爬虫類・両生類/カエルの飼い方

河鹿籠の冬 カジカガエルの冬眠飼育(3ページ目)

なんと3年半ぶりに、あの河鹿籠が帰ってきました!みなさまからの要望が多かった「カジカガエルの冬眠のさせ方」をアップです!もちろん、記事の内容は、あの私の師匠直伝です!

執筆者:星野 一三雄

冬眠中

カジカガエルをケース内に移動したら、冬眠場所にケースを設置します。
ケースを置く場所は

・暗い
・温度変化があまりない
・メンテナンスをするのに面倒でない


場所を選びます。

一般の住宅ならば「北側の部屋の押し入れ」の中がベストでしょう。室外に置く必要があるときは「箱に入れて、北側のベランダや庭の軒先」に置きます。そのような場所もない場合は、方角を問わず「庭の土に半分くらいケースを埋めてしまって、その上に箱をかぶせる」と辛うじて冬眠に耐える環境を得ることができるようです。

冬眠中のメンテナンスは、すべてのカジカガエルが寝床に潜り込んだのを確認したならば、月に1回程度フタを開けて、中の様子を観察します。
この時に水が少なくなってきていて乾燥気味ならば水分の補給をします。

また残念ながら死んでしまった個体がいたならば、亡骸を取りだしてあげましょう。カジカガエルに限らず、一般に冬眠中に死んでしまう両爬は寝床から出て事切れている場合が多いようで、亡骸の確認はすぐにできますので、シェルターをどかしてカジカガエルの姿を確認するには及びません。

水草の枯死や流木からの著しいアクの流出などで、水が汚れていると感じたときは、なるべく静かに掃除をしてあげましょう。

冬眠中の事故

冬眠中に、考えられる事故のほとんどは「乾燥して干からびてしまう」ことです。ただでさえ冬は湿度が低く、乾燥しやすい季節ですから、月1回の観察を怠らないようにしましょう。特に南向きの屋外で冬眠させるときは、要注意です。

また十分に低い温度が維持できない場所にケースを設置するときは、温度が上がりすぎて、冬眠が不完全なものとなって、代謝が起こってしまい「餓死」することもあります。
さらに、冬眠前の栄養の蓄えが不十分であると、冬眠中か冬眠明けに死なせてしまうことになります。

とにかくカジカガエルに限らず両爬の冬眠に関係する事故の多くは

・観察不足
・高温
・冬眠前の給餌不足

であることは肝に銘じましょう。

逆に、この3つがしっかりできるならば、冬眠のリスクは回避できると言ってもいいでしょう。

冬眠明け

夜の気温が10℃以上になってくると、目覚めが近くなってきますので、ケース内の観察の回数を増やしましょう。
ケース内でカジカガエルがシェルターから出てきて石の上などに出てくるようになったら、寝床になっている石や落ち葉などを片づけます。さらに徐々に給餌もしてみて様子を見ましょう。
活発に餌を食うようになってきたら河鹿籠に移して飼育を再開できます。
ただし夜間の気温が20℃を下回る間はカゴに移さないようにします。実際には関東地方では、平均すると4月になったら通常の通気性のあるプラケースで飼育をして、梅雨明け頃に河鹿籠に移すことになります。餌を活発に食べるようになって、オスが鳴き始めたら少々涼しくてもカゴに移します。そこから先は「河鹿籠を楽しむ」を参考にして下さい。

さあ、これでようやく河鹿籠の冬バージョンをアップしちゃいましたよ!
ぜひ、これを実行して来年の夏も河鹿籠を風流に楽しんで下さいね。

最後になりましたが「どうしても冬眠させないで冬もカジカガエルを飼育したい」という方のために。
どのような飼育ケースで飼育するにしても、ポイントは湿度はもちろんですが温度です。
誤解されている方も多いのですが、カジカガエルが属するアオガエル科はどちらかというと南方系のカエルです。カジカガエルも北海道には分布していません。ですから、どちらかというと低温は苦手なのです。
ですから、冬に飼育をするのであれば暖房をした室内で飼育し、夜間も23~25℃以下にはしないようにします。したがって保温球とサーモスタットを使って24時間温度を管理する必要があります。またそうなると、あっという間に乾燥してしまいますので、こまめな霧吹きをして、湿度保持の工夫を心がけましょう。
しかし、こうやって飼育してもなかなかうまくいかないのが日本の野生両爬たちです。うまく飼育しないと、どうしても翌年の春に弊害が出てきてしまいます。
素直に冬眠させなさいって事でしょう。

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