トウブタイガーサラマンダーの基本情報
トウブタイガーサラマンダーの基本情報と飼育方法
学 名:Ambystoma tigrinum別 名:ヒガシトラフサンショウウオ、ウォータードッグ(幼生時)英 名:Eastern Tiger Salamander分 布:アメリカ合衆国東部の東海岸、五大湖周辺からテキサス州まで全 長:18-20cm 最大33cm
北アメリカに生息する、世界最大級の陸生有尾類です。
北アメリカに広く分布する、いわゆるタイガーサラマンダーは分布が広いため、タイガーサラマンダーAmbystoma tigrinum tigrinum を基亜種として6亜種に分けられていました。しかし近年はそれぞれを別種として独立させ基亜種であった本種も独立種としてトウブタイガーサラマンダーとなりました。
ほとんど黒に近い暗褐色地に黄色からオリーブ色の虫食い状のブロッチが多数不規則に入っています。
生息環境は多様で、標高や植生を問わず産卵地になる水場ができさえする場所ならば生息は可能なようです。ニューヨークでもロングアイランド島に生息する個体群があるようです。一般には森林などに生息していますが、砂地などでも発見されることがあります。
日本のイモリのように精包という精子のカプセルをメスが体内に取り込み体内受精をするタイプの繁殖形態をとります。分布域が広いため、繁殖シーズンはさまざまですが、ニューヨークのロングアイランド島では2月から3月にかけて産卵地で見られるようになります。大きな水場でなくとも、一時的な水場でも産卵を行うことが知られています。
卵は25-60個程度数が入った卵嚢で生み出され、メスはこれを数個産みます。孵化までの日数は水温により差があり、19-50日の範囲であることが知られています。なお別種であるオビタイガーサラマンダーやアリゾナタイガーサラマンダーでは10日未満で孵化します。
孵化した幼生は13-17mmほどで肉食性で共食いもしながら成長し、その年の秋に10cmほどになる頃、変態して陸上生活を行います。地方によっては幼生を釣り餌に使うこともあるそうです。またミシガン州やウィスコンシン州の個体群ではネオテニー(幼型成熟・ウーパールーパーのように変態せずに性成熟すること)も知られています。
生後4-5年で性成熟に至り、繁殖行動に参加するようになります。寿命は12-15年とされていますが、それ以上であると思われます。
以前から、観賞魚ルートで幼生が「ウォータードッグ」の名称で比較的多く流通しており、目にする機会が多い種類です。上陸直後の亜成体は育てるのがやや難しいのですが、それを乗り越えると非常に頑強で飼育も大変しやすい種類です。
他の小型の有尾類のように隠れてしまってばかりで、あまりおもしろくない、ということはなく、飼育していて楽しい生き物です。
なお、なんとイリノイ州では本種を「State Amphibian」つまり「州を象徴する両生類」に指定しているそうです。恐るべしアメリカ。ちなみにイリノイ州は「State Reptile」も指定しているそうで、その栄えある爬虫類はニシキガメだそうです。イリノイ州の知事は両爬オタクか。
- 亜種ではなく独立種とするのが最近の主流
- かなり大きくなる
- 飼育はしやすい
- 幼生を「ウォータードッグ」と呼ぶが、本来のウォータードッグはマッドパピーNecturus 属を指す
トウブタイガーサラマンダーの飼育方法
飼育容器通常は30から45cm程度のガラス水槽やプラケースでいいが、必ずしっかりとフタができるものを使う
温度
特に低温を維持する必要はない。夏場は通気性などを確保することで過度の高温にならないようにする。冬場も特に保温の必要はない。ただし水中生活の幼生は、高温にすると急激に変態することがあるので注意が必要
照明
特に必要なし
床材
焼き赤玉土・水苔・ヤシガラ土・腐葉土など湿度を維持できる素材
容器内レイアウト
体を浸せる水容器とシェルターを設置する。陸地は乾き気味でよい
餌
コオロギ・ミールワーム・ハニーワームなどの昆虫。大型の個体はピンクマウス。週に2-3回、1回に頭と同じサイズの餌を1-2個与えるくらい
基本的な世話
いわゆる有尾類の飼育方法
- 皮膚病に注意
- 餌の食わせすぎに注意する
- 餌はピンセットで与える
- 10cm程度の個体は上陸直後の個体であるから広い水場を用意して多湿環境で飼育する
- など
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