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分割式ドライブシャフトブーツ……新型は耐久性も向上!

ひと昔前までは応急処置用と思われていた分割式ドライブシャフトブーツ。しかし、現在では分割面の接合方法が改善され、耐久性の面でも問題なく使えるクオリティを実現しています。今回は分割式ドライブシャフトブーツの耐久性や交換方法について解説します。

執筆者:宮島 小次郎

現在の分割式ドライブシャフトブーツは交換が楽なだけでなく耐久性も

分割式ドライブシャフトブーツの耐久性

駆動と転舵を兼ねる前輪のドライブシャフトブーツ破れは、前輪駆動車の持病といえる

FF車や4WD車など、前輪を駆動するクルマでは、駆動力の伝達を行う前輪のドライブシャフトに対する負担が大きく、そのブーツ破れは定番のトラブルといえます。ただ、ブーツを交換するためには、構造上一度ドライブシャフトを抜いて、新しいブーツを装着する必要がありますから、かなりの手間が掛かる作業です。

そこで、このブーツ交換を手軽に行うために開発されたのが、分割式のブーツです。これはその名の通り、ブーツを縦に分割するように切り込みが入っているため、ドライブシャフトを脱着することなく、手軽にブーツ交換をできるようにしたものです。これによって、ブーツ交換はより手軽な作業となったのですが……。

ご想像の通り、出始めのころの分割式ブーツは、分割部を接着する方法が万全とはいえず、耐久性という点では一体型に劣るというのが、定説となっていました。何しろゴムや樹脂製のジャバラブーツを接着剤で止めようというのですから、素人目に見ても本当にしっかりと繋ぎ合せることができるのか心配になってきてしまいます。そのため、分割式のブーツは一時しのぎや車検対策として用いられることが多かったのです。
PITWORKのドライブシャフトブーツは、分割式ながらも非常に耐久性が高くおススメだ

PITWORKのドライブシャフトブーツは、分割式ながらも非常に耐久性が高くおススメだ

ところが最近ではそうしたイメージを払しょくするような画期的な接着方法を採用したドライブシャフトブーツが出回っているのです。それが溶着という接合方法です。溶着とは文字通り、接合部を溶かすことでより強固に接合する方法です。今回、撮影に使ったPITWORK(日産純正の補修部品ブランド)製の分割式ブーツでは、まず接合部に溶着剤を塗布し、発熱シートを使って接合部を溶かしながら接合するタイプとなります。

接合作業も非常に簡単で、接合部にグリスや汚れが付着しないようにすることや加熱時間をしっかりと守ることなどに注意すれば、失敗も少ないでしょう。では、耐久性などについては、どうなのか検証してみます。
 

説明書に従い交換してみるとかなり強固に接着された印象

溶着剤を塗布し、張り合わせた接合部にカイロのような発熱シートを被せて溶着する

溶着剤を塗布し、張り合わせた接合部にカイロのような発熱シートを被せて溶着する

説明書に従って、接合部に溶着剤を流し込み、接合部を組み合わせて、8分間温めます。その後、本当にしっかりと接合されているのか引っ張ってみましたが、かなり強固に接合されている印象です(さすがに思い切り引っ張るのははばかられましたが……)。また、PITWORKのブーツは、接合部の形状も非常に凝った設計で、接合部の片側がかぎ爪状になっており、反対側の溝に食い込み抜けにくいようになっているのもポイントです。
接合部はかぎ爪状になっており、しっかりと食い込む設計となっている

接合部はかぎ爪状になっており、しっかりと食い込む設計となっている

その他、ブーツ自体の材質も特徴的です。通常、ドライブシャフトブーツは黒いゴム製ですが、PITWORKのブーツはポリエーテル系ウレタン樹脂を採用しています。実際に手で触った感触としても、ゴムブーツは柔らかくものによっては、厚みも薄いように感じられるのに対し、ウレタン樹脂のブーツはちょっと硬さがあり、素材自体も厚さがあるように感じられました。ドライブシャフトブーツは、伸縮を繰り返すことで、蛇腹の谷の部分に亀裂が入ることが多いので、材質自体の耐久性というのも非常に重要なのです。
 

2年もしくは2万km走行のメーカー保証も付くから安心して使える

実際にプロの整備士に話を聞いたところでも、このブーツはかなり信頼性が高く、実際のメンテナンスでも大いに活用しており、ユーザーにも安心して勧められる製品だということです。製造メーカー(自動車用のシール類やエレクトロニクス系のパーツを製造するNOK株式会社が製造、販売元は日産自動車です)でも、2年もしくは2万km走行の保証をつけていることからも、その耐久性の高さを窺い知ることができます。

PITWORKは日産系の補修用品ブランドではありますが、汎用性の高い部品については、他社用のクルマにも製品がラインナップされています。ドライブシャフトブーツも、それほどクルマによってサイズが異なるものではありませんので、PITWORKから国産各メーカーのモデルに向けてラインナップされています。ということは、実は輸入車についても、シャフトの径などが同じであれば、流用できる可能性は高いと思います(もちろん、その場合は保証対象外となりますが)。

耐久性を考えれば、作業の手間は掛かってもしっかりした一体型をという考えももちろん道理ですが、例えば古いモデルなどで、純正部品の材質が現在のレベルから見るとあまり良くない場合などにも、こうした製品を活用してみるのは手だと思います。また、分割式ならDIYでもブーツ交換にチャレンジできそうなのも、お勧めしたいポイントです。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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