爬虫類・両生類/カエルの飼い方

河鹿籠の冬 カジカガエルの冬眠飼育(2ページ目)

なんと3年半ぶりに、あの河鹿籠が帰ってきました!みなさまからの要望が多かった「カジカガエルの冬眠のさせ方」をアップです!もちろん、記事の内容は、あの私の師匠直伝です!

執筆者:星野 一三雄

冬眠の準備

さて夏の間に河鹿籠で美声を楽しませてくれたカジカガエルたちですが、長い冬眠を事故なくするには、まずは準備からです。

大体、彼らの体自体が冬眠に入ろうとするのは「朝晩に少し肌寒さを感じるようになる」時期です。つまり関東地方では10月中旬くらいでしょうか。私の住んでいる宮崎では11月初旬ですね。
ですから、この時期までに餌を多く食わせておいて、栄養を体内に蓄えさせる必要があります。長い冬眠ですから、その間の栄養分を蓄えさせなくてはいけませんから。とにかく食うだけ食わせて構わないでしょう。

その時期になるまでに、以下の必要な器材を揃えましょう。
  • 大きめのプラケース(45cmクラスで深さがあるタイプ)

  • 砂利または砂

  • プラケースに入るさまざまな大きさの石

  • 水に馴染んだ落ち葉

  • 水に浸けてアク抜きをした流木

  • 土を入れた植木鉢

  • ミズゴケのかたまり

  • 水草

  • 穴だらけの木の枝

  • 植木鉢や瓦の破片

  • プラケースがすっぽり入る箱

たぶん上のリストを見てわかると思いますが、「石」から「植木鉢の破片」まではすべて冬眠時のシェルターになります。この中から彼らのお気に入りのシェルターを見つけるわけですから、すべて準備してあげて下さい。
詳細は以下の項で。

冬眠用ケースのセッティング

さて、先にも述べたように、カジカカエルが「夏の間にしっかりと餌を食べさせて、万一にも痩せているようなことがない」状態であれば、「朝晩が冷えてきたな」と思う時期になったら、冬眠用のケースに移動させましょう。
この時にカジカガエルが痩せているような場合は、とにかくガンガン食わせて下さい。この時期ならば決して遅くはありません。

本題の冬眠用ケースのセッティングです。
ここで今一度、彼らの生息環境を考えてみて下さい。
通常私たちがカジカガエルを見ることができる環境は、石がゴロゴロしていたり、砂利が多い清流です。実はカジカガエルは冬眠も、その多くは川の岸辺に近い場所の浅い砂の中や石の下で行うことが知られています。
ですから冬眠用のケースも、それを再現するようなイメージでセッティングしてあげるわけです。

まず、ケース内にきれいな砂利や砂を3cmほどの厚さで敷き詰めます。
次に、カジカの住む川をイメージして大小の石を設置します。この石の隙間がカジカの冬眠場所になるわけです。ただし隙間を作るように石を設置すると、石積みが崩れやすくなりますので、崩れないように十分に注意してあげましょう。
次に、ケース内にたっぷりと水に馴染ませた落ち葉と流木を入れます。まさに清流の岸辺にたまった枯葉や流木のイメージです。

落ち葉は広葉樹の落ち葉を集めてきて、数日水に浸しておけばいいでしょう。
流木は、できれば清流に沈んでいるようなものを拾って来られれば良いんですが、そううまくいかないかもしれませんので、海で拾ってきたり、観賞魚店で購入することになります。大きめのバケツなどに水道水を張って、その中に流木を浸します。浮いてしまう場合は漬け物石の要領で重しを乗せて水に沈めます。数日もすると水が赤くなりますので、水を換えて二週間ほども浸しておけば、使える程度にアクは抜けます。海で拾ってきた場合は、もう少し時間をかけて塩分を抜いた方が良いでしょう。

石、落ち葉、流木のセッティングが完了したら、水を入れます。
水深は石積みの中の隙間にヒタヒタに水が浸かるくらいがいいでしょう。個体によって、完全に水没した状態で冬眠する場合もあるし、半分浸かって半分は空気中に体を出す場合もあるからです。

冬眠導入

関東地方ならば11月くらいには、カジカガエルを冬眠用ケースに移動させた方が良さそうです。この頃には河鹿籠の中ではさすがに餌を食わなくなってきて、眠そうにしてくるでしょうから、そうなったら冬眠用ケースに移動します。

河鹿籠の中では収容数は少なくしなくてはいけませんが、冬眠用ケースの中では、多少数が多くても問題はなさそうです。45cmのプラケならば10匹程度は冬眠可能です。

ケースに移し替えた時に、カジカガエルが冬眠モードに入っているのならば、数日中には各々の個体が、気に入った場所を見つけそこに潜り込んでしまいます。
この時に、いつまでも外に出ていて寒そうにじっとしている個体は気に入った場所がない個体です。

このような個体にも気に入った場所の寝床を準備するために、準備するものリストに挙げた石、落ち葉、流木以外のシェルターをケース内に入れてあげましょう。もちろん、リストに挙げた以外でも、あなたが「コレは!?」と思うものがあれば使ってみて下さい。基本的には

・小さくて狭苦しい
・ほぼ完全に姿が隠れる
・湿度が保持できる


という条件は満たしてあげるようにして下さい。

また水草を入れる場合は、もちろん冬の間にほとんどが枯れてしまいます。比較的丈夫なアナカリス(オオカナダモ)や、マツモなどを利用すると良いでしょう。

マニュアルを盲信せずに、個々のカジカガエルの要求に対応をしてあげるようにして下さい。カジカガエルは基本的に他のカエルに比べ、順応性が低いカエルですので。
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