世界最高レベルの自動運転技術。一般道と高速道路で体験

今回の取材で使用された日産の自動運転技術車

今回の取材で使用された日産の自動運転技術車

現在世界で最もレベルが高いと評価されている日産の自動運転車を取材した。簡単に紹介すると、操作はスタート地点でボタンを押すだけ。自動でウンインカー出し、後方確認して走り出す。その後、一般道の信号を右折したり左折したり、信号待ちしたりしながらして高速道路に入る。

高速道路では”稼働している”ETCゲートを通過し、本線に流入。さらに分岐。車線変更も自動だし、高速道路から降りるのも自動。交差点でのUターンまでこなす。40分程度の試乗コースだったけれど、スタートした位置まで一度も自動運転が切れることなく戻ってきた。

条件さえ良ければ初期レベルの自動運転は視野に入ってきたように思う。ただ近未来に完全自動運転が可能になるかといえば、ハッキリ「No!」と答えておく。自動運転車にストレスを掛けたら(合流で絶対譲ってくれない人と出会ったら打つ手無し)、そこから先はお手上げになってしまう。

人工頭脳で解決……みたいな意見も聞くけれど、ルールに守られている将棋やチェスと(飛車が斜めに進む手を打たれたら成り立たない)、ルール破りだって珍しくない道路事情では全くレベルが違う。世界最高レベルの自動運転技術を見て、改めて難しさを実感させられることになった。

信号識別能力の高さに驚いた。事故防止に効果大!

しかし! 素晴らしい技術も含まれている。具体的に紹介すると、信号と一時停止の絶対的な遵守である。ここにきて一日でも早い対応が迫られているのは、認知症や疾病による信号無視。道路交通は信頼の法則で成り立っており、なかでも信号無視は決定的な事故を引き起こす。

信号や一時停止は、車両前方に搭載されたこのカメラで行う。信号識別能力はほぼ100%

信号や一時停止は、車両前方に搭載されたこのカメラで行う。信号識別能力はほぼ100%

「青信号を確認し安心して交差点に入って行ったら、横から信号無視のクルマに突っ込まれた」みたいなケースや「安心して横断報道を渡っていたら信号無視のクルマに突っ込まれた」といったパターンは、いずれも死亡事故に直結する。日産の自動運転車の信号識別能力は、ほぼ100%だという。

信号を識別している様子がインパネのモニターから伺える

信号を識別している様子がインパネのモニターから伺える

日産の開発担当者に聞いてみたら、信号も一時停止も、車両の前方を監視しているカメラで判別。さらにナビゲーションシステムの地図データによってダブルチェックしているという。当たり前のことながら、信号と一時停止を遵守し、高速道路や一方通行の逆走を絶対しないようになっている。

気になる市販車への搭載予定はナシ。理由は?

このシステムを市販車に導入してやれば、悲惨な事故の大半を防止することが出来るだろう。嬉しいことに「赤信号や一時停止標識を認識して速度を落としたりブレーキを掛けて止める制御はカメラだけで出来ます。コスト的にも問題ありません」とのこと。自動運転の技術は強力な事故抑制効果を持つ。

続けて「信号や一時停止での制御をいつ市販車に採用するのか?」と問うてみた。すると「今のところ全く予定が無いです」という。詳細なことは「自動車メーカー側で解決出来る問題ではないんです」とのこと。後で調べてみたら、どうやら国交省が門前払い状態で認可してくれないようなのだ。

車両上部。ProPILOTの表記とともに、カメラやセンサーと思われるものが複数付いているのが分かる

車両上部。ProPILOTの表記とともに、カメラやセンサーと思われるものが複数付いているのが分かる

スバルのアイサイトなどはすでに信号判別機能を持たせているが、国交省から「ブレーキはもちろんアクセルを戻すだけの制御も絶対ダメ!」と言われているとか。なぜか? 国交省は信号から電波やビーコンを出して信号情報を車両に伝える技術を独自に開発しており、車両に独自制御されたら困るからだ。

ツマらない意地を張っていると、日本の技術発展にブレーキがかかってしまう。悲惨な事故を無くすため、赤信号や一時停止での減速&ブレーキ制御をぜひ認めて欲しい、と日産の自動運転車に乗りながら痛感した。

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