なぜ、水質の管理が必要なのか?


グリーンネオンテトラ:南米に生息するテトラの仲間の多くは、弱酸性の軟水の水質を好む。日本の水道水であれば、特に調整しなくても問題なく飼えることが多い。
熱帯魚を飼育する上で、避けては通れないのが水の管理。水中に生活の場を置く、魚類を飼うのですから当然ですね。そのためには、ごく簡単な化学の知識を身につける必要があります。と言っても、それ程難しいものではありません。

水槽を管理する上で、ぜひ知っておきたい、また知っておくと便利な水の状態を表す指標を幾つか測定するだけです。ただし、一般的な熱帯魚を飼うだけであれば、特に調整をしたり、薬品を添加する必要はありません。

日常の管理を行う上で、ベースの知識とし身に付けておくことで、水換えなどの目的が理解できるようになります。飼育水のことを、少しだけ理解することで、より上手に水槽の管理が行えます。

熱帯魚の飼育に適した、日本の水道水。


淡水ハオコゼ:純淡水で飼育できるが、弱アルカリ性の水質を好む。汽水域に分布する多くの種が、弱アルカリ性を好む。また若干の塩分を必要とする種類も多くいる。
日本の水道水の多くは、一般的な熱帯魚を管理するのに適した水質です。蛇口をひねるとでてくる水は、中性前後の軟水であることが多く、水槽を管理する上で使い勝手の良い水になります(住んでいる地域によっては、当てはまらない場合もあります。最寄の水道局に問い合わせてみる、もしくは観賞魚店で尋ねてみると良いでしょう)。参考までにガイドの住んでいる地域の浄水所のデーターでは、やはり中性前後の軟水を示しています。

例を挙げれば、多くの熱帯魚の故郷として有名なアマゾン川は、弱酸性の軟水です。東南アジアが原産の、ポピュラーな魚の多くも、弱酸性から中性付近の水質を好むものが多いです。少し乱暴な言い方をすれば、温度を調整し、塩素の中和を行いさえすれば、水道水そのままで飼うことができます。

もちろん飼育する種類によって好む水質は変わってきますが、一般的に飼いやすい熱帯魚の多くが、この弱酸性から中性付近の水質を好みます。逆に言えば、水道水の水質にマッチしているからこそ、飼いやすい熱帯魚だとも言えます。

塩素の中和


市販の塩素中和剤を用いることで、素早く塩素を、生物にとって無害な状態に中和することが可能。水換えの際に、必ず使用したい。
水道水には、殺菌の目的で塩素が混入されています。我々人間にとっては、害のないレベルの濃度なのですが、体が小さな魚にとっては猛毒です。小さな魚やバクテリアなどの微生物にとっては命に関わるレベルなので、害のないよう中和いてやる必要があります。

それには、市販の塩素中和剤(カルキ抜き)の使用が便利です。即効性があるので、添加直後に塩素が中和されます(無害になる)。もしくは数時間エアーレーションを施すか、一昼夜放置することでも塩素は抜けます。

水道水は、多くの熱帯魚に適した水質ですが、そのままでは有毒だ!と理解してください。

ペーハー pH


熱帯魚を飼育する上で、最もよく耳にするのがペーハーです。水溶液の性質を表す指標の一つで、水溶液に溶けている水素イオン(H-)の量を表したものになります。1から14までの数字で表し、pH7を中性。それ以下は酸性、以上がアルカリ性になります。つまり、水が酸性か、アルカリ性かをを表しています。
ペーハー表


さて、先ほど「日本の水道水は中性前後で、多くの熱帯魚の飼育に適している」と述べました。しかし、水槽内では、水質に影響を与える物質が入っていなければ、時間の経過とともにペーハーは低く(酸性に傾く)なります。特に魚を多く飼育している水槽では、これが顕著です。

まずは、時間の経過とともに変化するペーハーを、定期的に測定し把握することが大切。例え適正な値から外れていたとしても、特に薬品を使用してペーハー値を調整させる必要はありません。
薬品の使用で調整しようと思うと、急激な変化になりがちです。特に慣れないうちは、魚にダメージを与えてしまいます。

緩やかな変化であれば、多くの魚が現在おかれている水質に適応しようとします。水換えのペースや量を調整することで、適正な値を維持するように心がけます。

測定の仕方 → 各社から測定試薬、またはデジタルペーハーメーターなどが販売されているので、それらを用いて測定します。常に水槽内のペーハー値を監視する、常時測定型のペーハー計もあります。

総硬度(GH)


フロントーサ
フロントーサ:アフリカンシクリッドと呼ばれる、マラウィ湖やタンガニイカ湖に分布するシクリッドの仲間は、弱アルカリ性の硬水を好む。これらを飼育するときは、水質の調整が必須。
水中のカルシウムイオンとマグネシウムイオンの量を表したものです。これらの物質が多く含まれた水を硬水、逆に少ない水を軟水と言います。一部の環境に棲む魚以外、多くが軟水の飼育水を好みます。

日本の水道水は軟水であることが多いため、一般的な熱帯魚を飼育する際、それほど問題になることはありません。ただし、南米や東南アジアのブラックウォーターに生息する水草や魚を飼う場合は、超軟水に調整する場合があります。その場合、底床にソイルを用いることで、簡単に硬度を低く抑えることができます。他にも、リバース・オスモシスを用いて、調整する方法もあります。

また、汽水域やアフリカのタンガニーカ湖やマラウイ湖などでは総硬度が高いため、サンゴ砂などを用いて硬度を調整する必要があります。
測定の仕方 → 各社から測定試薬が販売されているので、それらを用いて測定します。

炭酸塩硬度(KH)


水中の炭酸塩(HCO3-)の量を表す指標。ペーハー(pH)と密接な関係にあり、水中に炭酸塩が多く存在するとペーハーの急変動が抑えられます。これは、酸性に傾ける水素イオン(H+)とアルカリ性に傾ける水酸イオン(OH-)と反応し、緩衝作用が働くためです。逆に酸性に調整したい場合、炭酸塩硬度が高いと調整に手こずることがあります。

二酸化炭素を強制添加する本格的な水草水槽の場合、炭酸塩硬度が低いとペーハーの変動が大きくなるため、KH1~5の範囲で落ち着いているとベストです。市販のカリウム添加剤などを添加すると上昇するため、調整する場合はそれらを利用すると簡単です。

測定の仕方 → 各社から測定試薬が販売されているので、それらを用いて測定します。

水の汚れを知るための目安


「熱帯魚の飼い方[3]フィルターの役割と水質の変化」でも詳しく解説していますが、魚の排泄物などの有機物は、バクテリアの働きによって無害な形に分解されます。その過程で生じる幾つかの物質は毒性が強く、速やかに分解されないと生体に悪影響を及ぼします。

魚や水草の調子が振るわなかったり、水の輝きが足りないようなときは、それらの指標を測定してみると、原因がわかる場合があります。

アンモニア・アンモニウムイオン(NH3/NH4+)

有機物の分解の初期の段階で発生します。その形態は、ペーハー値に影響され、pH7以下では大半がアンモニウムイオン(NH4+)の形で、pH7以上ではアンモニア(NH3)になります。

何が違うのかといえば、アンモニウムイオン(NH4+)の形では、魚の皮膚を通過することができないので毒性はありません。反面、アンモニア(NH3)の形だと、魚の皮膚を通過してしまい強い毒性を示します。

セット初期やろ材を交換、大量に水換えを行った場合に検出されやすく、酸性の場合は問題ないのですが、アルカリ性の場合、注意が必要です。このことが原因で、汽水魚やアフリカンシクリッドの飼育を、やや敷居の高いものにしています。

ろ過が順調に進めば、やがて検出されなくなります。逆に、アンモニア濃度が高くなる場合、ろ過を含め、管理の方法を見直すと良いでしょう。

測定の仕方 → 各社から測定試薬が販売されているので、それらを用いて測定します。


亜硝酸(NO2)

アンモニアが分解される過程で発生する物質で、強い毒性を示します。ろ過が上手く働いていないため、ろ過器、生体の数、エサやりの方法などを見直します。


測定の仕方 → 各社から測定試薬が販売されているので、それらを用いて測定します。

硝酸塩(NO3)

有機物の分解の最終過程で生じる物質で、比較的無害とされ、強い酸性を示します。害が少ないといっても大量に蓄積すれば、魚にとって有害なものとなります。定期的に水換えを行うことで、水槽外に排出します。水草水槽では、バランスが上手くとれ、硝酸塩がほとんど検出されない場合もあります。

測定の仕方 → 各社から測定試薬が販売されているので、それらを用いて測定します。

主だった指標は、以上です。その他にも幾つかの試薬や測定器が存在するので、色々と検査してみるのも面白いかもしれません。

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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。