損害保険の中でも主軸の一つとも言える、自動車保険。その中でも私たちが支払う保険料に大きく影響するのが「車両保険」です。保険料が高いことから敬遠する人もいますが、具体的にどのような時に役に立つのか? その上で本当に車両保険が必要なのかを考えてみましょう。

車両保険の加入率

車両保険の加入率はどれくらい?

車両保険の加入率はどれくらい?

自動車保険にはどのくらいの人が加入しているものなのでしょうか? 任意自動車保険の普及率を見てみましょう(2015年3月末)。

・対人賠償保険 73.8% 
・対物賠償保険 73.8%
・搭乗者傷害保険 34.0%

・車両保険 43.2%
・人身傷害保険 67.0%


対人・対物賠償保険で7割超でここ数年と比べて大きな変化はありません。搭乗者傷害保険の数字が低くなっていますが、2003年3月では61.2%でした。傷害関係の補償では、人身傷害保険を中心に付帯するケースが多いからだと思われますが、以前は出されていなかった人身傷害保険の統計がようやく出るようになって67%です。

一方、車両保険の付帯率は約4割。対人・対物賠償と比べると、ずいぶんと少ない普及率にとどまっています。

なぜ車両保険の普及率が低いのか?

車両保険の普及率が低い理由については、一概にこうであるからとは言えません。求める補償のニーズが個々の契約者でさまざまだからです。しかし、保険料が高いということが理由の1つであることは間違いないでしょう。

車種や自動車保険の契約内容、割引率などによるところはありますが、車両保険の有無によっては掛け金が倍くらい変わることも。この保険料の高さが一つの大きな要素であると言えるでしょう。

また、事故相手への賠償と、自分の自動車をぶつけてしまったのでは、かかる手間や精神的・経済的負担は比較になりません。自分でぶつけた場合などは、ある程度は自己完結できますが、相手がいるとそういうわけにはいきません。

さらに自動車保険を利用すると保険料が翌年以降アップします。これは以前からですが、2012年10月改定からアップ率が高くなっています。10~15万円程度の修理代であれば保険を使わない方がいいので車両金額が低くなってくると微妙な感じになってくるのは事実です。

車両保険の種類を確認しておこう

本題に入る前に、車両保険の種類について確認しておきましょう。損害保険会社によって多少の差異はありますが、一般的に主軸で販売されている車両保険は以下の通りです。

・一般車両保険
・車対車+限定A

個人向けの自動車保険では、一般車両保険と併せて各社だいたい2つの種類の車両保険を提供しています。一般車両保険以外のもう一つの補償範囲を限定する方は損害保険会社や自動車保険の種類によって名称等は異なります。

エコノミー型、限定カバー型、車対車+A、限定タイプ、エコノミー車両保険、車対車限定危険など一部ですがこのようにさまざまです。便宜上この記事では車対車+限定Aで統一してすすめます。

車両保険の種類による補償の違い

車両保険の種類と特徴を知っておきましょう

車両保険の種類と特徴を知っておきましょう

一般車両保険」はいわゆるオールリスクの補償になっていて、補償の範囲が最も広いものです。

一方、「車対車+限定A」は基本は対車の事故に限定したものです。そのため、自損事故などのいわゆる自爆は支払いの対象外になっています。車が相手の事故でも、相手が確認できないときはNGです。

例えばスーパーの駐車場で当て逃げされたり、車同士でぶつかったりした事故でも、相手が逃げてしまって誰だか分からなければ対象外ですので注意が必要です。

ただし、対車の事故だけでなく、それにプラスして補償がついています。そのため、小石が飛んできてフロントガラスが割れた、盗難にあった、といったケースでも補償があります。

「車対車+限定A」は「一般車両保険」よりも掛け金が安いので、その意味では検討してみてもいいでしょう。ただし前述のように、車両保険金の支払対象にならない事項をよく理解しておく必要があります。

車両保険が役に立つ理由

それでは、車両保険が役に立つ理由とは何でしょうか? 自分でぶつけたらしょうがないと考えている人も多いと思いますが、最も面倒でややこしいのが、相手のいる事故でもめた場合です。

具体的な事例で数字を見てみましょう。

【例】
Aの修理代 50万円
過失割合は70%
(←自分の過失・落ち度の割合)   

この場合の修理代は自動車保険でどのように支払われるのでしょうか? お互いに自動車保険を使うのであれば、下記のようにお互いに、自分の過失割合で修理代を分割します。

修理代の合計50万円のうち…
70%(35万円)=自分の過失=Aの自動車保険の「車両保険」
30%(15万円)=相手の過失=相手の自動車保険の「対物賠償保険」


以上の支払い方が基本です。ただし、これは車両保険があっての話。上記修理代のうち、Aの35万円は車両保険がなければ当然自腹になります。またこの【例】のように、過失割合が決まっている場合はいいのですが、この過失割合で相手ともめてトラブルになるケースはたくさんあります。

車両保険がなく、過失割合が決まらないと一時的に自費?

車両先行払いのメリットとは?

車両先行払いのメリットとは?

お互いに話がつかなければ、過失割合は決まりません。決まらないということは、お互いに修理代を負担する金額も決まらないということです。それでは修理代は誰が支払うのでしょうか?

ある程度の期間は修理工場でも待ってくれるでしょうが、あまり長引くようであれば修理工場も困りますから、クルマの持ち主に支払いを求めてきます。前ページで挙げた【例】であれば、Aは50万円です。

急な出費を自分自身の資産から工面するのは、難しいことも多いはずです。

車両保険なら車両先行払いが可能

【例】のような場合、車両保険があれば相手との話がついていなくても、自分の車両保険から修理代の全額を支払ってもらえます。これを「車両先行払い」と言います。車両保険が役に立つのは、まさにこの部分です。

そんなに大きな事故でなかったとしても、相手ともめてしまって解決まで数カ月、あるいは1年以上かかることもあります(修理代の大小に関わらず)。このときの経済的な負担を車両保険で軽減することができます。

注意したいのは、車両先行払いをした後、相手と話しがまとまったが、こちらの過失割合が思ったより低い場合などです。これなら自動車保険を利用せずに、自費で支払うと思っても、車両先行払いをしていると保険は利用したことになり、翌年以降の割引率が悪くなることです。

最近では、車両無過失事故の特約が付帯されている自動車保険があります。相手との示談で自分の無過失が確定した場合や、追突事故などで保険会社が契約者に過失がなかったと判断する場合は、ノンフリート等級の割引に影響しないようになっている自動車保険もあります。

いずれにしても、自動車保険の利用については、保険会社とよく相談して方向性を決めるようにしてください。

損害保険ガイドから今日のポイント

相手がいる事故では、過失割合で長期間もめることがある。これを理解した上で車両保険の加入を検討しよう。

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