【編集部注】2010年のワシントン条約第15回締約国会議にて、カイザーツエイモリは「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」で規定する国際希少野生動植物種として定められました。日本では同政令が2010年6月23日より施行され、販売や頒布をする目的での陳列が禁止されています。
環境省 報道発表資料
画像提供:Endless Zone | ||
カイザーツエイモリ学 名:Neurergus kaiseri 別 名:Kaiser's Spotted Newt 英 名:Chinese Warty Newt 分 布:イラン西部(サグロス山脈)全 長:11-14cm |
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非常に分布が狭く、ほとんど流通することがなかった、美しいイモリです。 本種が属するツエイモリ属Neurergus はイラン、イラク、トルコの国境付近の山岳地帯に生息する有尾類でこれまでに以下の4種が知られています。
標高750-1200mと、本属にしては低い標高の山岳を流れる緩やかな流れの小さな川や池とその周辺で生活をしていて、さらに他種よりも水生傾向が強く、水中の障害物などの下にも多く生息しているようです。 水中で産卵を行い、卵は一粒ずつ石の上などに産みつけます。卵の大きさは1.5-2mmほどで4mmほどの寒天質に包まれています。17日程度で13-14mmの大きさの幼生が孵化し、3ヶ月ほどで45-55mmの大きさになって変態します。 かつてはまったく流通せず、幻の有尾類でしたが、ようやく欧米でのCB化が進んできたようで、2003年以降、少しずつ流通するようになってきました。 非常に美しく、人気があるのですが、依然高価であること、高温に弱いことから決して初心者向きの種類ではありません。しかし属の中でも、やや高温に耐性があることや、水生傾向が強いことから、飼育は思われているほど困難ではないようです。 日本は欧米に負けず有尾類に関しては熱心なファンが多いですので、きっと本種も国内で殖やされて流通量が増え、飼育技術も確立されていくことでしょう。
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飼育の基本情報 | ||
飼育容器 | 通常は45から60cm程度のガラス水槽など、必ずしっかりとフタができるものを使う | |
温度 | 陸上で湿度さえ管理できていれば30℃くらいは耐えることができるが夏場は25℃を上回らないように冷却の工夫をする。冬場は10℃を下回らないようにする。ただし水温は常に低めがよい | |
照明 | 特に必要なし | |
床材 | 水中には砂利などを敷く | |
容器内レイアウト | 水場中心のアクアテラリウム。砂利などでしっかりとした陸地を作る。水場は観賞魚用フィルターで濾過をした方がよい | |
餌 | 陸地では昆虫類を与えるが、動きの速い種類は向かない。水中ではミミズやレバーなどに比較的よく餌付く | |
基本的な世話 | いわゆる有尾類の飼育方法
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※「飼育の基本情報」は「爬虫・両生類ビジュアルガイド イモリ・サンショウウオの仲間(誠文堂新光社)」および海外サイトを参考にしました。 |
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