一般口座は「儲かったら申告が必要」
特定口座と一般口座では、確定申告の方法が異なります。今回は、特定口座の申し込みを忘れてしまった人を対象に、「一般口座」での確定申告の仕方を解説しましょう。一般口座の大前提は、ざっくり言うと「儲かったら申告が必要」「損したら申告は不要」です。とはいえ損した場合は、来年以降に利益が出れば「3年間の繰越控除」で利益の相殺に使えますから、実際は申告したほうがいいと思います。
※株の譲渡益(売買益)や配当金にかかる税金についておさらいしたい方は、「株の売買にかかる税金と確定申告の方法」をご覧ください。
一般口座の難点は計算の手間がかかること
まずは、「今年は得したのか、損したのか」という計算を自分でしなくてはなりませんね。それがまずもって面倒です。このサイトをご覧になっている方は、インターネットでの取引をされている方も多いでしょうから、今年購入して、今年売却した銘柄についてはネット上の「取引明細」を見れば知ることができますね。しかし、インターネットではなく電話で株の売買をされている人、またインターネットを使いこなす前に株を購入した人。まずしなければならないこと。それは、「売買報告書」をかき集めることです。株を売買するたびに証券会社から送られてきているはずですので、それを用意してください。
「え?そんなもの来てたっけ?」って見当もつかないあなた!ほとんどの証券会社は「はがす葉書」で送ってきますので、思いつく限り探してみてください。
でも、もし「どうしても見つからない」とか「もう、捨ててしまった」という方は……大丈夫! 証券会社が「顧客勘定元帳」に記録していますので、取扱い証券会社に問い合わせてみてください。
株の売却益を計算してみよう
では、苦労して(?)かき集めた「売買報告書」を使って、株の譲渡益(売却益)を計算してみましょう。まず、個別銘柄ごとに損益を計算していきます。
・損益=売却価額ー(取得価額+売買手数料+消費税)
・売却価額=売却時の株価×株数
・取得金額=購入時の株価×株数
上の式が重要です。
とは言いつつも、足し算引き算の計算ですから、証券会社の「売買報告書」をかき集めることができれば簡単に損益は計算できますね。
同じ銘柄を2回以上に分けて購入した方は、「取得価額の合計÷購入株数の合計」で、1株当たりの平均取得価額を計算します(1円未満の端数は切り上げです)。同じように、手数料も購入金額によって様々な割合がかけられていますので、1株当たりの平均額を計算することが必要です。
銘柄ごとの売買損益が計算できたら、それら全ての銘柄の売却益と売却損を相殺します。そうすれば当年の損益が確認できます。
計算明細書の書き方はコレ
では、計算結果がプラスだった場合、実際の申告のやり方を見ていきましょう。マイナスだった人も3年間の繰り越しが可能ですので申告しましょう。「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」の1面に記入していきます。「1 取得金額の計算」は未公開分と上場分に分かれています。今回は上場分に記入します。
1. まずは収入金額を記入します。
「収入金額」の欄は(1)~(3)に分かれています。
- (1)の「譲渡による収入金額」に、年間を通じての収入(売却)金額を記入します。ここには売却時の諸費用(手数料や消費税)を引いた単価を記入します。
- (3)の「小計」に(1)の譲渡による収入金額を転記します。
「必要経費又は譲渡に要した費用等」の欄は(4)~(7)まで分かれています。
- (4)の「取得費(取得価額)」に所得費の合計を記入します。ここには購入金額に手数料や消費税を加えた「受渡金額の合計」を記入します。
- (5)の「譲渡のための委託手数料」に売却時の手数料と消費税の合計を記入します。
- (7)の「小計」に(4)と(5)の合計を記入します。
- 「差引金額」の欄が(9)で出ています。
- この(9)に、(3)で記入した収入金額から(7)に記入した金額を引いて記入します。
※マイナスだった場合は、(12)の欄に来年以降へ繰り越せる損失額を記入し、当年の損益と合わせて計算します。
確定申告書・第三表(分離課税用)を作る
この後に「確定申告書・第三表(分離課税用)」というものを記入する必要があります。しかし、記入内容は基本的には計算明細書に記入した数字を用いますので心配無用です。なお、自宅にいながらインターネット上で確定申告の書類を作れる方法や、オンラインで確定申告が完結する「e-Tax」という方法もあります。国税庁の確定申告特集にも分かりやすい説明が載っていますので、あわせて参考にしてください。
▼株取引にかかわる確定申告についてもっと知りたいなら
株で損が出たら確定申告を!期限後でもしておこう
確定申告で株の配当金にかかる税金を取り戻そう!