交通事故の加害者になってしまったら、どんな流れで対応すべき?
警察庁の統計によると、令和元年度中の交通事故の死者数は3,215人。前年比マイナス317人(-9.0%)となりました。特に近年は自動運転技術の影響も大きなものがあります。しかしながら車に乗るあるいは普段社会生活していく中で、どこで交通事故の当事者になるか分かりません。交通事故を起こしてしまった……加害者がまずやるべきことは?
<交通事故加害者の対応 目次>
交通事故の加害者がやること
1. 交通事故が発生したら、まず負傷者を救護
交通事故は大きく分けて、人身事故と物損事故の2つです。人身事故の場合、言うまでもありませんが真っ先にしなければならないのは、負傷者の救護と119番への連絡が第一です。何を当たり前のことをと言われそうですが、普通の人は交通事故に慣れていません。理屈は誰でも分かっていますが、事故現場では慌てますし、なかなか冷静な判断ができません。初動の一歩は警察でも保険会社でもなく、負傷者がいるならまずその救護です。これは道路交通法でも定められていることです。次に二次災害の防止です。負傷者がいなければここからになりますが、さらに事故が発生しないように、他の車両の交通の妨げにならない場所に車を移動させます。
必ずしも車を動かせる状況にあるとは限りませんから、その場合、ハザードランプの点滅や停止表示機材を設置(または発炎筒の使用)するなどして後続車に注意を促します。特に高速道路では後続車がどんどん来るため、車を動かせないようなら、これらの処置を取ったら車内には残らないようにしてください。
2. 警察への届出は必ずする
警察への届出は、人身事故であれば必須、物損事故であっても基本は警察に届けでるものです。これも当たり前かもしれませんが、例えば次のようなケースでは警察への届出をしないこともありえます。- 相手も自分も互いにケガがない
- ちょっと軽くぶつかっただけの物損事故
- 自分(もしくは相手)がとても急いでいて、重要な用事に間に合わないと大変なことになる
- 相手に損害賠償すると伝えて相手も承諾してくれた
理由は様々ですが、事故の現場では冷静に考えて判断している時間はありません。自分のほうが過失割合、つまり自分の落ち度の割合が高いと思っていても、冷静に事故状況を検証してみたら実は逆だったということもありえます。その場で約束したことを相手が後から反故にすることもあり得るのです。
警察の届出をしなくても、結局、後から警察に行かなければならなくなることもあります。事故の事実や状況を形に残しておくためにも、警察への届出は早い方がいいでしょう。これは自分が加害者でも被害者でも変わりません。
事故した瞬間は迷うことがあるかもしれませんが、迷ったらスタンダードな方法を取っておくほうが間違いが少ないことは確かです。
交通事故の際の状況確認に役立つ、ドライブレコーダー
仮に相手と事故状況の言い分が食い違うことがあってもドラレコがあることで言い分が食い違うということが防げます。正確な事故状況が分かるということは、解決への早道でもあるのです。
3. 事故現場の状況を確認
警察へ届け出たら、交通事故の状況や場所、負傷者や物の損害の状況などを伝えて指示を受けてください。実況検分が行われますが、事故の状況を正確に伝えましょう(最近はドラレコがあるかないか聞かれます)。このとき、自分がこうだと思うことはきちんと伝えておいてください。あきらかに自分が加害者という状況でかつ、相手が救急車で運ばれるような状況になっている場合、野次馬も集まってきますから事故現場ではさらし者状態にもなることもあります。気の弱い人だとその場から早く逃れたい気持ちでハイハイと言って済ませてしまうこともあるかもしれません。ただ、きちんとその場で話してください。後になってから実は状況が違う、というのでは主張が通りにくくなります。
なかなか余裕がないと思いますが、目撃者がいるならその人の氏名、連絡先、事故の証言などをお願いしましょう。その意味でもドラレコの映像があると話が早いのです。
それがない場合、現場の写真、信号の状況、道路幅、一時停止など道路標識の位置、駐車している車がいたならその位置なども確認しておいてください。時間が経つと記憶があいまいになりますし、事故の状況を示すもの、例えば路面のスリップ痕などもなくなってきます。
4. 相手方の連絡先を確認
何度も言うように、軽微な物損事故でも警察への届出は必要ですが、実際には当事者同士の話で済ませてしまうことも少なくありません。しかし後々何があるか分かりません。先ほども解説したように事故現場で話したことと、後から相手の言うことが変わったということもありえます。相手の連絡先が嘘だったという可能性もあります。相手の住所・連絡先、車の登録番号なども控えておきましょう。口頭ではなく相手の免許証も見せてもらうことを忘れずに。
だからこそ警察への届出が必要なのです。
5. 損害保険会社へ事故の報告をする
交通事故に遭ったら、損害保険会社あるいは保険代理店へ事故報告を行ってください。その上で今後どうすればよいか指示に従ってください。たまに、軽微な物損事故だから自動車保険は使わないほうがいいだろう、と報告しない人もいます。保険会社に事故報告をしても、それだけで翌年の自動車保険料が高くなるわけではありません。
事故の報告が早くて問題になることはありませんが、遅いと保険会社の対応も後手になってしまいます。被害者から対応が遅いと言われるのは良いことではありません。まずは事故の報告とともに相談をしましょう。
大手損保を中心に特約保険料を支払うことでドラレコを貸与する自動車保険もでています。あおり運転対策や運転診断機能なども兼ねたものもありますが、事故のときの衝撃を感知して保険会社にそのまま繋がるようになっていたり使いやすいものもあります。
他にも警備会社などと連携して事故現場への駆け付けサービスなどを行う自動車保険もでています。特に加害者側になった場合、対応してくれる相手がすぐに動いてくれるのは心強いサービスです。事故現場ではあれこれ冷静に考える余裕がないからこそ、こうしたものがあることが大切なのです。
6. 被害者にお見舞いとお詫びを
人身事故の場合、その後の被害者へのお見舞いがあります。なかには保険会社に任せているから自分はお見舞いに行かないという人がいます。損害保険会社は交通事故の示談交渉や事故処理のお手伝いをしてくれますが、最終的に示談をするのは事故の当事者同士です。被害者に後になって一度もお見舞いに来なかったと言われても時間は巻き戻せません。
加害者が事故を起こしてしまったのは事実です。気が重いのは分かりますが、誠意を持って相手にお詫びしましょう。それでも心細い場合にはそうしたことも含めて契約先の保険会社に相談してみてください。
※交通事故の状況等により様々なケースがあることはご留意ください。
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