男の靴・スニーカー/シューケア・手入れ

イントレチアートレザーの革靴をケアする!(2ページ目)

今回の「シューケア技術向上講座」は、メッシュレザーの靴のケアについて。イントレチアートと呼ぶ方が今やポピュラーですが、そのケアは案外知られていません。似た構造のパンチングレザーのケアと合わせてご紹介!

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

最近は精巧な「型押し」も人気!

メッシュレザー拡大
前のページのコンビフルブローグのメッシュ部分を拡大してみました。ごく最近では、これに精巧に似せケアも遥かに簡単な「型押しレザー」も登場しています。


細い革を編み込むことで形成される「メッシュレザー」ですが、これはどうやら典型的な和製英語らしく、英語では専らその構造通り”Woven Leather” と呼ばれます。この種の革をアッパーに用いた靴が日本で本格的に広まり始めたのは、敗戦の傷が癒えだす昭和30年代前半からのようで、当時のイタリアで流行っていたスリッポンのデザインを強襲したものが主流でした。その頃青春を謳歌していた小生の親に言わせれば、これは「おしゃれな人が履く、大変モダンな紳士靴」だったのだそうです。

が、欧米諸国ではともかく、全く残念なことに我が国では、この種の靴のデザインの進歩が以後事実上行われて来なかったと申しても過言ではありません。せいぜい1980年代後半~終盤のソフトスーツ全盛時代に、バリエーションが若干増えた程度。したがって「かつての流行最先端」は次第に「もはや時代遅れ」に成り下がってしまい、前のページでも書いたようにすっかり「ダサい!」というイメージが定着していました。

この状況に漸く変化が訪れるのは、本当にごく最近のことです。某ラグジュアリーブランド傘下に入りイメージ再構築に成功したイタリアのボッテガ・ヴェネタ(Bottega Veneta)が、イタリア語で「編み込んだ」という形容詞を意味する「イントレチアート(Intrecciato)」と称し、この構造をカバン類に多用したのが注目され、靴やサンダルにも応用されるようになったのが契機です。以前のものに比べ、編み込む革の幅が太めになっているのが昨今のトレンドのようです。

強度の絡みなどもあり、靴にはカーフのみならずラムスキン(仔羊革)やキッドスキン(仔山羊革)それにカンガルーなど、薄くて柔らかい革を用いることが多く、それは「パンチングレザー」も同様です。ただ手であれ機械であれ、細い革を編み込むのは極めて面倒な工程! だからでしょうか、この「イントレチアート」が注目され始めるのと平行して、それに精巧に似せた「型押しレザー」のものも結構出回りだしていて、それはそれで面白いアイデアでしょう。この場合は単なる牛革の「型押し」ですから、ケアは特段気にせず通常のスムースレザーの革靴のケアと同じで構いませんよ!


次のページは、本来の編まれたメッシュレザーやパンチングレザーの具体的なケアについて!
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