熱帯魚の繁殖方法とは?
熱帯魚の繁殖方法とは?
グリーンスマトラ繁殖が容易な種類でも、飼っているだけ勝手に増える訳ではない。 |
とは言え、ほとんど熱帯魚が、勝手に増えることはありません。繁殖行動を見せても、子供が産まれるに至らないことがほとんどです。繁殖が容易だと言われる、ブラックネオンテトラ、スマトラでさえ、ただ飼っているだけではまず増えません。特に混泳水槽ではなおさら。やはり、狙って殖やすのであれば、繁殖のための準備は必須です。
時には、知らない間に卵が産み付けられていたり、産まれたばかりの稚魚がひょっこり泳ぎだす、なんてこともありますが。
誰でも簡単に殖やせる卵胎生メダカ
ブルーペッパード・プラティ直接子供を産むプラティの仲間などは、繁殖入門魚として最適。 |
種による違いはあるものの、生後半年程度からおよそ1ヶ月の周期で産仔を繰り返します。雌雄の区別は容易で、オスにはゴノポディウムと呼ばれる交接器があり、メスは一回り大きく体もふっくらしています。何より妊娠すると、はちきれんばかりにお腹が大きく膨れるので一目瞭然です。
その様にお腹の大きくなった雌を、産卵ケースなどに移し、産仔させます。産卵ケースとは、水槽の内部にキスゴムで固定できる小型のケース。仔魚だけがすり抜けられる切れ目のある仕切り板によって、ケースが2層に分かれています。これで他の魚に仔魚を食べられることなく、仔をとることができます。
産卵ケースに移すタイミングは、お腹の仔魚が透けてみえる、産まれる寸前ぐらいがベスト。早すぎるとストレスから産まなくなってしまうこともあるので、毎日の観察でタイミングを見計らいます。
産まれてきた仔には、親に与えていた人口飼料をすり潰して与えればOKです。ベストではありませんが、何匹かは成魚まで育つはずです。本来は、ブラインシュリンプや刻んだイトミミズなどを与えた方が、成長が早く、歩留まりも上がります。しかし、本格的に育成すると、ものすごい数の魚が増えてしまい、処分に困まってしまうことも。
良い種親を育てる、種親の確保
産卵間近の、アピストグラマのペア。産卵の成否は、雌雄の相性の良さで決まる。 |
状態よく飼育していれば、その延長線上にあるのが繁殖。つまり、繁殖可能な状態まで、健全に育てる必要があります。それには、バランスの良い餌やりが重要です。
十分にメスが抱卵するように、複数の餌をローテーションして与えます。活餌を与えるのも良いことで、イトミミズ、ブラインシュリンプ、ミジンコなども餌のローテーションに加えると良いでしょう。そうやって健康に育った魚は、繁殖の準備が可能になります。
繁殖に適した水作り
魚には、その魚に適した水質があります。生息地の水質に近づけることで、概ね良い結果を生みます。しかし、東南アジアで養殖されたものでは、水質に無頓着な場合も多いです。水道水の塩素を中和しただけで問題ないものも多く、そういった魚は繁殖が容易なことが多いです。逆に水質にシビアな種類は、色々と調整しないと繁殖に至らない場合が多いでしょう。例えば、南米に生息するアピストの仲間や、東南アジアに分布するベタやグラミィでは、弱酸性の軟水を好むものが多く、繁殖にはその様な水質への調整が不可欠です。水質調整剤やソイルを用いて調整します。
熱帯魚オンライン図鑑などで、生息地の水質を調べ、その種の最適な水質を容易してやります。
繁殖用の水槽の準備
稚魚を吸い込まない形状のスポンジフィルターは、繁殖用のフィルターの定番。ろ過能力も高く、水流の調整もできる。 |
色々な魚がいるので一概には言えないのですが、産まれてくる稚魚がろ過器に吸い込まれない工夫が必要です。エアーポンプで稼動する、スポンジフィルターの使用が一般的です。
対象となる魚にあわせ、セッティングを行います。卵をばら撒くスタイルのテトラやバルブの仲間では、産卵床にウィローモスや、シュロ、毛糸などを用います。シクリッドの多くは基質産卵を行うので、産卵床になる素焼きの植木鉢や流木、石、人工の産卵筒などを用います。
その他にも、熱帯魚の種類によって、多くの繁殖スタイルがあります。それぞれのスタイルに合わせて、繁殖用の水槽をセットします。
繁殖を仕掛ける
産卵直前のチョコレートグラミィ。雌雄で旋回運動をしたのち、卵を産み、親が口に咥えて保護をする。 |
その他にも、満月や新月の日に、産卵することが多かったり、低気圧の接近が引き金になったりもします。そういったことをコントロールするのも、一つのテクニックになります。
外的要因以外にも、オスメスどちらを最初に水槽にいれるかが問題になることもあります。
産まれたばかりの魚の餌(初期試料)
ブラインシュリンプを食べて、お腹がオレンジ色に染まった稚魚。 |
親魚の餌をすり潰したものでは、成長不良を起こしやすいので孵化したばかりのブラインシュリンプを与えます。これを口にできる魚は、その後の育成が簡単です。口に出来ないような小さな稚魚には、インフゾリアといって更に極小の微生物を与える必要があり、育成が難しくなります。
もしくは、こなれた水槽の底床の汚泥などをスポイトで掬って与えたり、ウィローモスや浮き草の根に付着する微生物に期待して、それらを水槽に大量に入れることで、ブラインシュリンプを口にできるサイズまで成長させることができます。
親魚よりも多めに、腹部がオレンジ色に染まる程度に、一日数回ブラインシュリンプを与えます。ある程度成長したら、刻んだイトミミズを与えると成長が早いです。
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