男の靴・スニーカー/シューケア・手入れ

グローブレザーの革靴をケアする!(2ページ目)

今回の「シューケア技術向上講座」はグローブレザーの靴のケアについてです。オイルドレザーとは質感もお手入れ方法も似て非なることはあまり知られていません。三軒茶屋の銘店・SEPTISの店長直伝の方法もご伝授!

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

オイルドレザーと似ているようで、全く違う!

オイルドレザーVSグローブレザー
いずれもBASSの「ウィージュン(Weejuns)」ですが、向かって左がオイルドレザー・ラバースポンジソール仕様の”Warren”、右がグローブレザー・レザーソール仕様の”Logan”です。しばし混同される両者の質感は、並べてみれば違いが一発で解ります。 いずれも一足¥17,640(税込み) SEPTIS


「グローブレザー」とは、本来はその名の通りアメリカを代表するスポーツ・野球で使われるグローブ(グラブ)に用いられるのを目的に鞣された革のこと。弾力性や伸縮性に優れ軽い革に仕上がる現在一般的な「クローム鞣し」を行った後で、堅牢性や耐摩耗性に優れる古くからの方法の「タンニン鞣し」を行う「混合鞣し(コンビ鞣し)」によって作り出され、双方の長所を引き出すのが特徴です。このグローブの世界にも、「ヨーロッパ産のキップが素晴らしい」とか「いや北米産のステアハイドが最高!」とか、靴と同様に革質に持ち主の好みが色々とあるようですよ。

ただ「グローブレザーでできています」と謳われている靴やカバンに、上記の「本来のグローブレザー」が使われているケースは、実はあまり多くありません。つまり、今日一般的に「グローブレザー」と呼ばれているものには、その風合いからヒントを得て「クローム鞣し」のみで作られたものも含まれている訳ですが、これらは品質が本来のものより劣るのではなく、あくまで使用目的が異なるが故のアレンジと考えていただければ結構です。その代表例が、かつてアメリカのCOACHのカバンで暫し用いられていた「グラブタンレザー」と申し上げれば、お解りいただけるかな?

いずれにせよ、その厚みの割には柔らかく、瑞々しくもマットな風合いに素朴さを感じさせるグローブレザーは、スムースレザーに比べれば畏まっておらず、オイルドレザーほどワイルドではない独自の立ち位置を有しているはずなのですが、靴の世界ではしばしオイルドレザーと勘違いされがちです。ただ、上の写真をご覧いただければ両者の違いは一目瞭然で、オイルドレザーは色調も油っぽさが前面に出て感触もヌメッとしている一方、グローブレザーはいずれもサラッとあっさりしているのが特徴。どちらも表面の「ツヤ」をそれほど必要としていない点では共通ですが、その質感の違いから、後者に用いるべきケア用品は当然ながら前者とは異なってくるのです。


次のページは、グローブレザーを用いた靴のケアについて。まず予想できないものが2つ、登場致します!
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