"アルビノ"ミシシッピアカミミガメの基本情報
撮影協力:Herp. Supply
学 名:Trachemys scripta elegans別 名:"アルビノ"ミドリガメ英 名:Albino Red-eared Slider分 布:アメリカ合衆国(本来の自然分布はイリノイ州とインディアナ州北部からメキシコ湾岸のミシシッピ川流域と考えられているが、現在は合衆国全土に広く生息している)および世界各地に広く帰化甲 長:20cm程度 最大29cm
アルビノのミシシッピアカミミガメつまりアルビノの「ミドリガメ」です。せっかくですので、ここではミシシッピアカミミガメを、なるべくきちんとご紹介しましょう。
ミシシッピアカミミガメは北米から南米北部にかけて広く分布するアカミミガメTrachemys scripta の一亜種です。アカミミガメの分類は非常に混沌としており諸説あるのですが、一般的には以下の14亜種に分けられるようです。
- Trachemys scripta scripta キバラガメ
- T. s. elegans ミシシッピアカミミガメ
- T. s. troostii カンバーランドキミミガメ
- T. s. nebluosa バハカリフォルニアキミミガメ
- T. s. hiltoni ソノラアカミミガメ
- T. s. yaquia ヤキクジャクガメ
- T. s. catasphila ベラクルスアカミミガメ
- T. s. taylori テイラーアカミミガメ
- T. s. venusuta タバスコクジャクガメ
- T. s. ornata メキシコクジャクガメ
- T. s. emolli ニカラグアオオクジャクガメ
- T. s. grayi グァテマラクジャクガメ
- T. s. chichiriviche ベネズエラクジャクガメ
- T. s. callirostris コロンビアクジャクガメ
写真の個体は色素が欠乏したアルビノ個体ですが、ノーマル個体つまり普通の「みどりがめ」はご存じのように緑色を地色として複雑な条線が走り、目の後ろには赤やオレンジ色の目立つラインが走ります。腹甲は黄色ですが、それぞれの腹甲板には1-2個の同心円状の斑紋があります。ただし成長すると、これらの美しい体色はくすんでしまい地味になります。さらに全身に黒色の色素が沈着し黒化(メラニズム)を起こすと全く別のカメに見えます。オスはメスよりも小さく、尻尾も太長くなり前足のツメが長く伸びます。
種として非常に広い分布域を持っていますので低温の時期の過ごし方は種によって異なりますが、それ以外の生態はほぼ共通しています。川や池、湖沼などさまざまな水環境に生息していて、比較的水質の汚濁にも適応能力が高いようです。日光浴を好み、水面に突き出た流木や岩、岸辺の陸地などで日光浴をしています。しかし、基本的に臆病な性格で人間が近づいたりすると滑るようにして水中に逃げ込みます。この時の素早さが「スライダー」という名前の由来と言われています。
食性は肉食が強い雑食で、さまざまなものを食べています。繁殖期になると、オスはメスの目の前で前足を動かして求愛を行います。一般的にはオスは生後2-5年、甲長9-10cm程度で、メスは15-20cm程度になると性成熟して繁殖を行います。メスは6月から8月にかけて1-3クラッチの卵を産み1クラッチあたり4-23個の卵を産みます。卵は23.5-44.2×18.4-28.6mm程度の大きさで68-72日で孵化をします。
すっかり日本だけでなく世界中で帰化してしまい悪名が高くなってしまった本亜種ですが、本品種のように美しいアルビノ個体は高価ですが確実に多く流通し始めており、新たな「みどりがめ」の楽しみ方になってきたようです。
ただしアルビノ個体は目が悪く、さらに紫外線が成長に必要なのに、紫外線に弱いという背反する要因の中で飼育をする必要がありますので、比較的飼育は難しくテクニックが要求されます。
ミシシッピアカミミガメと同様に特定外来生物法で「要注意外来生物」として指定されています。
"アルビノ"ミシシッピアカミミガメの飼育方法!
ミドリガメの飼い方を参照ただし、アルビノ個体なので餌の与え方、紫外線の当て方に工夫が必要※分類や生態、「飼育の基本情報」は「爬虫・両生類ビジュアルガイド 水棲ガメ1(誠文堂新光社)」および海外サイトを参考にしました。
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