ミミズの基礎知識と飼育方法

ミミズの基礎知識と飼育方法

ミミズの基礎知識と飼育方法

全国の両爬ファンのみなさん、コンニチハ!!
今回は、これまでも「使いたいなぁ、とは思っているけど、何となく抵抗もあるし、あえてこれでなくてはいけないという理由が見当たらないから、もっと一般的な餌を使おう」という感じでイマイチ餌動物としてはマイナーな部類である「ミミズの養殖」がテーマであります。
実は私自身も、アオヘビとかタカチホ、ヒメヘビといった国産ミミズ食いのヘビの飼育に使いたいと思って、勉強したいなと思っていたのです。で、今回の記事のために二人の「ミミズ養殖の大家」にご教授いただきましたので、会心の内容と自負しておりますです。

今回は、ミミズ養殖の前に知っておきたい、基礎知識などのウンチクをお送りいたします。
   

ミミズの基礎知識

 
シマミミズ 写真:工房"もちゃむら"のホームページ フトミミズの一種
 
体 長 数mmから2m以上(国内では20cm程度)
生息地 世界各地
用 途 水性カメ・ミミズ食性のヘビ・ヒバカリ・ニホンカナヘビやニホントカゲなどの一部トカゲ・有尾類・中型以上の地表性カエルなど
使用方法 生きたまま与える・適当な大きさに切って与える、など
解 説 もっとも代表的かつ大型の土壌生物。環形動物門貧毛綱に属する。全世界に7000種以上が知られ、国内では少なくとも50種以上。耕作地における土壌の改善に大きな役割を担っている。
 
ミミズ類の栄養成分表(可食部100g中)
食品名 エネルギー(kcal) 水分(g/100g) 蛋白質(g) 脂質(g) 炭水化物
糖質(g)

コレステロ
ール(mg)

ビタミン(mg) 無機質(mg)
A (IU) B1 B2 B3 C D (IU) E カリウム ナトリウム リン カルシウム

ミミズ類

資料なし!!データ募集中!!近々アップ予定
 

両爬の餌としてのミミズ

実際は、私たちが飼育対象にしている両爬の中にはミミズを餌として、必ず必要になる種類はいないと考えていいでしょう。ただ林床などや湿地帯に生息する地表性の種が自然下でミミズを食っていることは十分に考えられますし、いつものように餌のバリエーションを増やすためにはないよりはあった方がいいかもしれません。

現在、ミミズを餌用に入手するためには
 ・自分で採集する
 ・釣り餌用に販売されているミミズを購入する
 ・両爬の餌用に販売されているミミズを購入する

の3つの方法が考えられます。
しかしながら、やはり採集に頼るのは供給が不安定ですし、餌用とはいえ自然から大量に採集するのはあまり感心できません。両爬の餌用に販売されているミミズも採集されたものです。さらに、後で詳しく述べますが、採集されたミミズは汚染されている場合があることも考えられます。
また釣り餌用のミミズは、なぜか食いが悪い場合があり、さらに野生採集のミミズよりも特に重金属に汚染されている場合が多いようです。さらに釣り餌用のミミズは、ミミズが本来、体内に持っている薬効成分の両爬への影響も懸念されます。
そんなわけで餌用ミミズの自家養殖を考えることは、決して無駄ではないと思います。
 

知っておきたいミミズの基礎知識

今回、この記事を作成するにあたってミミズ養殖のベテランのお二方からさまざまな知識と経験を教示いただき、また私自身も多くの文献や書籍を読んで大変勉強になったのですが、特にここでみなさんにも、ぜひ知っておいていただきたいことをいくつかご紹介します。
え?全然飼育繁殖の本題に入らないじゃないかって?
せっかく勉強したんですから、もうちょっとだけお付き合いを。

◇日本の二大ミミズグループ
私たちが普段その辺で見かけるミミズは大きく分けて二つのグループのミミズです。そしてそれが日本のミミズの二大グループであります。
ひとつは昔から釣り餌用に使われるキヂと呼ばれるシマミミズEisenia foetidaを含むツリミミズ科です。
もうひとつはキヂに対してドバミミズと呼ばれる大型のミミズのグループであるフトミミズ科です。こちらのグループはもっとも普通種であるフツウミミズPheretima communissimaや九州では「かんたろうみみず」と呼ばれる大型で青い光沢で有名なシーボルトミミズP. sieboldieなどが含まれます。
この二つのグループのポイントは
ツリミミズ科は北に多く、フトミミズ科は南に多い」ということです。
これも後で述べますが、できれば両爬の餌にはフトミミズの仲間を使いたいのです。ところがフトミミズの仲間は冬になると繁殖をやめるか死滅してしまうため、周年繁殖が最低の条件である餌用動物として適さないのです。ところがフトミミズは南方系と考えれば、冬も加温することによって周年繁殖の可能性があるような気がするので。これを実証するのは今後の大きな課題と言えるでしょう。

◇釣り餌用の「り○たろうみみず」とは?
気軽に、いつでもそして安価に入手できるために、なんとか両爬の餌用に使えないかと考えてしまう、釣り餌用に販売されているミミズの正体をご存知でしょうか?
あれは実は外来種なのです。
釣り餌用に販売されているLumbricus rubellus
ヨーロッパに広く分布しているツリミミズの一種でLumbricus rubellus(日本では「赤みみず」とも)という種類なのです。世界中で大量に養殖されているため、世界各地で、もちろん日本でも帰化してしまっているミミズであります。このミミズ、ヨーロッパイエコオロギ同様に周年繁殖するため、養殖に適しているのです。じゃ、なんのために養殖されているのかというと、これも後述する薬効成分抽出のための医薬用として、またドッグフードやキャットフードにもタンパク質源として利用されているそうです。また、その爆発的な繁殖力から畜産施設やさまざまな食品工場の廃棄物の処理にも活躍しています。

◇ミミズの薬効成分
実は、今回の記事を書くにあたり、ご助言をいただいた方は、某大学の医学部名誉教授の方で、在任中から本格的にミミズの薬効成分の研究をされていた大先生なのであります。
で、その先生からミミズの薬効成分に関するお話をご教授いただきました。
ミミズの薬効成分は主に2つです。
ひとつはミミズの皮に存在するルンブロフェブリンという解熱作用を持つ物質です。漢方薬の処方の「地龍」というのは、この成分を持ったミミズのことです。
もうひとつはミミズの体液や内臓に含まれるルンブロキナーゼという物質です。この物質は脳梗塞の原因となる血栓を溶かす作用を持つ物質です。

ルンブロフェブリンはシマミミズから、ルンブロキナーゼはヨーロッパのL.rubellusから抽出されたように、どうやらツリミミズ科のミミズはこういう成分を多く持つようです。残念ながらフトミミズ科のミミズがこれらの薬効成分をどれほど持っているのかの研究はないようです。
で、われわれの気になるのはこれらの薬効成分が、両爬に対してどのくらいの影響があるのかです。もちろん、私たちヒトと両爬では生理が異なりますので一概には言えません。一応、前出の先生にうかがったところ「大きな影響があるとは考えにくい」とのことです。
事実、その先生もさまざまな動物(その中にスッポンも含まれていた)に与えてみたそうですが、悪い影響は見られなかったそうです。

L.rubellusに対する不安
ならば、釣具屋で容易に入手できるL.rubellusを餌に使えそうですが、事実、私も経験上、有尾類には評判が悪かったですし、以前ハマった国産の淡水魚たちも吐き出してしまう場合が多かったのです。また私の友人の家では、ヒバカリに、完全にそっぽを向かれてしまうそうです。それらの原因が何なのかはわかりませんが、L.rubellusの話をうかがっている中で興味深い情報を聞くことができました。

それが重金属汚染です。
タイミングよく、その話をうかがっているときに、あるミミズの養殖場での重金属汚染の生のデータを見せていただけました。基準値の数倍検出されたのはカドミウムとヒ素、および鉛でした。この汚染されたミミズはもちろん人間の医薬用には用いられることはできません。ということは...?ま、あくまでも憶測の範囲ですが。
ちなみに汚染の原因は養殖に使っていた畜産用廃棄物であろう、とのことでした。

というわけで、さまざまな意味からミミズを餌用に自家養殖させるには、以下の二つのパターンが理想に近いかもしれません。

 ・重金属に汚染されないようにL.rubellusを周年繁殖させる
 ・フトミミズの仲間を冬の死滅は見込んだ上で、繁殖させる


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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。