今のイギリスの靴よりイギリス的!
AUTHENTIC SHOE & Co.の外羽根式フルブローグブーツ・”WINCHESTER”です。もはやイギリス本国のメーカですらすっかり忘れてしまった感のある、これぞThe English Shape! ドレスシューズ好きなら「欲しい……」と思わずにはいられない、ある種の魔性すら感じます。 |
次に登場しますのは、竹ヶ原氏的な解釈でドレッシーさを徹底追求したブランド「AUTHENTIC SHOE & Co.」から、外羽根式フルブローグブーツ・”WINCHESTER”です。もう、これは小生の記事の熱心な読者の方なら、たちまち「カッコイイ……」と息を呑んでいただける筈。様式美を高次元に理解している彼だからこそ製作可能な、思いっきり正攻法のドレスブーツです。
トウシェイプやかかと周りそれに土踏まず部のくびれなど、単に美しいだけでなく履き心地も良いだろうなぁと容易に想像できる、圧倒的な造形を備えています。かかとから地面側に下がるに従ってヒールが徐々に指側に傾斜してゆく「ピッチドヒール」や、土踏まず部から前方をダブルソールとした「ハーフミッドソール(この通称がスペードソール)」など、細かい仕様にも妥協が全くありません。更にはブローギングの外側に通常施されるギザギザ(これを「ギンピング」とか「ピンキング」と呼びます)も何気なく省略されているからでしょうか、「外羽根式ブーツ=スポーティ」なる一般常識を、心地良く裏切ってくれる上品さを感じるのです。
アッパーには磨き甲斐のあるフレンチカーフを用いていますから、履いている時だけでなくお手入れも、楽しい時間になること間違いありません。ストリートカジュアル的に合せるのも全く構わないけれど、折角だから若い読者の方でも、プリンスオブウェールズチェックの3ピーススーツの足元になど、一度でもいいのでバシッと隙無く合せてみて下さい。今日巷で曖昧に定義されている「クラッシック」なる装いに対する、竹ヶ原氏らしい極めて鋭い問題提起とも申せる作品ですので、その本来の意味のように、長い年月を掛けて付き合ってゆくことで、シワだけでなく時にはシミや亀裂すら美しく思えてしまうブーツに、どうか育てていただきたい!
【AUTHENTIC SHOE & Co./WINCHESTER】
■色 : ブラック、ブラウン
■アッパー素材 : フレンチカーフ
■底付け製法 : グッドイヤー・ウェルテッド
■ソール素材 : オールレザーソール、ハーフミッドソール仕様
■サイズ : 25.0~28.0 1/2サイズ刻み。
■価格 : いずれも一足\134,400(税込み)
かかとの部分を真後ろから撮ってみました。ホールド感に優れた小振りな造形になっているのがお解かりいただけるかと思います。ヒールも気持ち高めで、しかも逆台形状になっているなど、様式美を理解し切っているが故の細かい魅せ方です。 |
かかと側から前方を覗いて見ました。土踏まず部が鋭く抉られているので、足への密着感はもう、ご想像出来ますよね! くるぶしより上で鳩目の代わりに用いられる「スピードフック」の金色も、素晴らしいアクセントになっています。 |
リラックスした作品でも、竹ヶ原氏の靴は唸らせてくれます! 詳しくは次のページへ!