自動車の補償を得るには、保険だけでなく「共済」もある
自動車共済と自動車保険は何が違うのかがよく分からない人も多いでしょう。また実際に保険会社(生保・損保)ではなく、共済に加入している人もいるでしょう。 自動車保険と自動車共済は似たような制度である半面、細かい面で違うところもあります。自動車保険と自動車共済の間のノンフリート等級の引き継ぎや違う点についてお話しします。<自動車共済 目次>
「保険」という言葉は、共済では使われない
「保険」は不特定多数の人を対象にしていますが、「共済」はある特定の地域・職業などの団体に限定された人などを対象にしている助け合いの制度です。特定とはいうものの、出資金や組合費などを支払うことで、その共済の組合員になれる共済もあります。共済に加入するハードルが必ずしも高いわけではありません。
「保険」は保険業法という法律に基づいて認可を得た保険会社(生保・損保)が取り扱いできるもの。保険という言葉自体を保険会社以外で使うことはありません。
共済では自動車「保険」とは言わず、自動車共済あるいは○○○共済などという名称になっています。細かい話ですが共済から支払われるものも保険金ではなく共済金、共済に支払うものも保険料ではなく共済掛金といいます。
共済と保険では根拠となる法律が異なる
また、保険会社(生保・損保)が保険業法を根拠法としているのに対して、共済の根拠法は様々です。(例)
●JA共済
根拠法:農林協同組合法 監督官庁:農林水産省
●こくみん共済coop(全労済)、県民共済、CO・OP共済
根拠法:消費生活協同組合法 監督官庁:厚生労働省
さらに、保険会社の場合は監督官庁は金融庁になりますが、共済の場合は各共済によって異なっています。
なお共済には、保険契約者保護機構(生保・損保ともにある)のように、保険会社が経営破綻した場合に契約者保護を行うセーフティネットはありません。
自動車共済は自動車保険の等級の引き継ぎはできる?
自動車保険の場合、ノンフリート等級制度という割引(割増)の仕組みがあります。事故で自動車保険を利用したかどうかで割引率が変わっていく仕組みで、損害保険会社同士ではすべて情報が共有されています。そのため割引・割増ともに前年の契約の等級を引き継ぎます。自動車共済(共済)は自動車保険(損保)の割引や割増つまり等級が引き継げるかというと可能なケースとそうでないケースがあります。
一般的に下記の自動車共済は損保の自動車保険の引き継ぎが可能です。
■JA共済
■こくみん共済coop(全労済・全国労働者共済生活協同組合連合会)下記の共済
- 電気通信産業労働者共済生活協同組合
- 日本郵政グループ労働者共済生活協同組合
- 全国交通運輸産業労働者共済生活協同組合
- 全国森林関連産業労働者共済生活協同組合
- 全日本たばこ産業労働者共済生活協同組合
- 全日本水道労働者共済生活協同組合
■全自共(全国自動車共済協同組合連合会)
- 北海道自動車共済協同組合
- 東北自動車共済協同組合
- 関東自動車共済協同組合
- 中部自動車共済協同組合
- 近畿自動車共済共同組合
- 西日本自動車共済協同組合
※等級などについて取扱いが異なる場合があります。
自動車保険・自動車共済の比較ポイント
自動車保険については、火災保険や生命保険、医療保険などど少々異なる注意点やポイントがあるので加えて解説しておきます。自動車共済の場合のノンフリート等級の引き継ぎの可否については解説した通りですが、損保間同士のようにシステム連携できていないケースがあります。その場合は、それまで契約していた共済で所定の証明書などの書面の取り付けが必要なこともあります。
つまり事故の有無について書面で証明してもらうということです。満期ギリギリだと間に合わないことがあるので期間に余裕をもって動いてください。
また損保の自動車保険の割引はノンフリート等級(最高20等級)です。これに対して例えばこくみん共済coop(全労済)のマイカー共済は22等級まであります。同じような制度で運営されていますが、同じではありませんから制度や仕組みの違いをよくチェックしてください。
共済は=安いというイメージがありますが、共済自体が非営利だということもあります。またリスク細分型の商品などは発売していません。自動車共済と自動車保険は大きな枠組みの補償はそんなに変わりませんが、細かいところで違いがあります。
保険料の違いも含めて様々なところで比較してから検討してみるといいでしょう。
「自動車共済」と「自動車保険」。どちらが良いというものではありませんが、仕組や制度の違いを理解して自分のライフスタイルに合うものを選んでください。
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