良いフィット感のためなら、妥協はしません!
Shetland Fox・KENSINGTONシリーズの内羽根式ストレートチップです。一見何気ない顔つきですが、設計はインポートシューズ以上に凝りに凝りまくっています。ムラ感がむしろ艶やかに見える、イタリア・イルチア社のカーフも魅力的! |
最初にご紹介したいのは、やはりこのブランドのフラッグシップであるKENSINGTONシリーズでしょう。ご覧のとおり、一見極々普通の「伝統的ないい靴」的な顔立ちですが、実力はその期待をある意味心地よく裏切る、大変進歩的なものです。
「ファクトリーである程度の数を製造する靴として、技術と美観をどこまで極めることができるか」
を徹底的に追求したシリーズと言え、この品質でインポート品ですと恐らく10万円近辺の価格設定にならざるを得ないのではないでしょうか?
例えば快適な履き心地に繋がる「深い絞り込み」を土踏まず部の内くるぶし側だけでなく外くるぶし側にも出すため、このシリーズでは底付けの製法を「前半分グッドイヤー・ウェルテッド、後半分マッケイ」と手の込んだハイブリッド状態にしたのが特筆すべき点です。マッケイ製法を採用した部分はウェルトも中底のリブも付けなくて済むので、そのエリアの底面を結果的に薄くでき、単にフィット感だけでなく軽量化と見栄えの向上にも貢献しています。また、底の表面からは縫い糸が見ない「伏せ縫い」状態になっているものの、この靴はもちろん純正のオールソールリペアが可能ですのでご安心あれ!
黒はもちろんのこと、特にコニャックブラウンの上品な妖艶さがたまらないアッパーの革は、イタリア・イルチア社で鞣されたもの。以前はレディスの高価格帯の靴に用いられることが多かったこの会社の革ですが、柔らかく滑らかな表面とご覧の通りの素晴らしい色出しで、某ラグジュアリーブランド系紳士靴メーカーの上級グレードに採用された辺りから、ここ数年でメンズの世界でも急速に評価が高まっています。木型や縫製の良さもさることながら、このソフトな革が足にピタッとまとわり付く感触でとどめが刺される履き心地の素晴らしさを、特に近年のインポートシューズを履き慣れた人にこそ味わっていただきたい!
【Shetland Fox/KENSINGTONシリーズ】
■スタイル : ストレートチップ、メダリオン無しフルブローグ。いずれも内羽根式6穴
■色 : ブラック、コニャックブラウン
■アッパー素材 : イタリア・イルチア社製カーフ
■底付け製法 : 前半分グッドイヤー・ウェルテッド、後半分マッケイ
■ソール素材 : オールレザーソール。伏せ縫い仕様
■サイズ : 5 1/2~9 1/2サイズ刻み。 いずれもJIS Eウィズ相当
■価格 : いずれも一足\54,600(税込み)
KENSINGTONシリーズの底面です。土踏まず部が内くるぶし側だけでなく、外くるぶし側も大変深く、かつ立体的に絞られているのがお解りでしょう。半カラス仕上げで塗装するなど、仕上げにも全く妥協していません。 |
KENSINGTONシリーズのインソールを撮ってみました。縫い糸の有無で土踏まず部より後ろがマッケイ製法、前がグッドイヤー・ウェルテッド製法であることがお解りいただけるかと思います。それにしてもこの靴、曲線・曲面がうねるうねる! |
次のページでは、一見最もエッジな雰囲気を持ったシリーズのご紹介!