イタリアン好きの妊婦さんへ……妊娠中の食事情
妊婦が食べてはいけないイタリアンの食材とは?
妊娠はすばらしいことです。一つの命を体に宿すわけですから。
その新しい命は、お母さんの摂取する栄養によって、十分にその将来性が左右されてしまいます。
しかし約10か月もの長い間、自分の好きな食べ物を我慢してというのは、辛すぎます。
イタリアンが大好きな出産を控えている女性に、イタリアンのタブーをご案内します。
イタリアでは御存知の通り、イタリア料理しか口にできません。妊婦さんもしかりです。日本では、妊婦さんへの食事制限はあまりしないと聞きますが、イタリアならびにヨーロッパでは、結構、食事制限を指導する医者が少なくありません。そんなイタリアの妊娠中の食事情はどのようなものなのでしょうか?
妊婦さんNGのイタリアン食材……イタリアンパセリ
イタリアンパセリ
イタリアンパセリに限らず、パセリ全般を妊娠中に食べることはあまりおすすめできません。パセリは毒素を消すという効果があるらしく、体内に宿る命を消してしまうと言われています。ロシアでは「流産させるために食べる」とまで言われている位の食材です。
先日、妊娠しているイタリア人の友達と食事に行きましたが、ことイタリアンパセリには細心の注意を払っていました。シェフにも、イタリアンパセリを抜くようにお願いまでしていました。
少量(パスタにみじん切りでふりかけられている程度)は問題はありませんが、多量摂取については、控えた方が良いかと思われます。
そして、イタリア人を奥様に持つ、シェフの所で食事をしたところ、彼女の妊娠を告げると、見事、イタリアンパセリは省かれていました。
妊婦さんNGのイタリアン食材……生ハム&サラミ
これは要注意です。イタリアの産婦人科で、まず第一に検査するのがトキソプラズマ症の検査です。御存知の通り、これはペットを介して、伝染する病気で、母体の赤ちゃんには、胎盤を通じて、赤ちゃんに伝染してしまいます。具体的な病的症状もなく、赤ちゃんにも、すぐにそれを見受けることができませんが、生まれてしばらくしてから、なんらかの異常が発見されるというものです。
さて、どのようにしてペットを介して伝染する病気で、生ハム・サラミがいけないのでしょうか?
イタリアでは豚への餌は、もしかしたら鳥、猫、犬の糞尿のついたものかもしれません。それにより、豚へ伝染し、生ハムの場合、基本的に「生」ですから、そのまま人体へ影響してしまうわけです。これはサラミもしかりです。
そういうこともあり、イタリアでは、妊娠の発覚と同時にこのトキソプラズマ症の病気をまず検査します。日本では、衛生面がしっかりしているということから、こちらの検査は必須というわけでなく任意です。見つかれば直る病気なので、気になる人は検査を受けた方が良いかもしれません。
また、生ハムでもパルマの生ハム、サンダニエーレの生ハムなど、DOP認定を受けているものは、餌のコントロールも政府から規制されているので、心配がないそうです。
DOMESTICO(自家製)というものだけには、細心の注意を払わなければなりません。
妊婦さんNGのイタリアン食材……動物性ビタミンA レバー類
ビタミンAの多量摂取が、胎児に悪影響を与えるとして、アメリカの学会などで発表されました。日本でも厚生省が、基本ビタミンAの摂取量を引き下げたとされています。
しかしこのビタミンAですが、2種類あり、動物性と植物性。植物性はいわずと知れた、にんじん等に多量に含まれるわけですが、こちらで規制しているのは、植物性ではなく、動物性です。動物性にはビタミンAでもレチノールという脂溶性ビタミンです。これは体内に蓄積されてしまうため、気をつけないと、その蓄積が胎児に悪影響を与えます。植物性はその点、水溶性なので、基本的に多量に摂取した場合でも、尿と一生に排出してしまいます。
さて、具体的なビタミンA(レチノール)ですが、これはウナギ、レバーなどの臓物類に多量に含まれています。日本では、ウナギ、レバーは食べなさいと指導されますが、ヨーロッパ、特にフランスを中心に、レバーは妊娠中は決して食べないようにと産婦人科医から指導を受けるそうです。
もちろん、必要最低限の量を摂取することは大切なことなので、摂取しなくてはなりませんが、それ以上は控えるように心掛けることが必要でしょう。
最近では、サプリメントとしてビタミンAを気軽に摂取できるようになってしまいましたが、こういったサプリメントは大概レチノール系を使用しているため、その説明書には、「妊娠中は控えて下さい」「妊娠を望んでいる方はお控え下さい」などの注意書きがあるそうです。また、現に飲まれてしまっている方は、念のため妊娠を望む場合、医師との相談が必要とされています。
妊婦さんNGのイタリアン食材……カフェイン
カフェイン
妊娠にカフェインはタブー。とはよくいわれますが、さて、イタリア人がカフェ(コーヒー)を、イギリス人がティー(紅茶)を我慢できるでしょうか? これは極めて疑問だったので、いろいろ聞きました。
イタリアでのカフェは、エスプレッソは避けるようです。しかし朝のカフェラッテは通常通り飲みます。イタリアでは、カフェラッテは朝の飲み物ですので、一日中飲むわけではありません。ですから、朝はカフェラッテを飲んで、カフェインを摂取しているのです。
また、イタリアンではないですが、紅茶もイギリス人の奥様に聞いたところ、多量に(1リットル~)摂取しない程度だそうです。イギリスは基本的にストレートティーというようりも、ミルクティーにして頂くので、量を増して満足感が得られやすいのでしょう。
ただ、ともに気になるのは、一緒に摂取する糖分です。これは妊娠中毒症などを引き起こす可能性があるので、くれぐれも糖分の多量摂取にはおきをつけ下さい。
イタリアン食材のタブーを避けて楽しい妊娠ライフを!
さて、今回は4つ妊娠中のイタリアンタブーをご案内しましたが、これを避ければ、妊娠中でもおいしくイタリアンを頂くことができます。
しかし、日本とイタリア、同じ妊娠とはいえども、食生活指導が違うものですね。
日本は、こと世界中の料理がおいしく食べられるということで、食文化も様々な形で変容していますが、こういったことから、その国々の事情もわきまえて、楽しい妊娠ライフを送りたいですね。
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