップALL NEW XXIOのPWのロフト角は44度。その差なんと6度! 6度のロフト差は、つまりアイアン一番手と半分くらいロフト角が立っていることを意味します。普通に考えても同じ番手でかなりの飛距離差がありそうです。

なぜ、このようなストロングロフト化が進むのか。一番の理由はゴルファーの飛距離へのあくなき欲求です。少しでも遠くに飛ばしたいという気持ちは、ドライバーだけでなくアイアンにもあるもの。同伴プレーヤーが自分より短い番手で打っていたりすると思わず力んでしまいます。

ゴルフメーカーは同じ番手でも飛距離が出るよう工夫していますが、アイアンの飛距離アップで一番簡単なのがロフト角を立てることなのです。現在のクラブは、過去の5番アイアンに無理やり”6”と刻印して6番アイアンに仕立てているようなところがあります(厳密には長さがそれほど伸びていないので、刻印だけ変えているというのはややオーバーな表現ですが)。

ストロングロフトの影響でもはやその存在自体が風前のともし火といえるのが、2.3.4番のいわゆるロングアイアン。ショートアイアンなどの短い番手では、ロフト角を立てることによって単純に飛距離アップが見込めますが、長い番手になるとあまりに少ないロフトになるとボールを上げることすらままならない難しいクラブとなってしまい、かえって飛距離をロスしてしまいます。

各メーカーでは、ロングアイアンの番手間ロフトを2度近くに狭めてロフト角を確保しようとする場合もありますが、それでは番手間の適正な飛距離が出ず本末転倒。ボールの上がりやすいクラブを開発するなどの努力も行われていますが、クラブの性能向上が著しい中でロングアイアンだけはかえって難しくなっている感さえあります。そのため現在は、ロングアイアンの距離をショートウッドやユーティリティクラブによって補うケースが主流となっています。
 

ロフト角・ライ角の調整

ロフト・ライ角調整器具の例
ライ角のアップライト化は、ウッド、アイアンを問わずゴルフクラブ全体で進んでいます。ライ角がアップライト(クラブとシャフトで形作る角度が立っている状態)になれば、ボールはつかまりやすく、左に行きやすくなります。アマチュアゴルファーの大多数が右へのミスが多いためクラブもそのような工夫をするようになりました。

くどいようですが、アイアンはターゲットを狙うクラブ。飛距離を出そうとしてロフト角を立てたり、スライスを抑制するためにライ角をアップライトにした現代のクラブにチェンジした瞬間に、これまで培ってきたゴルファーの距離感や方向感覚が狂ってしまうのではないかと危惧しています。

誤差に関して言えば、ガイド自身の経験では、本来、短い番手になるに従い大きくなっていくライ角が番手間で逆転していたり、わざわざ特注でロフト角を指定したにもかかわらず2度ほど立っていたということがありました。きちんと測定すれば大抵のアイアンは多少の狂いがあるようです。こうした製造時の誤差やこうしたロフト・ライ角の変化に対応するためにも、まず自分のアイアンのスペックを測定してみることをおすすめします。

ロフト・ライ角を測定するのはほとんど全てのアイアンで可能ですが、正しいスペックに調整が可能なのは、いわゆる軟鉄製のアイアン。クラブのカタログにはそのアイアンが軟鉄製なのか、ステンレスなのかが記載されています。

ステンレス製のアイアンは、硬いため曲げにくく、また曲げようとする力に対して戻ろうと働く特性があり、調整は困難。ステンレスの中にもソフトステンレスと呼ばれているような比較的軟らかい種類の金属であれば調整可能です。

ステンレスを含めたいわゆる「鉄(スチール)」には、合金の含有比などでそれぞれに特性を持った非常に多くの種類があります。また同じように製造されているアイアンセットでさえ調整しやすいものとしにくいものが存在します。実際の調整はクラフトマンに相談するのがいいでしょう。自分のアイアンが、調整可能かどうかを教えてくれます。

ロフト・ライ角の測定・調整は、専用の器具を使用します。
 

ロフト角・ライ角の測定・調整の実作業

ロフト・ライゲージにアイアンをセットした状態
測定の際には、写真のようにアイアンを専用の測定ゲージにセットします。キズがつかないようにアイアンをはさむ箇所にゴム板などの軟らかいものを挟んでくれるようであれば、それは注意の行き届いたショップ。通常は、いきなり調整を行うのではなく、各番手のスペックを慎重に測定した後、どのようなスペックに調整するかを決定します。調整を行うのはそれからです。
 
調整用のベンディングバー。テコの原理を利用してアイアンネックを曲げる
調整には、ベンディング用の器具を使用し固定したアイアンネック部分を慎重かつ大胆に曲げていきます。この辺はまさに手練の技。0.1度の精度で正確にネック曲げを行います。無理な力をかけたり、調整のために何度も力を加えているとクラブが破損するおそれがあります。

アイアンの固定された箇所や、調整した際にネックなどのメッキ部分にひずみやヒビ割れなどの調整跡がついてしまう場合もあります。これは調整の度合いが大きい場合に発生することが多いよう。2度程度の調整であれば問題ないでしょう。キズが気になる場合は、前もってクラフトマンにキズつかないようお願いしておきましょう。
 
調整は、ロフト・ライ角を測定しながら慎重に行われる
調整後は、再びロフト・ライ角の数値を測定。正確に距離を刻むアイアンが誕生です。
 
現状は、市販されている半分以上のアイアンがロフト・ライ角調整不可能なステンレス製のもの。ゴルフに考えすぎは禁物なので、あまり神経質になるのはおすすめできません。現在使用しているアイアンがステンレス製であっても、今すぐに買い替えを勧めるものでもありません。

しかし、調整されたアイアンを使う喜びはやはり格別。これまでとは全く違ったクラブへの信頼感を得る事ができるでしょう。ゴルフにどっぷりはまりたい人には、まず、こだわってほしいアイアンのポイントですね。


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