「Nür」の3文字は、GT-Rのもう一つの故郷、ニュルブルクリンクの略称である。ニュルは「究極のドライビング・プレジャー」を謳い、それを3代に渡って実現してきた第2世代のGT-Rの歴史を語る上で抜きに出来ない、非常に大切な場所である。

その名を与えた理由も「GT-Rを鍛え続けてくれたニュルブルックリンクに対する感謝と畏敬の念を示す」からこそ。こうしてR34スカイラインGT-Rにおける最後の限定車、Vスペック?Nür、MスペックNürは発表されたのだ。

平成12年度排ガス規制に適合しないクルマは、2001年8月31日以降は新車を販売することができない。それを受け、生産を終了することになったR34スカイラインGT-R。しかしこの限定車はまさに最後を飾るに相応しい内容を持っている。

Nürにおける最大の特徴は、現役ながら既に名機と言われるパワーユニット、RB26DETTが、なんと「N1仕様」とされていることである。N1仕様と、N1クラスの競技に参加するためのベースエンジンである。ノーマルとスペックが違うわけではないのだが、重要なのはN1仕様ゆえに強化シリンダーブロック、強化ピストンなどを採用して、非常に厳しい条件が突きつけられる耐久レースなどでの使用という高負荷に耐えられるだけの精度や強度を備えていること。つまりレースにおいて約450psから600psまでのパワーアップを前提に強化されたものがN1仕様なのである。

標準モデルに搭載されるRB26DETTとの違いは、タービンの材質がセラミックからメタルに変更されること。セラミック製タービンがレスポンス重視なのに対し、メタル製タービンは低回転時におけるピックアップをあえて犠牲とし、その分高回転域ではノーマルとは違う圧倒的なパフォーマンスの発揮を狙ったもの。

さらにNürに搭載されるこのN1仕様パワーユニットでは、ピストンやコンロッドなどの部分の品質精度を向上することで重量のばらつきを抑え、レースチューンユニット並み精度を実現している。もちろんその他のエンジン部品もほとんどがN1専用となる。これによって、高回転域でのパワーフィールをさらに高めているのである。

そしてN1仕様ユニットである証として、ヘッドカバーはゴールドに塗装され、エンジンルーム内に配されるモデルナンバープレートもゴールドカラーとされる。
他にも専用の300km/hフルスケールメーター(採用の理由はニュルでのテスト時には常にそのスケールを使っていたからだという)、リアに与えられる専用の立体エンブレム、そして専用の特別塗装色ミレニアムジェイドが用意される。

実はNürの登場は、2002年1月初めに開催された東京オートサロンの日産ブース。その名はあかさずに参考出品車として展示された。その時には300台の台数限定で販売される予定となっていたのだが、予想以上のオーダーがあり、急遽500台の台数限定発売へと変更された。しかしその後もオーダーは止まなかったのだろう、さらに台数を1000台限定に改めての発表となった。

そして2002年1月24日、MスペックおよびVスペック?のNürはその1000台を発売することを発表したその日に、即日完売となったのである。
まだ誰も乗ったことがないのに、既に完売。この辺りはまさにGT-Rに相応しい。伝説がまたひとつ生まれた。

※これらの写真は日産ホームページで壁紙用にダウンロードできます。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。