トーマストゲオアガマの基本情報
写真提供:ビーボックス
学 名:Uromastyx thomasi 別 名:-英 名:Thomas's Mastigure 分 布:アラビア半島北東部(オマーン)全長:最大26cm ただし40cm程度の個体もいると言われている
過去に、生体の流通はおろか写真すらもなかなか見ることができなかった非常に珍しいトゲオアガマです。
トゲオアガマ一般の分類や生態に関してはサバクトゲオアガマの項を参照にしてください。
もっとも特徴的なのは尾の形状で、他のトゲオアガマの尾が棍棒状であるのに対して、本種は平たく円形に近い盾状をしています。体色には個体差が大きいのですが、基本的にはオスは灰褐色から褐色の地色の背面にピンクからオレンジ色のラインが走り、頭部、胸部などに緑や青の発色が見られるようになるようです。また頭部にもピンクやオレンジ色が発色する個体も多いようです。一方、メスは全身が褐色で地味です。
どうやら、岩が多い乾燥地に生息しているようで、イワトカゲやヨロイトカゲの仲間などのように危険を感じると割れ目などに逃げ込んで尾の棘で引き出されないように身を守っているようです。また非常に深い巣穴を掘って生活をしているそうです。
他のトゲオアガマと同様に植物食性であると考えられています。
卵生で、3月頃から繁殖が行われ、5月頃に9-16個の卵を産み、30℃で3ヶ月程度で孵化に至ります。
非常に特徴的な形態で有名な種類だったのですが、生息地であるオマーンが原則的に野生動物の輸出を禁止しており、さらにCITES II掲載種ということもあり、過去に輸入が試みられたこともあったようですが、叶わず、流通することは絶望的であると思われていました。
ところが2008年の夏に突然、少数が輸入され、多くのトゲオアガマファンを狂喜乱舞させました。
それまでは国内では、ほとんどイラストくらいでしか紹介されていなかったのですが、実際の個体の美しさは想像を遙かに超えていたようで、それがまたファンを喜ばせたのです。と、まあ、私もファンの方からの受け売りなんですが...
しかし、いつも書いているのですが、トゲオアガマの仲間というのは、知れば知るほど魅力を感じるトカゲで、強烈な紫外線とホットスポットの問題さえクリアできれば、実にペットに向いているトカゲなんだと認識させられます。こんな種類が流通したりすると、コレクション性というか夢もありますし。
もう二度と流通することはないかもしれない貴重な種類ですから、今回の流通で運良く飼育することができた皆さんが、頑張って国内での繁殖を成功させてくれることを切望してしまいます。CITES(ワシントン条約)の付属書II類掲載種
赤っ恥をかかない程度の知識
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トーマストゲオアガマの飼育方法
飼育容器90~120cmクラス以上の水槽など
温度
ホットスポット部は45~50℃、低温部は27~32℃。夜間は20℃前後にする。
照明
紫外線灯とバスキングランプが必要。紫外線灯はできれば複数。
床材
爬虫類用の砂漠の砂など
容器内レイアウト
ブロックなどでホットスポットとシェルターを作る。水入れは設置しない。
餌
植物食なので野菜を中心に与える。ときどきコオロギなどの昆虫も与える
基本的な世話
乾燥系トカゲの飼育に準ずる
- ケージ内に温度勾配をつける
- カルシウムの添加は必須。ときどきビタミン剤も添加する
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