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靴の「底」について深く考えてみる その1(2ページ目)

今回から暫くの間、この「メンズシューズ基礎徹底講座」では靴に使われる「底」特にアウトソールの種類について解説致します。今回はまず、最も基本で原始的かつ、やっぱり一番普遍性の高いものから!

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

全てのソールの原点、そして到達点の牛革!

牛革
牛革製のレザーソールは、現在の全ての底材の原点と言えるでしょう。一部の性能については確かに他素材に劣ってしまうものの、総合的には非常に使い易く、依然「ソールの主役」であるのには納得です。


紳士靴の底材として最初に触れなくてはいけないのは、やっぱり牛革=レザーソールでしょう。分厚いステアハイド・カウハイド等の原皮を用いて、殆どの場合は植物タンニン鞣しを施し、銀付きの状態で素仕上げを施したものが用いられます。まあ、極々一部にはコンビ鞣しのものもありますし(主にゴルフシューズに用いられます)、最終的には銀面を軽く削ったり、「カラス仕上げ」と称して表面を着色する場合もあるのですが。

原点、そして到達点と呼ぶに相応しく、総合的には極めて高性能で、特に自然な通気性と耐熱性には格段に優れ、しなやかさとクッション性に関しても正に絶妙な塩梅です。また、履き込むに従い足馴染みが格段に良くなり、取り扱いに僅かにコツがいるものの、結果として快適性が一番持続する素材と言えるでしょう。更に革質の選択も靴メーカーにより様々で、その着用感・着地感の違いを深く愉しめるのも魅力です。代表的なものとしては、植物タンニン鞣しを行う過程で、楢や樫の樹皮(おが屑)等にじっくり浸したり、場合によっては地中に埋め込んだりするなどして、完成までに約1年掛ける通称「オークバークレザー」等が挙げられ、特にドイツのレンデンバッハ(Joh Rendenbach Jr.)やイギリスのバーカー(J&FJ Baker)のものが靴好きには有名です。

ただし、他素材に比べ耐水性やグリップ力ではどうしても劣ってしまうので、慣れないと雨の日には使い辛いのは事実で、流石に雪の日には怖くて使えません。あと、必ずしもそうでもないにもかかわらず、最近は「重い」と言う誤解を多くの方が抱いているようです。慣れてしまえば決して重さは感じず、厚目のものでも寧ろ軽ささえ感じるのですが、足に大きな問題がないにも関わらず、それが理由でレザーソールを敬遠されている方が増えているのだとしたら、これはいささか残念でなりません。


次のページでは、ちょっと脱線。個人的に好きなレザーソールのお話をします! 意外な名前が出て来ます、多分。
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