男の靴・スニーカー/ドレスシューズ

躍動、迫力、フルブローグ その2(2ページ目)

「メンズシューズ基礎徹底講座」第6回は、前回に引き続きフルブローグのバリエーションをご紹介いたします。似たようなスタイルなのにそれぞれに独特の個性が光るのが、たまらないのです!

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

精悍かつ清楚な、ブラインドフルブローグ

三陽山長のブラインドフルブローグ
三陽山長のブラインドフルブローグ「珠八郎」。和の精神にイギリス靴のエッセンスをふんだんに盛り込み、日本の既製靴界に大きな旋風を巻き起こした三陽山長。この靴も凛とした佇まいが魅力的です。


フルブローグは、何も全てゴテゴテ・ゴツゴツな印象のものばかりではありません。ブローギングを全てシンプルなステッチに置き換え、つま先のメダリオンも省略した、この写真のような「ブラインドフルブローグ(ステッチドフルブローグ)」は、スッキリとした顔立ちが一大特徴です。

内羽根式・外羽根式どちらもありますが、前者の方がより清楚な感じが強調されます。靴のデザインって本当に小さな面積の中で行われているのですが、普通のフルブローグとこのブラインドフルブローグほど、僅かな違いで見え方のみならず意味そのものが全く異なってしまう靴は、ないかもしれません。精悍な印象が、嘘みたいに強まるのです。

黒のこれは、流石に正式なフォーマル・礼装には用いることができませんが、例えば濃紺無地のダブルブレストスーツなど、セミブローグを含め通常はブローグ系の靴を合わせづらい、ちょっと畏まった雰囲気を持つ服にも合わせることが十分可能です。また茶系のものは、紺のブレザーをキリッと着たいときなどに持ってくると、装い全体の表情が格段に引き締まりますよ。


どれかは気に入るものが、必ずあるはず!

フルブローグの履き方の一例。その2
フルブローグは組み合わせ次第で、ビジネス用にも休日用にも使える便利な靴です。


前回も申し上げましたが、このフルブローグは、スーツだけでなくジャケット・トラウザーズ(これは英語です。米語だと「パンツ」です)スタイルを上手に引き立ててくれる靴のような気がします。素朴なチェック系のジャケット、例えば秋冬ならばツイード春夏ならば綿や麻辺りでしょうか、これらをしっかり着たい時には、足元にこの靴があると装いに俄然安定感が増してきます。

中でも紺やキャメル色のブレザーとのコーディネートは、昔からの王道中の王道です。何を隠そう小生も、スーツまでは必要はないけどある程度はしっかり装わなくてはならない場合、ふと気付くとこの「紺のブレザーとフルブローグ」の合わせが多くなっています。ワンパターン……まあ、確かにそうだなぁ(恥)。でも、時代に流されない着こなしのベースを幾つか持っておくと、それはそれで様々な場で重宝するんですよ。トラウザーズ・シャツ・タイの組み合わせをチョコチョコッと変えてしまえば良いのですから。

今回ご紹介したように、この靴は単に内羽根式・外羽根式に限らずバリエーションが様々ですから、こまめに探せば自分の体格や性格や使用目的、それに服装の趣味に合うものが、必ず見付かるかと思います。靴メーカーの特徴・クセも出やすいスタイルなので、楽しみながら「お気に入り」を選んでいって下さい。



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