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アカデミー賞はどうやって決まるの?(2ページ目)

第79回目のアカデミー賞の授賞式が行われました。作品賞は、マーティン・スコセッシ監督の『ディバーテッド』が監督賞とダブル受賞。来年のアカデミー賞に向けて、予想が当たる法則を紹介します。

執筆者:オライカート 昌子


アカデミー作品賞に選ばれる作品が、一番芸術的で完成度が高い作品?

不都合な真実の画像
ゴア大統領が旋風を巻き起こし2部門受賞の『不都合な真実』 配給UIP
アカデミー賞の最高峰が、アカデミー作品賞。その年の代表作品として記録に残ります。

作品賞受賞作には、大きな特徴があるのも見逃せません。毎年、ノミネート作の中で一番、あるいは二番目のヒット作が選ばれているのです。

今年の場合、受賞作の『デバーテッド』は、1億3千万ドル以上を稼いだ立派なヒット作。ほかのノミネート作は、その半分以下の興収です。『硫黄島の手紙』に至っては、『ディパーテッド』の10分の1の興行収入もいっていません。受賞は難しかったと思われます。

同じクリント・イーストウッド監督作品の2004年作品賞受賞作『ミリオンダラー・ベイビー』は、トップだった『アビエイター』とほとんど同じ1億ドル越え作品です。

ディパーテッドの画像
(C)2006 Warner Bros. Entertainment Inc.
もちろん、ノミネートされ、受賞した段階で興行収入は伸びますが、ノミネート後の興収の伸びは、一般の人にも支持されているということにもなります。

作品賞にノミネートされた中でトップの興行収入を上げながら、作品賞を受賞できなかった作品には、特別な理由があるようです。前述の2005年『ブロークバック・マウンテン』は、論議を呼んだ作品でしたし、2001、2002年の『ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間』、『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』は、完結していないということと、ファンタジー作品という問題がありました。(完結編で受賞)

1999年のトップ興行収入作『シックス・センス』も2位の『グリーン・マイル』もファンタジー作品という点が、嫌われたようです。

作品賞は、ファンタジーでもなく、娯楽系のアクションでもない大ヒット作は、かなりの確率で受賞しています。


同レベルの作品が並べば、監督賞と作品賞は割れる

戦場のピアニストの画像
2002年のアカデミー監督賞は、『戦場のピアニスト』のロマン・ポランスキー監督が受賞。
作品賞を選ぶ場合は、完成度や作品の質以上に、ヒットか否かという点が大切なようです。プロデューサーに与えられる賞なので、お金は大事な問題ですね。

一方、監督賞も、ほとんど作品賞と同時に与えられますが、例外もあります。例えば、昨年は、作品賞が『クラッシュ』、監督賞が『ブロークバック・マウンテン』のアン・リー監督でしたし、2002年は、作品賞が『シカゴ』、監督賞が『戦場のピアニスト』のロマン・ポランスキー監督でした。

2002年は、今年監督賞を受賞したマーティン・スコセッシ監督も『ギャング・オブ・ニューヨーク』で、受賞を逃していた年です。接戦だったわけです。

同じく接戦だった年は、作品賞が『グラディエーター』、監督賞が『トラフック』のスティーブン・ソダーバーグ監督の2000年、作品賞が『恋に落ちたシェイクスピア』で、監督賞が『プライベート・ライアン』のスティーブン・スピルバーグ監督が受賞した1998年などがあります。

接戦の年は、作品賞が同じような興行収益で並んだ場合で、飛び抜けた作品がない場合です。今年は『ディパーテッド』が大ヒットしていたため、作品賞も監督賞もどちらも受賞したわけです。

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