盗賊のお城と古都バッハラッハ
糸杉が美しいバッハラッハの船着場で、中央はヴェルナー礼拝堂。バッハラッハには20世紀にはいって再建されたシュタールエック城などもある
城下で盗賊が斬首刑に処されたというライヒェンシュタイン城
続いて出てくるゾーンエック城もかつての盗賊の根城で、そのために何度も破壊されたという。盗賊がこれほど闊歩したのは、もともとこの地を治めていた神聖ローマ帝国が領域を持つ国家ではなく、小さな都市国家の集合体だったことに加えて、皇帝がいない大空位時代を挟む13世紀で、地方をまとめる組織がなかったことが原因だ。盗賊を一掃したのは13世紀末のルドルフ1世だといわれている。
この辺りには城が多く、ハイムブルク城、フェルステンブルク城、ノリッヒ城、そして古都バッハラッハのシュタールエック城へと至る。
ユースホステルとして開業中のシュタールエック城
ちなみにこのシュタールエック城、現在ユースホステルとなっている。ライヒェンシュタイン城やシュタールエック城、次ページのシェーンブルク城、サンクトゴアールのシュロス&ヴィラ・ラインフェルスのように、世界遺産の古城に泊まれるのもロマンティック・ラインならではのアトラクションなのだ。
ユーゴーが絶賛したシェーンブルク城と7つの処女岩
船のような形をしたプファルツ城。カウプの街からこの城へツアーが出ている。右手にあるのがグーテンフェルス城
左上が「美しき城」の意味をなすシェーンブルク城。ここも古城ホテルとして営業している
そしてこの城に伝わるのがローレライの7姉妹物語だ。かつてこのシェーンブルク城には7人の美しい姉妹が住んでいた。多くの男性が彼女たちにいい寄ったが、ことごとく振られてしまう。騎士ヴァルターもそのひとりに恋するが、あとひと息というところで冷たくあしらわれ、ついにライン川に飛び込み自殺を図る。
ところが、ヴァルターが見たのはラインの川底に広がる世にも美しい妖精の国。妖精たちはヴァルターを哀れみ、愛を知らぬ7姉妹を岩に変えてしまう。以来、ローレライの岩からは姉妹たちの悲しい声が聞こえてくるのだという。
ライン川の水位が低いとローレライの上流に現れたのが「7つの処女岩」。かつては多くの船がこの岩のために遭難したという。