男の靴・スニーカー/ドレスシューズ

躍動、迫力、フルブローグ その1

「メンズシューズ基礎徹底講座」第5回はフルブローグの靴を採り上げます。オン・オフ双方に使える靴として世界的に人気の高いこのスタイルは、靴メーカーやブランドの「センス」が如実に表れる靴でもあります。

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

比べてみよう、セミとフル!

セミブローグ&フルブローグ
どちらも「ブローグ」ではあります。が、このように突き合せてみると、両者の違いは一目瞭然です。


まずは上の写真をご覧下さい。向かって左、ブローギングが一文字状のものが前回解説したセミブローグ。かたや右側、それがW字状のものが今回お話するフルブローグです。そもそも「ブローギング」ならびに「ブローグ」とは一体何なのか? は前回の記事をお読みいただくとして、大変似かよった靴だからこそ使い分けたくなるのが、紳士靴の面白さであります。


躍動感ある内羽根式

チャーチのチェットウィンド
内羽根式のフルブローグと言えば、チャーチの名作・チェットウィンドを出さないわけにはいかないでしょう。これは「73」ラストを用いた旧モデル。「173」木型で展開する現行品は当初「サンドリンガム」と言う名でデビューしましたが、2007年秋からはそのモデルに「チェットウィンド」の名を冠しています。


こちらはフルブローグの内羽根式です。つま先のブローギングの形が異なるだけで、セミブローグ以上に表情に躍動感がグッと加わります。

躍動感だけでなく、どこかしら和らぎも加わっているのが、このスタイルの面白いところ。これだけ賑やかな顔ですので、内羽根式といえども当然フォーマルユースには履けません。実際イギリスでは、黒のものは典型的なビジネスシューズとして、また茶系のものは休日の散策に最適な靴として、このスタイルは昔から使い分けられています。

一方それ以外のヨーロッパの国々やアメリカ、それに日本では、スムースレザーのものであれば黒は勿論のこと、茶系のものでもごくごく普通にビジネススーツに合わせられています。誠実さと親近感の双方が表現されている顔立ちなので、どちらの色でも仕事の上で普段使いしやすい靴であることは確かです。

次のページは「迫力がさらに増す外羽根式」などです。
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