DTM・デジタルレコーディング/DTM・デジタルレコーディング関連情報

ゲーム業界における音楽制作環境(3ページ目)

ゲームにおいて重要な位置を占めるサウンド、ゲーム制作会社ではどのようにして制作しているのでしょうか?ファイナルファンタジーXIIIの発売が間近となったスクウェア・エニックスに話を聞いてみました。

藤本 健

執筆者:藤本 健

DTM・デジタルレコーディングガイド

音楽の世界の人には激怒されそうな使い方も!?

--実際、どのようなツールを使うんですか?
祖堅:BGMを作る際、DAWを利用しますが、魔法のサウンドなどでもDAWをよく使っています。ただ、音楽を作るのとは異なり、非常に特殊な使い方をしています。確かにピアノロールエディタを使うのですが、たった5秒くらいのサウンドにノートを1000個くらい使ったり、それにモジュレーションをこれでもかというくらいに掛けたりね。おそらく、普通にDAWで曲を作っている人から見たら、「えぇ~?」と驚くようなとんでもない使い方ですよ(笑)。
スクウェア・エニックス
効果音作りにDAWを用いることも多いが、想定外の変わった使い方をすることも多いという


--ノートの数が多いというほかに、どんな点に驚きそうですか?
祖堅:たとえば、EQひとつをとっても、とんでもない使い方ですよ。「ちょっと高域を持ち上げて」といったものではなく、どっかーンと掛けてしまう。音楽の世界の人がわれわれのEQの使い方を見たら、きっと激怒しますね。単純なところでは、サンプラーにサイン波を読み込ませて使うのですが、通常は基本の音程に近い音域で使いますが、あえて6オクターブも上の破綻した音を使うとか……。いずれにしても通常はありえない使い方、本来想定されていない使い方をするからこそ、効果音的なサウンドができるわけです。それを繋ぎ合わせながらゲームサウンドを作り上げていくのです。

--なかなかすごい作業ですね。
祖堅:そうやって作ったサウンドも、ハード側の制限があって、なかなかそのままでは使えません。各プラットフォームで用意されているサウンド用の限られた容量領域にプレイ時間分の全ての効果音を入れなくてはならないからです。具体的に申しますと44.1kHzStereoのサウンドなら3秒程度の容量に全ての効果音を詰め込むわけですから、とにかくさまざまなアイディアを生かしていきます。数msecといった小さいループ音を100個くらい用意して、それを組み合わせて使ったり……。とにかく数バイトの単位でのせめぎ合いをしてきました。ただ、最近はそうした制約はかなり緩和されました。
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