新車時の慣らしが、その後の寿命と性能に影響

エンジン内部

新車時の慣らし運転によって、ピストンとシリンダーのアタリを適正につけてやることで、エンジンの寿命や性能も変わってくる(写真は水平対向エンジンです)
 

クルマの寿命というと、思い浮かべるのはどんな状態でしょうか? ボディは事故を起こして潰れても、かなりのレベルまで修復できますし、内装やシャシー関係も、部品が手に入る限りは直すことができます。ただ、エンジンが壊れてしまうと、このクルマももう終わりだな、と感傷的になってしまう人も多いでしょう。

もちろん、エンジンも壊れたら、直せばいいだけですし、場合によっては新品もしくは中古のエンジンに載せ替えるという方法もあります。ただ、気持ち的に(金銭的にも?)エンジンが壊れると、クルマ自体がダメになったように感じてしまいますね。そこで、今回はエンジンを長持ちさせる方法について、考えてみたいと思います。

まず、エンジンの寿命はもちろん、その後の性能にまで影響してくるのが、新車のときの慣らし運転です。新品のパーツで組みあがったばかりのエンジンは、各部が馴染んでいないため、いきなり無理をさせると、摺動部にキズがついたり、悪いアタリが付いたりしてしまいます。

ただ、今どきのクルマは、それほどシビアに慣らしをする必要はないという意見もあります。AT車であれば、無理な急加速を避け、普通に街中を流すような走りを心掛ければ、自然といいアタリが付いてくるでしょう。

MT車では、最初の200kmは3000回転、次の200kmは4000回転というように、徐々に使用回転数を上げてゆく方法が一般的ですが、このあたりは人によっていろいろと考え方もあるようです。ただ、基本的にはエンジンに負荷を掛けない運転を心掛けることが大切です。

負荷の大きい運転とは、例えば上り坂を高いギアで、低いエンジン回転数のまま、無理やり加速させるような走りです。ちょっと古いクルマなら、エンジンからカリカリとノッキングの音が聞こえてきそうな運転ですね。これは新車に限らず、エンジンには非常に厳しい状況ですから、なるべく避けるべきです。
 

日頃のオイル管理とメンテナンスが大切

オイル管理

エンジン内部の摩耗を減らすためには、まず適正なオイル管理を行うことが第一となる

さて次に、新車ではなく、すでにある程度走っているクルマで、エンジンの寿命を延ばすためにできることについて取り上げてみます。まず基本的なところでは、なるべく高性能なエンジンオイルを使うこと。そして、使用状況に合わせて、適切なサイクルでオイルを交換することが大切です。

高性能なオイルといっても、オイルの中身については、我々一般人にはなかなか判別が難しいものです。ひとつの目安となるのが価格ですが、もうひとつ、ベースオイルの材質に注目してみると分かりやすいでしょう。

一般的にベースオイルは、鉱物油、部分合成油、化学合成油の順で高性能であるとされています(もちろん、すべてがそうとは言い切れませんが)。そのため、標準で鉱物油を使っているエンジンであれば、部分合成油か化学合成油のタイプを選べば、オイルの基本性能は高くなると考えられます。

エンジンオイルの性能を補うために、添加剤を使用する方法もありますが、費用対効果という点から考えると、エンジンの寿命を延ばすために、添加剤を長く使用し続けるのはあまり経済的とはいえません。それよりも、まずはいいオイルを使うことが先決ですね。

オイルの交換サイクルについては、メーカー指定の走行距離や期間を守ることが第一ですが、より厳しい使用条件においては、早めにオイルを交換する必要があります。厳しい使用条件とは、分かりやすい例としては、サーキットや高速道路で全開走行を連続するような走りが挙げられますが、実は普段の街乗りでも、それと同じように厳しい状況があります。

例えば、エンジンオイルが適正温度まで上がる前に走行が終わってしまうような、短距離、短時間の移動を繰り返す走りや真夏の渋滞路をダラダラと走り続けるのも、エンジンオイルにとっては過酷な状況といえます。自動車メーカーでも、そうした状況をシビアコンディションと規定して、通常よりも早めのオイル交換を推奨しています。

また、エンジンを掛けずに放置する期間があまりに長すぎるのも問題です。エンジンオイルは放っておくと、重力に従って下に落ちてゆきますが、放置する時間が長いと、シリンダー内壁など潤滑が必要な部分からも、オイルが剥がれ落ちてしまうのです。そして、次回エンジンを始動するときに、摺動部で金属同士が直接こすれ合い、摩耗を促進させてしまうのです。

こうした状況をドライスタートと言い、高性能なエンジンオイルを使うことでも、ある程度抑えることができますが、基本的にはマメにクルマを走らせることが大切です。また、特に冬場など、エンジンが十分に温まっていない状態で、いきなり全開に回すような走りも、エンジンへダメージを与えるので、極力避けるべきでしょう。

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