地震保険には保険金額などに「上限」がある
地震保険で契約できる保険金額や加入者全体での総支払額は上限が決まっている
しかし地震保険は単独では加入できず、保険金額にも上限があるなど、さまざまな制約もあります。地震保険の保険金額の上限は火災保険(主契約)の50%まで。火災保険に2000万円の補償をつけているなら、地震保険は1000万円までが上限ということになります。
では、仮にこの条件で、地震によって建物が「全壊」してしまった場合、この補償額1000万円が保険金として常に支払われるものでしょうか。実はそうではないのです。
地震保険の保険金額は火災保険の30~50%、上限5000万円
地震保険は火災保険を主契約として火災保険の30~50%の範囲で契約します(住宅・店舗併用住宅物件が対象)。火災保険が2000万円なら、地震保険は600万~1000万円の範囲で決めることになります。また、建物に地震保険をつける場合、この範囲の中で5000万円が上限です(家財に地震保険をつける場合には1000万円が上限)。
つまり、火災保険が1億円なら5000万円(50%)まで地震保険の契約が可能ですが、2億円の場合でも5000万円まで(50%、5000万円上限のため)となります。
地震保険には加入者全体の「総支払限度額」がある
一方、地震保険の加入者全体で見たとき、「総支払限度額」というものが存在します。2016年4月1日からこの総額が、7兆円から11兆3,000億円に改定されました。仮に大地震によってこれを超える被害があった場合、地震保険に加入している人で按分することになっています。つまり、全壊しても保険金額の全額が支払われるとは限らない、ということです。
これまでの地震保険の総支払限度額の改定
「11兆3000億円」といわれても、十分な金額なのかどうなのかよく分からないでしょう。この総支払限度額はもちろん地震保険の加入限度額(建物・家財)も固定されている金額ではありません。地震保険の加入者の数などを勘案してそのつど改定されています。参考までに地震保険の総支払限度額の変遷をみてみましょう(表を参照)。
支払限度額は、地震保険の加入者の数などに応じて改定されてきました。特に、阪神淡路大震災のあった平成7年以降、大幅にかつ頻繁に改定されています。
また、建物と家財の限度額も何度か変更されていて、現在の5000万円と1000万円に至っています。
ちなみに11兆3000億円のうち政府の負担額もあります。地震保険はその特殊性から民間保険会社だけでなく政府も負担しています。11兆3000億円のうち政府負担額は10兆9902億円、損害保険会社の負担額は3098億円です。
このように、総支払限度額は状況に応じて改定されています。地震保険に加入する際、この点についてはあまり神経質にならなくていいと考えます(きりがないので)。
地震保険には保険料の割引制度もある
地震保険を購入する場合には割引制度の確認を忘れないようにしておきましょう。 |
●建築年割引
- 昭和56年6月1日(建築基準法の改正があった)以降に新築された住宅が対象
- 建物登記簿等の書類で建築時期を確認(損保会社にコピーを提出)
- 割引率10%
- 品確法の住宅性能表示制度(住宅性能評価書、耐震性能評価書に記載)によって建物の耐震性能が表示されている。これに基づき保険料を割引
- 住宅性能評価書、耐震性能評価書等によって耐震等級を確認(損保会社にコピーを提出)
- 耐震等級(1~3)によってそれぞれ割引率は10%、30%、50%(※1)
- 保険の対象となる(あるいは家財を収容する)建物が免震建築物の場合が対象
- 所定の書類(品確法に基づく建築住宅性能評価書、設計住宅性能評価書等)を提出
- 割引率50%(※2)
- 保険の対象となる(あるいは家財を収容する)建物が、地方公共団体等により耐震診断・改修により1981年6月1日施行の改正建築基準法の耐震基準を満たす場合に適用
- 耐震診断・耐震改修の結果により減税措置の適用を受けるための証明書等が必要
- 割引率10%
これら4つの割引は併用できず選択適用です。地震保険の割引なので、主契約である火災保険料は割引になりません。また、いずれの割引も所定の書類の提出が必要です。詳細は保険会社等に確認してください。
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