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オザークヘルベンダーの基本情報と飼育方法……飼育は難しい!?

今回は、オザークヘルベンダーの基本情報と飼育方法をご紹介いたします。オザークヘルベンダーは、言わずと知れたアメリカオオサンショウウオ・ヘルベンダーの亜種です。希少種で飼育を勧められる生き物ではありませんが、実に魅力的で素晴らしい生き物ですよ。

執筆者:星野 一三雄

オザークヘルベンダーの基本情報

オザークヘルベンダーの基本情報と飼育方法

画像提供:Endless Zone

オザークヘルベンダー
学 名Cryptobranchus alleghaniensis bishopi別 名:オザークオオサンショウウオ英 名:Ozark Hellbender分 布:アメリカ合衆国南東部(ミズーリ州南東部からアーカンサス州北東部のごく一部)全 長:30-50cm

言わずと知れたアメリカオオサンショウウオ・ヘルベンダーの亜種です。

現在、世界最大の有尾類であるオオサンショウウオ科には中国、日本そしてアメリカに以下の3種類が生息しています。

  • チュウゴクオオサンショウウオAndrias davidianus
  • オオサンショウウオA. japonicus
  • アメリカオオサンショウウオ(ヘルベンダー)Cryptobranchus alleghaniensis
「ヘルベンダー」と呼ばれる、アメリカに生息するアメリカオオサンショウウオは以下の2亜種に分けられています。
  • イースタンヘルベンダーC. a. alleghaniensis・・・基亜種。ミズーリ州中部、ニューヨーク州南部からミシシッピ州北部までの範囲
  • オザークヘルベンダーC. a. bishopi・・・ミズーリ州南東部からアーカンソー州北東部の限られた流域
ヘルベンダーは日本のオオサンショウウオと似ていますが、鰓孔が一つだけ存在し、やや目が大きい点などで区別が可能です。

本亜種は基亜種に比べて、やや小型で背面に黒い斑紋が散在する点で区別できますが、個体差も大きくなかなか見分けるのが難しいようです。

オザーク高原という地域にのみ生息し、山間部の水がきれいで冷たい川に生活をしています。流れが速い場所の大きな岩や倒木の下などに潜んでいますが、日中にも活発に行動している姿が観察されます。完全に水生で陸上に上がることはありません。

小魚や甲殻類など、動くものならなんでも食べるような貪欲な食性です。

繁殖期は基亜種に比べて遅く、9月頃から始まり翌1月まで続きます。オスは大きな岩の下などに穴を掘って巣を作り、そこにメスを誘って産卵させて放精して受精させます。メスは1回に300個程度の卵を産み、卵は5-7mmで数珠状につながっています。卵はオスが守り、体中を使って卵に新鮮な水を送り続けます。卵は45-75日程度で孵化して幼生が産まれます。孵化した幼生は1年半から2年をかけて変態し、5-8年ほどで全長が30cm程度になると性成熟に至ります。

日本のオオサンショウウオは特別天然記念物に指定されているのはもちろん、チュウゴクオオサンショウウオもCITES I で流通することはありません。一方、ヘルベンダーは基亜種がごくわずかに流通しますが、これもまず見かけることはありません。特に本亜種は分布が極端に狭く、州法などで厳重に保護の対象になっているので輸入されることはありません。

画像の個体は過去に輸入されていた頃から国内で飼育を続けられた個体だそうで、マジで生きている姿を画像とは言え、国内で見ることができるとは思いませんでした。

もちろん、保護の対象となるような希少種ですし、飼育自体も冷水の設備がないとできませんから、飼育を勧められる生き物ではありませんが、実に魅力的で素晴らしい生き物です。寿命も、かなり長い生き物だそうですので、ぜひ大切に飼育をし続けていただきたいものです。

いや、本当に生きててよかったー。感激です。

赤っ恥をかかない程度の知識
  • アメリカのごく一部にのみ生息するヘルベンダーの亜種
  • 最大50cm程度
  • 日本のオオサンショウウオとは別種
  • 成長しても鰓孔が残っている場合が多い
  • 背面に散在する黒色斑点の有無で基亜種と区別できるが例外も多い
  • 冷水の設備や清涼な飼育水が必要であるため飼育は難しい
 

オザークヘルベンダーの飼育方法

飼育容器
フタがしっかりとできる水槽。比較的小型なので最終的には90-120cmクラスの水槽で飼育する

温度
水槽用のクーラーが必要。20℃前後を保つ

照明
特に必要なし

ろ過
流れを作るためにも大型のものが必要

床材
特に必要ない

容器内レイアウト
陸場は必要ない。体が密着できるようなシェルターが必要


基本的に生きて動くものしか食わない。生きた小魚やエビなど

基本的な世話
水生有尾類の飼育方法であるが、特に
  • 皮膚病に注意
  • 餌の食わせすぎに注意する
  • 脱走に注意する
  • 咬みつく力が強いので咬まれないように注意する
  • など
※「飼育の基本情報」は「ビジュアルガイド イモリ・サンショウウオの仲間(誠文堂新光社)」および海外サイトを参考にしました。

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