あっ、これはカジュアル以外にも履けるぞ!
Shetland Fox・STANFORDシリーズのローファーです。ヴァンプがやや長い割につま先にやや厚みを持たせた多国籍風な風貌は、汎用性が広そう! ご職業によってはビジネスの際にも問題なく履けそうです。 |
通常のShetland Foxに話を戻して、この度の記事で最後にご紹介致しますのが、スリッポンに特化したこちらのSTANFORDシリーズです。「スリッポン」と耳にすると、どうしてもカジュアルなイメージが先行しがちですが、このシリーズの靴は必ずしもそうとは限らず、ヴァンプに施された細かいモカシン縫いなどから、逆にドレッシーな印象が前面に出てまいります。因みにこのモカシン縫い、二枚の革を接合する通常のものではなく一枚の革の上に施されたあくまで「飾り」であるものの、革の断面を貫通させない非常に手の込んだスキンステッチ仕様になっています。
「フィット」と言う観点から見ると、実はスリッポンはレースアップの靴以上に設計が難しい代物! 調整弁の役割を果たす羽根や靴紐が無い分、例えばトップラインのみがカパッと開きっ放しになってしまうなど、木型と足との形状の微妙な差がより如実に出てしまうからです。それを考慮しこのシリーズでは、他のシリーズに比べつま先の内くるぶし側への「内振り」を確信犯的に幾分抑え目に設定し、またつま先の上下方向の厚みを気持ち持たせることで、レースアップの靴とはまた異なる軽快なフィット感を、細身のスタイルを維持しつつより多くの人が味わえる造形としています。また、底付けにもマッケイ製法の発展形で「カエリの良さ」ではグッドイヤー・ウェルテッド製法より優れるブラックラピド製法を採用し、木型の設計との相乗効果を図っているのが大きな特徴です。
アッパーには前回ご紹介したKENSINGTONシリーズと同じフランス・アノネイ社のカーフを用いることで、靴としての軽快感と安定感とのバランスを見事に取っているのも特筆すべき点でしょう。「仕事」の形態がこれだけ多様化している昨今においては、この位のさじ加減の方がかえって、「ドレスシューズとしては紐靴よりもこっちの方が使える!」と感じる方も多いかも知れません。このシリーズを見た時、小生は昔のREGALやShetland Foxに存在したタッセルが大き目でかかとに「キッカーバック」と呼ばれるモカシン縫いの装飾が付いた、「ポロタッセル」と言う名のスリッポンを思い出してしまいました。あれも確か底付けがブラックラピド製法で、硬軟両派に滅茶苦茶使えた靴だったんですよ…… このシリーズでは既にタッセルスリッポンがあるから難しいでしょうが、REGAL TOKYO限定で構わないので(懲りずにまた言ってしまった)現代版の「ポロタッセル」、これでどうか復刻して!!
【Shetland Fox/STANFORDシリーズ】
■スタイル : A. ローファー、B. タッセルスリッポン
■色 : ブラック(全て)、コニャックブラウン(Aのみ)、ダークブラウン(Bのみ)、バーガンディ(Bのみ)
■アッパー素材 : フランス・アノネイ社製カーフ。
■底付け製法 : ブラックラピド
■ソール素材 : オールレザーソール。オープントラック仕様。
■サイズ : 5 1/2~9 1/2サイズ刻み。 いずれもJIS Eウィズ相当
■価格 : いずれも一足\39,900(税込み)
と言うことで、2回に渡ってShetland Foxの各シリーズの魅力を詳しくご紹介してまいりました。残念ながら買えなかったけれど、学生時代の小生に
「本当に良い紳士靴とは、一体どういうものなのか?」
を具体的に教えてくれた、言わば今日の小生の生業の原点を作ってくれたブランドでもあるので、完全復活と聞いていつも以上に思い入れの濃い文章になってしまったかも知れません(申し訳ない)。もちろんその時代のものとは見た目こそ大分変化していますが、日本の既製靴の頂点を極めようとする姿勢に変化はないと思いますし、額面上は確かにそれなりのお値段ながら、真摯な作り込みの割にお買い得感も十分にあります。長い眠りから覚めたブランドとしての再成長、大いに期待しようではありませんか!
【お問合せ先】
■REGAL WOMEN 銀座店 2F
住所:〒104-0061 東京都中央区銀座1-6-13 106GINZA BLDG 2F
地図: Yahoo!地図情報
Tel:03-3561-2415(2F直通)
営業時間:10:30~20:00
定休日:元旦および不定休
HP: リーガルトーキョー
なおShetland Foxをはじめ、このお店の最新ニュースはREGAL TOKYO REPORTにてお伝えしています。
STANFORDシリーズのつま先を斜め方向から撮ってみました。飾りモカシン縫いによる細かなスキンステッチが、とにかく美しい! トウシェイプが細身な分、つま先に厚みを気持ち持たせることでスリッポンらしい軽快な履き心地を実現させています。 |
EDINBURGH シリーズの靴を真上から撮ってみました。履き口の「笑い」を防ぐため、このブランドの紐靴に比べ各ポジションでのベクトルは比較的統一されていますが、それでも普通の靴に比べると十分散らばっていますよ。サドル中央部の、韻を踏んだような線の出し方にも要注目! |