蛍光灯との違い
メタハラは「HIDランプ」の一種です。これは「High Intensity Dischargedランプ(直訳すると高い彩度の光を放つランプ)」の略で日本語では「高圧放電灯」あるいは「高輝度放電灯」と言われます。HIDランプが光る原理は一般の蛍光灯と同じです。
つまり「ランプの中に『水銀』の蒸気を封入し、そこで放電すると電子が水銀原子に衝突して発光する」というものです。
では、蛍光灯とは何が違うのでしょう?
実は、上に書いたように電子が水銀原子に衝突した時に生じる光は、私たちが喉から手が出るほど欲しい「紫外線」が主なのです(基本的には人体に有害な、波長が短いUV-Cですが)。
ですからそのままでは明るくもならないし、有害です。
そこで一般の蛍光灯では蛍光管の内側に「蛍光物質」を塗ってあります。蛍光物質とは紫外線が当たると光の波長が大きくなって目に見える光(可視光)が生じる物質です。このように蛍光灯は「紫外線を減少し、可視光を増やした照明器具」と言えます。
HIDランプは言うなれば「蛍光物質を塗らない蛍光灯」という言い方がわかりやすいかもしれません。ただし、明るくならなければ照明として役に立ちませんので、蛍光物質を塗らない代わりに発光物質としていろいろな物質を水銀蒸気と一緒に封入して、明るさや光の色に工夫をしています。以下のHIDランプの3種類は封入している物質により分類されています。
HIDランプとメタハラ
一般にHIDランプは以下の3つを総称しています。・水銀ランプ
・高圧ナトリウムランプ
・メタルハライドランプ(メタハラ)
スポットライト型のメタハラ 写真:N and M |
水銀ランプは発光物質として水銀とアルゴンが封入されていて、紫外線の量は多いのですが可視光が少ないため、演色効果(その物体の本来の色を再現する効果)が悪く、暗い感じがします。体育館の照明に使われる、と言えばイメージがつきますね。
高圧ナトリウムランプは発光物質として金属のナトリウムの蒸気が封入されています。とても明るいのですが、オレンジ色っぽい光になります。トンネルの中の照明と言えばイメージがつきますね。
で、問題のメタハラですが、封入されているのが金属ハロゲン化物なのであります。これを発光物質として使うことによって演色効果をアップさせ、明るさも蛍光灯並みを維持することができています。
つまり、より実用的な水銀ランプとして開発されたのがメタハラと考えていただければ、もっともわかりやすいでしょう。
ちなみにメタハラとよく間違われるのが「ハロゲンランプ」ですが、こちらも少し説明しておきましょう。
ハロゲンランプはメタハラとはまったく異なる仕組みのランプで、こちらは白熱球と同じで内部のコイル(フィラメント)に電気を流して発光させています。この時に普通の白熱球と異なり、電球の内部にハロゲンを加えてあります。ハロゲンを加えることによってフィラメントをより高温にすることができるため結果的に、より明るくさせることができるランプであるというわけです。ですから紫外線は期待できません。
またついでですが、最近よく車のヘッドランプに使われている「キセノンランプ」も簡単に。
キセノンランプはメタハラに似ています。HIDランプの一種として考えてもいいでしょう。キセノンという物質を管に封入しています。特徴は太陽光に近いということで、紫外線もかなり放射しています。ただしスペクトルの分布を見ると商品によってメタハラ以下であったり、逆にメタハラ以上であったりしますので、どちらがいいとは一概には言えません。