爬虫類・両生類/フィールドワーク

オタマジャクシの種類の見分け方…アマガエルやヒキガエルの特徴は?

オタマジャクシの見分け方を、オタマジャクシのそれぞれの種類の特徴を解説しつつ、ご紹介して行きます。田んぼの中のオタマジャクシの観察や、オタマジャクシを見分ける時に役立てみませんか? 見分けるには、成体の身体的特徴を把握することポイントです。

執筆者:星野 一三雄

オタマジャクシの見分け方

オタマジャクシの見分け方

「オタマの見分け方」を実践しに田んぼに出かけてみませんか?
今回は、関東地方を中心に生息している、平地性のカエルの幼生・おたまじゃくしの見分け方をお送りいたします。
   

オタマジャクシはいつから観察できる?

日本列島は縦に長いため、南の沖縄はある意味、一年中両爬の観察が楽しめますが、北の大地・北海道では5月くらいになって、ようやく両爬が観察できるようになります。
で、やっぱり北海道と言えども5月ともなれば水場にカエルたちが集まりだすのですから、これで日本全国のカエルたちが出揃ったわけです。
カエルやオタマの観察は、もっとも手軽で確実なフィールディングと言えるでしょう。
ですから、オタマを見に行くのが楽しいのです。

もちろん、オタマの飼育は、どんなカエルになるのか、そしてドラマティックな変態を観察することで、両爬飼育の楽しみとその精神を学ぶ機会になるのですから、必ずしもオタマの時代から種類を同定できなくてもいいんですが、それでも知識として知っておくと、フィールドの楽しさも倍増です。
 

オタマの見分け方の極意

いきなり「極意」か?
いいえ。極意と言うよりも基本です。
オタマの見分け方(ここでは仮に『利きオタマ』と言いましょう)の基本は
・成体の身体的特徴を把握する
ことでしょう。
いくら劇的な変態をする、とは言っても「カエルの子はカエル」です。親の持つ特徴をオタマも持っていることが多いのです。
細かくは後で述べますが、斑紋や顔の形など、まさに親譲りであったりします。

観察場所で判断せよ
当然ですが、カエルも種によって生息の好適環境があります。その場所に生息していない種類のオタマが見つかることは考えにくいものです。図鑑やサイトを使って、まずその場所にいてもおかしくない種類のカエルを候補に挙げておきましょう。

それと何より、当然ですが
多くのオタマを育ててみる
と、オタマの種類に関して目が肥え「利きオタマ」のスキルもアップします。
 

オタマジャクシの見分け方……種類別特徴

それでは、ここでは主に関東地方の平地性のカエルたちを中心に、オタマの特徴を見て行きましょう。
なんとも「主観的」な特徴が多いのですが、それによってほぼ100%の確率で利きオタマをしていますので、あえて主観的な表現で解説させていただきます。

◇ヒキガエル
日本には在来種として1種2亜種のヒキガエルが生息していますが、アズマヒキガエルとニホンヒキガエルの2亜種は東日本と西日本と分布地が分かれていますし、別種ナガレヒキガエルは渓流性ですので見分けることは生息地を参考にできます。オタマの特徴は
・真っ黒で小さい。
・ひらひら泳ぎ、泳ぐスピードも遅い。

◇ニホンアマガエル
アマガエルは、ヒキガエルの次に利きオタマしやすいと言えます。
・背中に大きな黒い斑点がひとつだけある。
・体がソラマメやおたふく豆のような形をしている。
・上から見ると両目が離れていて、体の側面についている。
・尾の背面のいわゆる背ビレが胴体中腹の背中の真ん中辺りから始まっている。
・笑っているような顔に見える。
・腹側は白い。
というような多くの特徴があります。
アマガエルのオタマ 背中に黒斑がある 両目が離れている

◇ニホンアカガエル
早い時期から見られるオタマの代表です。この辺になると私などはオタマの時期に見分けるのは無理です。
・アマガエルより両目の位置が近い。
・背中に一対の比較的明瞭な黒い斑点がある。(他の模様と混じって不明瞭な場合も多い)
・上から見ると、鼻の位置がとがっていていわゆる「ドクロ」のような印象。
・腹側はうすい灰色がかった茶色。
アカガエルのオタマ 背中に一対の黒斑がある 両目は離れていない

◇ヤマアカガエル
ニホンアカガエルと酷似だと思うんですが……ただ、成体の見分け方もオタマの見分け方も似ているようです。ニホンアカガエルとの比較を中心に考えてみます。
  • 口が小さくとがっていて、鼻筋も通っている。
  • 模様がない、うすい。
  • 目が吊り上っている。
  • 成体の、ニホンアカガエルとの見分け方同様、背中の両側の隆起線が曲がっている。
  • 腹側は暗い銀色。

◇トノサマガエルなど
いわゆるトノサマガエルといわれるカエルは、関東平野はトウキョウダルマであり、中部・近畿地方などではダルマガエルと混じっています。基本的には
  • 体形は卵型、つまり体の前部から後方に向かってゆるやかに膨らむ。
  • 体の側面に斑紋が多い。ただし、トノサマは薄くて不明瞭。
  • 背中に一筋の線(背中線)がある。ダルマはない。
  • 動きが早い。
  • 腹側から見ると、渦巻状の腸管が明瞭。

ツチガエルとヌマガエル
ツチガエルとヌマガエルは明確な区別点はあまりないようですが、ヌマガエルは関東地方にはいません。写真を見てみる限りでは
  • ツチガエルは腹側から見ると、下あごからのど元にかけて細かい雲状斑紋がある。
  • ツチガエルは背中から見ると尾が太い。
感じがします。

◇シュレーゲルアオガエルとモリアオガエル
成体でさえ見分けにくい、この二種ですがオタマも相当、厳しいようです。
基本的にアオガエルのオタマは頭が三角形で、目が丸いのが特徴とか。アカガエルの仲間から比べると、アマガエルほどではありませんがかなり両目が離れています。
  • シュレーゲルのオタマはモリアオに比べて、眠そうな顔をしている
とか。

◇その他のカエル
その他のカエルですが
  • カジカガエルは渓流性。口が下を向いていて、体の側面に赤い斑点が目立つが、目立たない個体も多い。基本的に、斑紋の変異が大きい。成体と同じように目が十字になっている.
カジカガエルのオタマ 渓流性 尾の斑紋と十字の目が目立ちます 残念ながら赤い斑点は表現し切れませんでした
  • タゴガエルのオタマは白い。基本的にエサも食わずに変態するため、早く上陸する。
  • ウシガエルのオタマは小さいときの特徴は不明。10cmを超える大型のオタマになる。そんな大きなオタマになるのは日本ではウシガエルだけ。

以上、代表的なカエルの利きオタマでした。

しかし、種類はどうであれ、それぞれ別種のオタマが何のトラブルもなく田んぼの中でのんびり泳いでいるのを見ると、本当に平和な気持ちになれます。
皆さんものんびりとオタマを見に行って、利きオタマに挑戦してみてはいかがでしょう?

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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