一見超モダン、でも実は超古典的!
Shetland Fox・KNIGHTSBRIDGEシリーズのギリーです。極めてモダンな様相を呈していますが、意外と言うべきか当然と言うべきか、これがイングリッシュドレープ系のスーツにも見事に合ってしまうのだよ! |
次に登場しますのは、このブランドでは最もスタイリッシュと申せるKNIGHTSBRIDGEシリーズです。これを初めて見た時、1980年代のShetland Foxの残像がはっきり残っている小生は、正直瞬間、戸惑いました。「ああ、このブランドでもやっぱり御時勢でロングノーズを出すのかな」と。でもよーく眺めると、ここ10年来巷で流行ったそれとは、何かが明らかに違う…… 靴屋やセレクトショップとは違う、全く別の場所で見たような…… あっ、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館に置いてあった、1930年代の靴のシェイプそのままの「鋭さ」だよ、これ!
そうなんです。このシリーズは一見大変現代的な顔立ちに見えながら、実は古典的な靴の意匠をふんだんに取り入れているのが特徴! 前ページのKENSINGTONシリーズとはある意味正反対のキャラクターを備えているのです。一番上と一番下の写真でお解りのとおり、特につま先から甲にかけては惚れ惚れしてしまうほどの、まるで万年筆のペン先のように低重心な造形になっているので、「果たしてこれに足が入るのか?」と誰しもが疑問に思うでしょう。ところがこれが痛くも緩くもなくピタッと快適に入ってしまうのですから驚きでして、木型のみならずデザインパターン(紙型)も相当工夫されているのだと推察できます。
こちらのシリーズの底付けはグッドイヤー・ウェルテッド製法とし、またアッパーには落ち着いた色感で定評のあるフランス・アノネイ社のカーフを用いている点も、鋭いシェイプながら腰の据わった印象を与えるのに一役買っているのだと思います。合わせる服がどうであれ、これを履く時は同じ色合いのファーフェルトのソフト帽をついつい被りたくなってしまいそう! また、ここには写真を敢えて掲載しませんでしたが、ギリーとダブルモンクストラップにはミディアムブラウンとなんとベージュのキャンバス地とのコンビ仕様がありまして、これこそまず実物を是非ともご覧いただきたい! 往年のイングリッシュドレープスタイルなんて興味がなくっても、絶対に白麻のスーツやパナマ帽が欲しくなりますから。
【Shetland Fox/KNIGHTSBRIDGEシリーズ】
■スタイル : A.ギリー、B.内羽根式5穴ストレートチップ、C.外羽根式2穴Vフロントプレーントウ、 D.ダブルモンクストラップ
■色 : ブラック(全て)、バーガンディ(Aのみ)、ダークブラウン(B・D)、ミディアムブラウン*ベージュキャンバスのコンビ(A・D)
■アッパー素材 : フランス・アノネイ社製カーフ
■底付け製法 : グッドイヤー・ウェルテッド
■ソール素材 : オールレザーソール。オープントラック仕様。BとDには前半分をイタリア・ビブラム社製ハーフラバーソールとした仕様もあります。
■サイズ : 5 1/2~9 1/2サイズ刻み。 いずれもJIS Eウィズ相当
■価格 : いずれも一足\44,100(税込み)
KNIGHTSBRIDGEシリーズのトウシェイプは、典型的なポインテッドオーヴァル。古典的にも現代的にも見える、引き締まった造形です。長いだけで間延びした感の強い昨今のロングノーズ系とは、一線を画した出来栄えです。 |
KNIGHTSBRIDGEシリーズのつま先を、今度は側面から撮ってみました。低い! そして何よりカッコイイ! まるで万年筆のペン先みたいですが、これで日本の大抵の人の足にフィットしてしまうのですから驚きです。 |
次のページでは、お待たせいたしました。イギリス靴好きなら泣いて喜びそうなシェイプを持ったシリーズのご紹介!