ランエボの1.5倍楽しい
サーキット走行を熟知したメカニックが必要となるため、亀戸など全国7ヶ所のディーラーのみで販売。メンテナンスや保障、アフターサービスはスペックV専用のものを用意する |
意外なことに乗り心地が良くなると、安っぽいクルマに感じたGT-Rが途端に輝いてくる。標準のGT-Rの広報車を借りていた時は「凄いと思う反面、欲しいと思わず」。楽しさより、乗り心地や取り回しの悪さが上回ってしまうからだろう。
けれどスペックVだと、どこにでも乗っていきたくなってしまう。飛ばさなくても楽しいのだ。もう少しハッキリ書けば、従来のGT-Rは「爆弾のように目的意識が明確な武器」だったように思う。戦ってナンボの価値観で作られている。
一方、スペックVは戦闘機や戦艦のようなもの。戦わなくてもカッコいいし、ファンだって存在します。爆弾の専門誌など無いけど、戦闘機や戦艦の専門誌は世界中で出版されてる。興味深いことにGT-Rの趣味性の薄さは、世界中のメディアから指摘されていた。
最高出力はベース車と変わらないが、ターボチャージャーの過給によって最大トルクを608Nm(62.0kgm)まで向上させることができる「ハイギヤードブースト」を追加装備。ステアリングのボタンを押すと、約80秒間作動する |
スペックVの趣味性はランサーエボリューションに肉薄している。ここまで読んで「具体的な違いは?」と思うことだろう。こらもう「滑らかさを感じるようになった」ことに尽きます。人間不思議なもので、乗り心地良くなると五感が冴えてくるのだった。
エンジン音を楽しめるようになり、普通のミッションだと味わえない驚速のシフトアップも堪能出来る。アクセルを開けた時に味わえる「幸福感」ときたら、稚拙な私の筆力じゃ表現できないほど。ランサーエボリューションの楽しさを1.5倍にした感じ。
この味、狙って出したものとは思えない。ショックアブソーバーの性能を追求したらこうなったんだろう。けれどもし水野さんがスペックVの楽しさの本質に気づけば、標準のGT-Rでも楽しさを引き出せるようになるハズ。次の進化を大いに期待したい。
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