冬のイタリアンドルチェ
イタリアのクリスマスはとにかく家族で過ごす、という以外の特別なことはそれほどありません。それこそサンタクロース(Babbo
Natale:バッボナターレ:イタリア語)が子供達の枕元に吊るしてある靴下に…なんてこともありませんでした。いや、最近になってこういったことが見られるようになったそうですが。ローマのナヴォーナ広場では、年が明けたエピファニーアの日にもサンタクロースがおり、子供達と仲良く記念撮影をとっているところを見かけました。
ではイタリアではこんなに楽しいクリスマス、とりわけ子供達へのファンタジー的なお話がないのでしょうか?
イタリアにはベファナ(Befana)という魔女がこのサンタクロースの存在にあたり、それも12月25日ではなく、クリスマス後の12日目のエピファニーア(Epifanania:主顕節)にやってくるというものです。しかもこの魔女はサンタクロースのように、「素敵なイメージ」はなく、形相は醜く怖いという。小さな子供はベファナに泣いたりもします。ベファナはこの日、よい子には素敵なおもちゃやチョコレートなどのお菓子、しかし悪い子にはなんと「炭」が配るといわれており、クリスマスからこの日まで、子供達は「よい子」にしていようと努力するのです。そしてベファナを呼ぶために、暖炉にオレンジなどを置いたりします。ちょっと違いますが、まるで日本の「ナマハゲ」みたいなイメージです。
ということでイタリアではクリスマスはクリスマス菓子、正月菓子と指定はないのですが、クリスマスからのヴァカンツェ・ナタリツェ(Vacanze Natalize:ウインターホリデーシーズン)に食べるお菓子があります。そんなイタリア菓子を御紹介します。
パネットーネ Il
PANETTONE
代表的なのが日本でもおなじみのパネットーネ(Panettone)。北イタリアはミラノが発祥のパネットーネは、レーズンやオレンジピールなどを含んだ甘味のあるスポンジのパン。パンといっても普通のパンと違うのは、なんとその賞味期限が6ヶ月というもの。小さいものは250gからで、大きいものになると1kg! 11月頃からイタリアでは店頭でパネトーネが見られるようになりますが、その賞味期限は、「来年の6月」という。これだけ賞味期限が長いので、ウインターシーズンを通じていただくことができるのです。
また、この時期のホームパーティー等で、パネトーネを片手に下げて訪れる方々も多く、気がつけば家のエントランスはパネトーネだらけだったりすることもあります。
また、パネトーネは甘口の発砲ワイン、アスティ(Asti)やモスカートダスティ(Moscato d'asti)と一緒に頂くとさらに美味しく召し上がれます。
パンドーロ
Il Pandoro
意外と知られていないパンドーロ。こちらはパネトーネとは異なり、ドライフルーツなどが入らない、スポンジ系の大きめのケーキ。卵を多く使うことからパンドーロ(黄金のパン)と呼ばれています。こちらはミラノのあるロンバルディア州の隣、ヴェネト州が発祥といわれています。ですからパンドーロの箱にもPan
d'oro di VENETOと書かれています。私の友人のイタリア人達、私の旦那はパネトーネよりもパンドーロ好き。「朝、カフェラッテとパンドーロさえあれば、幸せ!」 と、ほっこりとした顔でパンドーロの美味しさを語ってくれます。
パンドーロはパネットーネと違い、食べる前にちょっと一手間があります。パンドーロの箱には必ず「粉砂糖」の袋が入っています。このほとんどが「ヴァニラ風」の粉砂糖なのですが、これをパンドーロの入っている袋に直接振り入れ、袋の口を手で押さえて振り、パンドーロにまんべんなくお砂糖がつくようにします。その後、袋から取り出し、好みの大きさに切り頂くのです。
そんな「一手間」が逆にエンターテイメント性があり、ホームパーティーなどでは喜ばれます。
トローネ
Torrone
冬を通じて頂くヌガータイプのお菓子トローネ。シチリアはシラクーザ発祥のお菓子で、シチリアがアラブの植民地だったころに伝わったお菓子です。シチリアの名産アーモンドやピスタチオが入ったものなどがあります。ことエピファーナにトロンチーノ(トローネの小さい版)をよく食べ、または配ったりします。
非常に甘いお菓子ですが、これが苦いエスプレッソとの相性抜群! パーティーの食後にカフェに添えたいお菓子です。
イタリアでは、こういった冬のお菓子をずっと食べているわけではありません。ちょっと知恵を働かせて、このお菓子をより美味しく食べるワザがあります。こうして冬シーズン、たくさん頂いたパネットーネやパンドーロ、トローネを飽きないように消費していくのです。
そのワザを少し御紹介します。
☆パネットーネがティラミス風に大変身
☆パンドーロでフルーツのグラタン
☆トローネのアーモンドを生かしたセミフレッド
それでは皆様に素敵なウインターシーズンを!
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