頭でっかちな体型で人気が高いアフリカ西部の西サハラに分布する小型の地表性ヤモリです。
頭部が大きく、ヘルメットをかぶっているように見えることから、このように英名や和名がつけられましたが、国内流通当初はインボイスネームもハッキリしなかったため、その体型と斑紋のパターンをイノシシの幼獣になぞらえて「ウリボーゲッコー」などとも呼ばれた時期がありました。また2002年には、DNA解析からTarentola 属と近縁ということでTarentola chazaliae とするべき、という説も出されました。
頭部が大きく後頭部がせり出している外見が特徴的です。指先には指下薄板が発達して岩などに登るのに適していますが、扁平でヒダが多く砂地の上で行動したり、穴を掘ったりするのにも役立っているようです。
体色はさまざまで、赤褐色から灰色などの細かくて不規則な斑紋が多数散在しますが、背中線に淡色のスポットが5個程度規則的に並んでいる個体が多いようです。欧米では盛んに繁殖された時期があって、体色のパターンも固定化されているようで、中には全く無斑で全身が灰白色のリューシスティックまたは無斑型の個体も見られます。
主に乾燥して植物も少ないような砂地にある岩場に生息しています。海岸線から5km以内で多く見られるというような情報もある一方で、20km以上の内陸部で見られるという情報もあります。また夜行性ですが、昼間にバスキングを行っている姿なども観察されています。
食性は昆虫食性で、さまざまな昆虫類を中心に食べているようです。
卵生で、メスは交尾後10-15日で1-2個の卵を産みます。1シーズンに4-5クラッチを産み、卵の大きさは1cm程度です。産卵された卵は26-30℃で30-175日をかけて孵化しますが、平均的には2ヶ月程度で孵化します。孵化した幼体は全長が3.5cm程度で、半年から1年で性成熟に達します。
一時期は、そのカワイサから大人気だったのですが、なかなか価格が下がらなかったことから、最近はあまり注目を浴びることがなくなってしまいました。
どうも最近は、かつての地表性ヤモリブームが下火になってしまったような気がします。しかし、そんな中でも熱心に本種のような魅力的な地表性ヤモリの飼育と繁殖を続けている方々が多いのも事実。好きな人だけが、好きな生き物を飼い続ける。理想的な光景ですね。
赤っ恥をかかない程度の知識
- アフリカ北西部の乾燥した地域に分布
- かつてはウリボーゲッコーと呼ばれたこともある
- 最近は流通するのをあまり見なくなってきた
- 夜行性だがバスキングも行うらしい
ヘルメットゲッコーの飼育方法
飼育の基本情報
〈飼育容器〉
床面積の広いプラケース。通気性は確保する
〈温度〉
フィルムヒーターでケース下から保温する。低温部と高温部ができるようにする。ホットスポットを作り昼間は35℃程度になるようにする
〈照明〉
爬虫類用の紫外線入り蛍光灯を点けた方がいい。また昼間はホットスポット用のライトを点ける方がいい
〈床材〉
目の細かい砂を浅く(5cm程度)敷く
〈容器内レイアウト〉
個体数以上の数のシェルターが必須。水入れは常設しなくてもよい
〈餌〉
コオロギやミールワームなどの昆虫。カルシウム剤などの添加は必須
〈基本的な世話〉
いわゆる乾燥系地表性ヤモリの飼育方法
シェルターを二つ用意して、一つには一日一回霧吹きをするなどウェットシェルターにする
カルシウム不足にならないようにする
壁を登ることができるので、フタがあった方がいい
など
※「飼育の基本情報」は「爬虫・両生類ビジュアルガイド トカゲ2(誠文堂新光社)」「ゲッコーの本(リアルエステイト研究所)」および海外サイトを参考にしました。
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