ハーフラバーはあくまで「修理用」

炭化
インソールの内側(普段は見えない方)にこびり付いてしまった、汗の塩分が炭化したものです。履き下ろす前にレザーソールにハーフラバーを貼り付けてしまうと、この種の劣化が酷くなるリスクが高まるのは、知っておいて損はありません。


と、ここまで書くと「履き下ろす前に、レザーソールに予めハーフラバーを貼り付けてしまうのはどうなの?」との声も、当然ながら聴こえて来そうな気がします。靴を長持ちさせる目的で、これをやられている人が案外多くいらっしゃるみたいですね。ただ、本当に長持ちさせたいのであれば、紳士靴の場合はむしろ逆効果ですよ。

ハーフラバーを貼ると確かに丈夫さや安定性、それに耐水性は増すのですが、それはレザーのアウトソールに厚い覆いをかぶせる事も意味し、持ち味である通気性は大きく損なわれてしまいます。その結果、インソール(中底)とコルクの間に溜まる汗の塩分の逃げ場がなくなり、その場で炭化するのを通じて、アウトソールではなく足に直接触れるインソールを劣化させる事に繋がるからです。インソールは一部のメーカーを除いて交換は事実上不可能ですので、どちらが靴としての長寿に繋がるかは明らかでしょう。

ラバーソールの靴でも近年では、レザーソール並みに軽くて見た目もスマートなものが増えていますし、境界部の接着技術の進歩で「前半分ラバーソール・後半分レザーソール」なる複合系を搭載した靴も出て来ました。滑り難さや耐水性を重視したい場合には、それらを初めから買い求める方が素直でもあるので、履き込んでレザーのアウトソールがある程度薄くなった後なら兎も角、履き下ろす前からいきなりハーフラバーを貼り付けてしまうのは、紳士靴の場合はまるで良質な赤ワインをコーラで割って飲む様なもので、もはや「勿体ない」の一言です! ヒールの高さや細さ、それにレザーソールの薄さの為に安定性に難のある婦人靴ならば、「最初から……」と言う選択肢もまだ理解できますが、紳士靴ではそれはあくまで修理用と考えた方が良い気がします。


と言う事で今回は、レザーソールの「修理」に焦点を当ててあれこれお話し致しました。これも靴の使用環境や履き手の体格や歩きグセ次第で、選択肢は変化し得るものですので、まあ、あくまで目安とお考えいただけると嬉しいです。えっ、レザーソールの修理と言えば、もう一つ「あれ」が欠けていないかって? 皆さん鋭いっ! それについては次回までお待ちを!



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