「水合わせ」とは、観賞魚を今と異なる環境の水の水温、水質に慣らしていくことを言います。新しい魚を迎え入れるときはもちろん、自宅の水槽間の魚の移動や、水槽の大掃除の後に水槽に熱帯魚を戻す際にも使うテクニックですから、ぜひ覚えておきましょう。もちろん、熱帯魚だけでなく、メダカや金魚にも同様の方法で水合わせをすることをオススメします。
なお、これから紹介する内容は、すでに観賞魚を飼育している水槽がある、もしくは、すでに新しい水槽のセットが完了しており、あとは熱帯魚を入れるだけという状況であることが前提になります。もし、まだ水槽を用意していない場合は、必ず熱帯魚を購入する前に水槽のセットを済ませ、準備をととのえておきましょう。そして何より重要なのは、健康な生体を入手するということです。ショップにいる時点で体調を崩しているような熱帯魚は、いくら慎重に水合わせをしても、体調が戻らずに死んでしまうケースも考えられます。ちゃんと元気に泳いでいるか、購入前によく観察しておきましょう。
それでは、水合わせの方法をご説明したいと思います。
水温合わせ
まず最初にしなくてはいけないのは、熱帯魚の入った袋内の水温と、水槽内の水温を合わせることです。魚類は変温動物ですから、我々人間が思っている以上に水温の変化に敏感です。水合わせの中で最も重要と言ってもよい過程です。「少しくらいの温度差なら大丈夫だろう」という油断が落とし穴になりますから、キッチリと行いましょう。
袋を水面に浮かばせて待とう
水質合わせ
前述までの作業で、水温合わせは完了しました。次は水質を合わせましょう。まず袋を開け、中の熱帯魚はそのままに、
水を1/3水槽外に捨ててしまおう

水槽の水を減った分足して……

10分待つ!
これらの作業が完了すれば、いよいよ一番楽しみな瞬間、熱帯魚を水槽へ放つことになります。袋の中から熱帯魚を水槽へ移す訳ですが、袋内の水は水槽へ入れないようにします。熱帯魚を網ですくい、水槽へ放しましょう。
後は可愛がって育てるだけ!
以上で「水合わせ」が完成です。いかがでしたか? 一度覚えてしまえば非常に簡単だと思います。今回紹介した水合わせの方法以外にも、より時間をかけ、点滴の様に飼育水を加えていく方法もありますが、今回は説明を割愛させていただきます。いずれの方法にせよ、「急激な環境の変化を避け、ゆっくりと水槽の水に慣らしていく」こと。それが最大のポイントです。私達がショップで購入してきた魚達にとっては、長い旅路を経て最後にたどり着く場所が我々飼育者の水槽になるのです。まさに一期一会。そう思うと、一見この面倒で手間のかかる水合わせの時間も、楽しい時間に変えることができそうですね。ぜひ美しく可愛らしい熱帯魚を安全にあなたの水槽に迎え入れて、末永く飼育を楽しんでみてはいかがでしょうか。